安西洋之(ビジネス+文化のデザイナー)

モバイルクルーズ株式会社/De-Tales ltd. ミラノ/東京。最新著書『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』(共著)『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?』、監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。訳にエツィオ・マンズィーニ『日々の政治』

安西洋之(ビジネス+文化のデザイナー)

モバイルクルーズ株式会社/De-Tales ltd. ミラノ/東京。最新著書『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』(共著)『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?』、監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。訳にエツィオ・マンズィーニ『日々の政治』

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    • 日経COMEMO

      • 11,245本

      日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

    • 文化とビジネスの不穏な関係にちゃちゃ(!)を入れる

      • 92本

      文化をどう定義するかはさまざまですが、基本的に人が生きるための工夫です。そうなんですが、なんか本末転倒みたいな話って多いのです。例えば、はっきり言うかどうかは別にして「ビジネスのための文化」とでも言いたげな論が目につきます。それ、いいの?という文章を書いていきます。

    • 文化の読書会

      • 185本

      読んだ本の趣旨を1章ずつ1000字以内で書いていっています。

    • 本の感想を書いてます。

      本の感想をあまり長くなく、500字周辺を目安に書いたものです。

    • メイド・イン・イタリーはなぜ強いのか?

      最新著書『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』に関するさまざまなメモを書いていきます。

    最近の記事

    「小さくても成り立つ経済」に夢を感じる。

    何気なくWWDジャパンのポドキャストを聞いていて、ふと気になるコメントがありました。趣旨としては、原宿のファッションが世界に存在感を示せないなら、日本ファッションが世界に存在感を示せるはずがない、というのです。 話の流れは以下です。 原宿は銀座、池袋、新宿、渋谷などと異なり、鉄道駅の乗降者数が圧倒的に少ない。しかも、原宿や表参道の駅を利用してこの地域に来る人はショッピングを目的としている。つまり仕事のためではありません。その原宿は世界への情報発信地として名をはせてきたが、

      • 希望をもてるように現実を解釈する。

        現実を主観的に解釈する人を「ご都合主義」とか「客観的に現実を見られない頭の弱い人」と否定的にみる傾向があります。「過去のあの悲惨なケースに比しても」、いかに今が大層悲観的な状況であると論じた方が「ものが分かった人」と見なされる。 しかし、主観的で楽観的であることは「お気楽」ではなく、希望をもつための意思であるとおさえた方が理にも適うはずです。 殊に、現在のように面倒なことがサイズを問わず襲いかかってきている状況において、瞬時の判断が連続的に求められます。包括的かつ分析的に

        • 新大陸へのピューリタン移民の人口構造は、チーズ生産・販売に相応しいものだった。

          読書会ノート。 ポール・キンステッド『チーズと文明』第8章 伝統製法の消滅 ピューリタンとチーズ工場 20世紀最後、米国のチーズ生産は年間400万トンという歴史的な記録を作った。工場の量産体制で極限まで生産コストを下げたチーズは品質が均一であるが風味がなく、海外市場ではさほど評価されない。 その一方、一時は消滅していた農場つくり、あるいは専門の職人によるチーズが戻り始めた。当然、高価格である。今後のチーズの物語は、これらの2つのカテゴリーの発展と相克になる。 それにし

          • スポーツの光と影は「いつもの話」?ーカタールW杯で思うこと。

            カタールでのサッカーW杯がはじまりました。ただ、どうもミラノのぼくの周囲で「お祭りだ!」といういつもの雰囲気に欠けます。気のせいでしょうか? 「今回イタリアが予選落ちしたからかな?」と思っていたら、それだけではなく、ずいぶんと前からイベントの暗部が続々と報道されていて「なるほど」と思いました。日経新聞も開幕数日ほど前から、以下のような記事を掲載しています。 さて、9月から小さなオンライン勉強会を主宰しています。サステナビリティや人権へのリスペクトが地域によって不十分な現状

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            生きるために、必死に生きているのだよね?

            人は何かを目的として生きているのではなく、生きるために生きているはずです。だが、目的を言葉で説明できないと現代人の資格がない、と言わんばかりの話が多いなあと思います。 ビジネスのために設定された目的が、いつの間にか、人が生きるための目的に置き換わったような錯覚を与えている。だから、ビジネスの目的達成のために開発された手段が、あたかも生きるための手段であるかのように思い込まされている・・・または、生きるにあたり当然(前提)と思われるものが、ビジネスの手段として喧伝され、すべて

            「大きな主語」と「小さな主語」の間にあるもの。

            「日本は」とか「日本人は」という主語は大き過ぎる(と思う人は多いはずです)。 しかしながら、もっと大きなサイズである世界は平和であった方が良いに決まっています。気候変動によって人類が滅亡しないように努めるのは、地球に生きる人々の義務でもあるでしょう。 だからといって「自分で具体的に何をやっているか?」と問われると、口ごもる人が多い(と、やはり思っているでしょう)。COP27で地球温暖化を議論する各国代表にでさえ、本当に積極的かどうか疑わしい人たちも多そうです。例えば、この

            「会社人間」から「仕事人間」になろうって何?

            職業人生を再考しないといけないタイミングが定期的にあります。それは会社員であれ、フリーランスであれ、どちらも同じだと思います。定期的とは10年ごとくらいのことを指しており、職業人生を見直すのは、以下の記事にあるように50歳周辺だけではありません。30歳でも40歳でもあります。 その前提で、この記事には、ぼくが賛同する部分と賛同しかねる部分の両方があるので、感想を書いておきます。 階段をかけあがるだけがすべてではない、と見極めたとき 組織の階段を上ればより広い風景が見え、

            「歴史あるものは高価」は神話?

