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誰がための、受験?③ ドラマ『スカイキャッスル』第2話を観て

自分を正当化するために、他人を否定することでなんとか生き延びようとする。それは本当に自分や他人の解決になるのでしょうか?
先々週の金曜日に続いて、今回はそんなことを感じた『スカイキャッスル』の第2話について書かせていただきます。
今回もかなりハードに地位と名誉に振り回される人たちが描かれていました。
私はこちらの事業所でさまざまに表現を模索する利用者さんと交流させていただきながら、あんなこんなを書かせていただいています。
そこには「届ける」という自覚とともに責任も感じています。書いたら終わり…ではありません。
書いた後に書ききれなかったことがあると、いつも反省しています。それは責任感を感じている証でもあります。
この事業所にいるみなさんもそうです。
そんな日々なにかを生んでいる中で、読んでいただける方がなにかを受け取っていただければ、これ幸いです。

【今回のああだこうだ】
(※以下の文章には、物語の中身が書かれています。ご了承ください)

〇自殺した母親の息子の弱さ

戸田菜穂さん演じる母親の自殺に至った経緯が冒頭で描かれていましたね。
前回、書いたように、息子さんが信じるのは母親ではなかった。難関校合格という目標を達成し、親の束縛からとにかく逃れるために家政婦さんと現実逃避。
果てには、男子中学生の息子と家政婦さんとのあいだに子供が…。そして息子は、母親を置き去りに。
「若気の至り」であろうが、母親への裏切り行為に及んだ息子。
どれだけ本気であろうが、家族を作る・生活を共にし子供を育てていく大変さや責任など知る由もない年齢。
唯一、自分の弱さを見せられた家政婦さん。一度寄りかかると、彼の気持ちは止まらないドミノ倒しのように家政婦さんへ。
「隙」は誰にでもあるもの。気持ちが弱っていればなおさら。そして、そんな自分を肯定してくれて心の隙間を埋めてくれる人がいるなら、またなおさら。
でも、それが「愛している」ということに直結する言葉や気持ちになるのかどうか?
私はこのふたりが「情けは人のためならず」の着地になるような気がしてしょうがないです。

〇テストの順位が下がり、発狂する娘

「上に立つ人間は上に立つ欲望に終わりがない」
ドラマの終盤で木村文乃さん演じる作家兼主婦のセリフが象徴するシーン。
娘は小雪さん演じる九条講師じゃないから成績が下がった!と、松下奈緒さん演じる母親に喚き散らす。(学年で3位とトップクラスなのに贅沢言うな!と思ってしまう私)
そこまで九条講師が責任を持たなければいけない問題なのか?
そもそも、九条講師を責める問題なのか?
自分が取ってきた成績は自分の実力。あくまでその手助けが塾講師の仕事。
娘は何か心象の悪いことがあったら、自分のせいではなく他人のせい。これじゃあ、ハラスメントする人や目を瞑れないクレーマーとなんら変わらない。
そんな人をよーく見ていると、いつも殺気立っている。そんな人がいる空間は、いつも殺伐としている。
なぜそうなるの? それは本人の視野がものすごく狭い状態になっているため。なおかつ、自分のことを顕微鏡で何百倍と倍率を上げて見ているから、自分の全体像や回りがよーく見えてないんです。
「〇〇のせい」とこだわって責任転嫁しなければ、自分で自分を諫めて、いさぎよく認めて、そして謙虚になれて。そうすれば自分も相手にも優しくなれるはず…。

〇娘のために自身の高すぎるプライドを捨てて、賄賂を差し出して土下座する母親

娘のためとは言いながら母の気持ちの裏側は「私が街で風を切って歩くため」と想像してしまいます。
だからと「これでどうかお願いします!」と相手に金でモノを言わせる。
そんなよこしまな心はお見通しと言わんばかりに九条講師は送り返す。
それでもなお「娘はあなたでなければ!」と食い下がる。もうこうなったら母親も意地。もはや自分のために頭を下げているようにも見える不可解さ。
「執着心」もここまでくると、恐怖です。
「どうしても!」それが人をますます窮屈にさせていくように感じます。

〇「こんなはずじゃ…」と塾講師を傷つける母を亡くした息子

家政婦との甘えた関係を持ったにもかかわらず、母親が亡くなった途端、絶望する息子。
その矛先を九条講師に向け「あんたの言うとおりにしたのに…」とナイフを突きつけ、切り付ける。
九条講師が「塾講師である私はご家庭の事情には口を挟みません」とは言っておきながら何を言ったのか?はまだ定かではない。
もう、ここまできたら「言った・言わない」の水掛け論。責任のなすりつけ合い。
ナイフで切りつけ合うような傷つけ合いをしてて、誰かが幸せになるんでしょうか?

このドラマだけでなくいろんな人と交流したりして、つくづく、ホントの意味で人って理解し合えない・交われないなあと。
それはなぜ?
やっぱり、自分の杓子定規で人やモノを測るから。
やっぱり、足りないものばかりに目が行くから。
やっぱり、人のものを欲しがるから。
やっぱり、人の目って厄介なものがついて回るから。
やっぱり、自分がかわいいから。
私なりに考えて…。

こうやって書いていても、明確な答えが出せない。それが人の不思議ってものかもしれません。
もし、完全なる答えが出せたら、ノーベル賞ものですね。

以上、今回のああだこうだでした。

【執筆:Oneness A 年がら年中IceCoffee】