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この瞬間

とまる
とまる
全部とまる

換気扇の羽
橋を流れてゆく電車
蛇口から駆け出す水道水
一点に集まっていく鳥たち
手から滑り落ちるコーヒーカップ
跳ねて宙に浮かぶあの子
殴られそうなあなた
頬に当たる空気抵抗
震える粒子
私の心臓の
もうひと打ち

ここで
時間は
罠にはまった
誰もが惹きつけられては
逃れるものはいないっていう
あの暗闇

けど
結晶化なんて
綺麗すぎ

わたし
いやだ

願わくばもう一度
最小の粒になるまで分裂
あっつい濁流になって
アマゾンの熱帯雨林へ
地球のマグマで
飽きたりないなら
ブラックホールLB-1に
流れればいい

4次元通り越して
この瞬間の選択肢ってやつを
全部試したとしても

同じコーヒーカップを滑らして
砕け散っている

目には見えない黒点
そう、私は選んだのだ

私の心臓の
もうひと打ちに
宇宙の全てをかけて

#poem

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