            「歴史あるものは高価である」と思われることが多いでしょう。 長い年数が経過し、かつ一定の評価を維持している。これが「歴史ある」の説明になっている場合が多いですが、ご存知のように、多くのものは時間の経過のなかで評価の浮き沈みがあります。 だから「歴史あるものは評価が安定している」とは言えないし、それが常に高価であるとは言えないのです。 そんな当たり前のことを今週、数々のインテリアデザインの会社や美術館を訪問し、つくづくと再認識しました。 殊に19世紀以前の家具や絵画を扱

            女性チーズ職人の知識が科学実証主義の男性社会に「流出」した18世紀。

            読書会ノート。 ポール・キンステッド『チーズと文明』第7章 イングランドとオランダの明暗 市場原理とチーズ キリスト教カルヴァン派の労働倫理観が中世末期以降、経済発展を後押ししたと言われる。 だが、実際をみれば、それ以前、ベネディクト会とシト―会によるチーズの製造は商業原理に沿い、修道院が荘園領主の経済モデルとなっていたのである。その下敷きのうえに、イングランドとオランダの市場原理の影響を受けたチーズつくりとビジネスがあった。 イングランドの荘園制は15世紀に崩壊をは

            人が人として生きられる資本主義とサステナビリティーー ブルネロ・クチネリの名誉博士号授与式で考える。

            この数年、ESGという言葉が飛び交います。環境や社会への注意が向かないビジネスのあり方が問題視され、上の記事にあるような動きが出てきています。そこで、このテーマに率先して取り組んできている企業創業者の話をしましょう。 ローマ大学が名誉博士号をブルネロ・クチネリに授与したわけ 2022年10月13日、ローマ大学で名誉博士号の授与式が行われました。博士号を受け取たのはブルネロ・クチネリ氏です。イタリア中部のウンブリア州にある小さな村・ソロメオに本社をおく自らの名前を冠した高級

            「起業は必然である」時代に生きている。

            今、日本の大学生から就職の相談を受ければ、「どこでもいいから、仕事してみなよ」と答えます。大手だろうが、スタートアップであろうが、まず「仕事するって何?」が自分なりに掴めなければ、どうしようもないからです。大学生の就職人気企業ランキングを見れば、大学生がビジネス社会をほとんど把握していないのは明らかでしょう。 幸いにして、日本でも転職はかなり一般化してきましたから、ある程度、自分の進みたい方向が見えたとき、その時点で分野や職種を決めて良いわけです。 というのも、かなり意欲

            自由を謳歌したいか?ー経産省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」をどう読むか?

            この半世紀、多くの議論は「人間を優先するか?経済を優先するか?」の二択に集中してきました。今世紀になり「地球環境を優先するべき」との観点が時を追って強大になり、三つ巴になっていると言えるでしょう。 民主主義か権威主義かの話題も、往々にして「民主主義は効率的ではない。劣化したシステム運営」と言われ、結局は前述の「人間を優先するか?経済成果を優先するか?」の範疇に嵌りやすい。結果的にというべきか、民主主義は世界の人口の3割しか享受していません。それも急激な勢いで減っています。

            会話に「名の知れた人の言葉」を挟むってどう?

            名の知れた人の言葉を自分の台詞に入れ込むとの手法があります。 他人の知恵を借りる、表現として簡潔、あるいは多くの人が共通に知っているであろうことを踏まえた方がメッセージが伝わりやすい等、いくつかの動機があります。 人によっては知識の広さを披露する場合もあるし、自分の喋る内容を権威づけたいとの狙いもあるでしょう。でも、これが受け手から反感を買われたりするのですね。 (ぼく自身のことを振り返ると、読んだばかりか、今、読んでいる本や映画のことをさかんに話す癖があり、うちの奥さ

            山岳チーズのエメンタールは、グリュイエールの職人たちの手によって誕生した。

            読書会ノート。 ポール・キンステッド『チーズと文明』第6章 荘園と修道院 チーズ多様化の時代 1世紀、ローマ帝国は国境防衛のために50万人以上を常時駐屯させた。衣料と食糧の確保のため、各地で農業基盤を築く。羊毛の衣料、穀物、ベーコン、チーズ、野菜が基本アイテムだった。よってローマからチーズ製造用の道具と技術を運び込んでいた。またヴィラにも食糧を依存していた。ローマの大農場システムが各地に散在していたのだ。 (羊毛産業、ミルクの生産、チーズ製造の相乗作用は、多くの地域で認

            イタリアの議会選結果に過剰に反応しないわけーー全体状況を落ち着いてみるためのヒント。

            時は進み、それに従い、人々の考え方や心も変化していきます。この移り変わりは、欧州の政治をみていても思います。この日曜日、イタリアの議会選の結果、右派政権が成立する見込みになりました。 上記の記事には、かなりおどろおどろしい表現が続いています。社会を、世界をさらに分断する大きな火種になると警告を発しています。 ぼくが時の移ろいを感じるのは、右派への重心移動そのものではなく、ぼく自身、「残念な結果だが、この変化が分からないでもない」とわりと自然に思ったことです。この国の選挙権

            軽やかに駆け抜ける人生を夢見たい?

            これまで80人を超える(主に)イタリア人に対してインタビューし、彼ら・彼女らの人生についての文章を書いてきました。 「人はいろいろと小さな経験を積み上げながら、ある年齢に達した頃にそれらを統合しはじめる。そのプロセスを聞き出したい」と思ったのが動機です。 とてもお世話になった人が亡くなった葬儀で、トリノにある教会の神父が「彼女は日々、細々とした雑事をこなす一方、いつも遠い先をみながら、それらを統合させる人生をおくった」と話したとき、ぼくは「統合」(イタリア語でintegr