人は共同繁殖する動物であるということを忘れているから”虐待”を理解できない ー「世界は美しくて不思議に満ちている」読書感想ー

こんばんは、南極の湖に生えているコケの研究をしたいと思っているライアンです。

僕の通っていた高校は理科教育に力を入れていたため、よく外部から現役の研究者の人をゲスト講師として呼ぶことがおおくありました。

その中の一人に僕に南極のすばらしさを伝えてくれた田邊さんがいて、
今の進学志望先である「総合研究大学院大学」の名前を最初に伝えてくれた長谷川眞理子さんがいます。

長谷川さんは人類の進化などを研究してに生えているコケの研究をしたいと思っているライアンです。


僕の通っていた高校は理科教育に力を入れていたため、よく外部から現役の研究者の人をゲスト講師として呼ぶことがおおくありました。


その中の一人に僕に南極のすばらしさを伝えてくれた田邊さんがいて、

今の進学志望先である「総合研究大学院大学」の名前を最初に伝えてくれた長谷川眞理子(現・同学学長)さんがいます。

長谷川さんは野生動物や狩猟採取生活を続けている部族の観察を通して人類の進化などを研究されています。

そんな長谷川さんの名前を数年ぶりに見かけたのは大学の図書館の中。
大学院入試に向けて生態学や進化についての面白い本がないか探している最中でした。

タイトル「世界は美しくて不思議に満ちている」という響きに惹かれ
(僕も同じように感じているためです)手に取ってみると表紙には北極と思われる風景が。

これは面白いと直感して中を見てみると
情報が多すぎるし、リアルな体験を得られる機会が減っている世界において、好奇心を原動力にして今の現代文明を築き上げた人類の子供はどのように成長するのか。(ライアン要約)

といった内容のことが書いてあり、僕の感性にドンピシャでした。

その本の中でも特に、面白いと感じたのが「ヒトは共同繁殖する生き物である」という内容。

生物が子育てをするとき、4つのグループにわけられます。

・母のみが育児をする
・父のみが育児をする
・両親がそろって育児をする
・両親とそれ以外の個体が一緒になって育児をする

もちろんヒトは4つ目です。

狩猟採取をしていた時代、現代における文明から離れた部族、太平洋戦争前後の日本においても子供は社会全体で育てるものでした。

祖父母に預けたり、子供が泣いていたら親以外のヒトが声をかけたり。

つまり、今の核家族化が進んで両親のみで子供を育てるという環境がヒトという生物にとって異例であることがわかります。

(ここまで偉そうに語ってますが全て本の受け売りですのであしからず)

それを前提にすると、今まで理解できなかった親による子供の虐待に至るまでのロジックが見えてくるというところに感動しました。

どれだけ「ヒトは特別である」と思い込もうと、他の生物と同じく自然淘汰をくぐりぬけてきたただの動物であるという事実に揺るぎはありません。

むしろ今のような生活になっている方がホモ属が生まれてからの20万年間でよっぽど異例。

これまでの殆どを子供を両親だけでなく、血縁者や近くの人(ヒトは他人の子もかわいく見える)で育てていたところを、戦後を境にして両親だけで育てる環境に。

そうすると、今までは社会全体で持っていた育児の責任が親の肩だけにのっかることに。

そして、それに耐えきれなくなった人(育児の環境を整えられなかった・狂った人)が虐待に行ってしまうと。

ヒトが独立するまでに20年以上が必要で、その間の親のコストはとても大きなものになります。親も生物である以上、コストに耐えられなければそれを排除しようとしてしまう。

もちろん、すべてのケースにおいて虐待などになってしまうとは限りません。ヒトは共同繁殖する種である特性がプラスに働けば救われることもあります。

読んでいて、これを人はきれいさっぱり忘れてしまっているよなーって思いました。

だから虐待のニュースが流れると親を責めてしまう。
僕もその一人でした。

必死に生きようとすることは生物の本能として全く間違いのあるものではありません。むしろ完全に正しい。

今から戦後に築かれた社会構造を大きく変えることは果てしなく難しいと思います。それこそ、(あってはならないものですが)戦争がもう一度起きるなどすれば変わるかもしれません。

であれば、今の社会の中で共同繁殖をする種の特性を生かした場を作ることが今後より一層求められるのではないかと思うのです。

出産の前後で両親の近くにいることはあることだし、
出産前後の世帯と、手が空いている祖父母世代がであるシェアハウスみたいなものがあってもいいと思います。

これからの社会を作っていくうえでホモ・サピエンスの特性を知っておくことは重要であると思います。
特に、何か多くの人が笑える社会を望む人は。

そんな人にオススメの一冊です。

生態系とかの勉強にしたいっていう目的にはちょっと届かなかったけれど(イントロでわかっていたことですが 笑)、進化をに興味をもちたい生物系学生にもオススメです。


この記事が参加している募集

読書感想文

頂いたサポートは、南極の植物を研究するために進学する大学院の学費や生活費に使わせていただきます。