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Nikon F3とフィルムの魅力と

Nikon F3というカメラをご存知だろうか?
僕の愛機の一つである、1980年〜2000年と長い期間販売されていたプロ用銀塩一眼レフ。

単純な僕はプロ用と聞くだけでもう心が大きく揺らいでしまうのだけれど、さらにこのカメラをデザインしたのはジョルジェット・ジウジアーロというイタリアデザイナーの巨匠。

知らない人からしたら「誰だよっ!」ってツッコミが入るかもしれないけど、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で博士役のドクがタイムマシンとして使った車であるデロリアンをデザインした人。
他にもアルファロメオやBMWやフィアット、トヨタやいすゞ、スバルといった幅広い車をデザインした世界一の車デザイナー。

Nikonのアイコン的グリップの赤ラインはここから始まった。
(最近のミラーレス機では赤ラインは廃止されて随分小さい赤いワンポイントになってしまったけどね)

特出すべきは横走りチタン製機械式シャッター。
もはやこの音とシャッターを切る感覚を味わってしまったが最後、指先が、耳がその感覚を忘れさせないない程だと思っている。

横走りなので移動距離が物理的に長く、最高シャッタースピードは1/2000秒までしかないので猛暑日で明るいレンズとかは苦手だけど、絞りやフィルムの選択で調整すれば何とでもなるし、当時ではそれが普通だったはずだ。

Nikon F3

僕がこのカメラを手に入れた理由は、フィルムカメラで浮気したくない気持ちからだった。
この一つだけで全てが叶うというカメラが欲しかった。
カッコよく言えば一生モノのカメラが欲しかったというべきか。

それには、ある程度玉数があり、堅剛で発売期間が長くリペアサービスがあって、さらには持っていて気分が上がるカッコいいカメラが条件だった。

ニッチなものを手に入れるとメンテナンスができなくて壊れたら飾り物になるとか往々にしてあると思うけど、できれば35mmフィルムが販売されていれば撮影できるようなカメラとして選んだ。

当時のキャッチフレーズは「Super Nikon」だったそうだ。
まさしくその響きに応えるポテンシャルとデザインを両立した王道のカメラ。

ここまで褒めちぎったけど、フィルム写真が上手な人がよく口を揃えていうのは、「フィルムカメラのボディは箱だ」という話。
フィルム(今で言うとセンサー)があって、シャッター幕を開ける時間が決まっていれば、自ずと同じ絵になるから、重要なのはレンズの方である。
こう言う理屈だそうだ。

僕はそれは違うと思う。
操作性や素材、機構の信頼性や、持っていて高揚する気持ちが沸くカメラであれば撮影する絵が変わると思っているから。


近年の流行で高校生や大学生がフィルムカメラを使うという話をどこかで読んだ。
学生でなくても、これからフィルムカメラを始める方がいるならぜひこのカメラを勧めたい。

勉強になるし、レンズは豊富だし、値段もそこまで高騰していない。
自分にとって最高の一台になることを保証しよう。

僕は業務用フィルムを使ってよく写真を撮った。
リバーサルフィルムのプロビアを使って工場で現像して貰ったり、コダックのネガや消費期限が10年以上切れてしまったフィルムで撮ってみたこともある。

とにかくフィルムは面白い。
常にセンサーはフルサイズ。写真になる時はカメラショップの店員が調整してくれるからピントさえ外していなければ大体いい感じの絵になる。

FUJIFILMのフィルムシミュレーションで喜んでる奴が何を言うかと思うかもしれないけど、またいつの日かフィルムが恋しくなった日にはカメラを操る楽しさと、想い出を閉じ込める喜びを享受したい。


長くなってしまうけど、ここからは自慢話。
このカメラを使って撮った写真を上げようと思う。

真紅の彼岸花

フィルム写真というのは不思議なもので、枚数に限りがあるからか、一枚にかける想いがデジタルと異なるからかは分からないけど、撮った時の記憶が写真を見ると思い出しやすい気がする。

この彼岸花は、日の丸構図なのに手前がボケてくれたおかげで形になった。

カメラ目線のホワイトタイガー

これらの写真は現像してからスキャナーで一枚ずつデータ化したものなので、拡大すると少し粒子が荒い。

ガラス越しでも工夫さえできればすぐそこに居るような写りに。
絞りと露出を悩んでモジモジしていた所でシャッターチャンスが到来した。思い切ってシャッターを切った思い出。

影の立役者トキワハゼ

これはマクロレンズを使って地べたに這いつくばって撮った記憶がある。
一時期、脇役にこだわって写真を撮っていた時期があって、これは、その時に撮った一枚。
(変な人と思わないでほしい。)

夏の光とラムネ

選ぶフィルムによって同じ状況でも表現が大きく異なるのもフィルムカメラの魅力だと思う。
これは多分KodakのGOLDだと思う。

凍てつく払沢の滝

三脚を担いで頑張った時の写真。
この日は本当に気合が入っていて、重たい金属製カメラを二台持って行った記憶がある。
F3とD7000だったか…デジイチの方は記憶が定かではない。

みんな大好きネモフィラ

脇役が主役シリーズ第二弾。
ボケている背景側は銀塩らしい粒子を感じる。
やっぱりこの粒子感がフィルムの良さかなと感じる。
多少乱暴に撮ってもピントさえ合っていればそれ風な写真になるのもアドバンテージになり得る。
今の技術で言うとRAWデータで撮って、現像はプロにお任せなイメージ。


たくさんの気持ちや知識を取り留めもなく文字に起こしてみたものの、メカニックな話でも具体的なフィルムのおすすめでもない感じとなってしまった。

僕はネット情報はあくまで個人の感覚に依存する情報が多いと思っているので、そのスタンスで一意見として見てもらって、もし意見があるなら是非お聞きしたいと考えている。

F3の魅力とフィルムの良さが少しでも伝わることを願って。
それでは。

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