女ターザン:クリスマスパーティは危険がいっぱい!

今日はクリスマスパーティ!広い会場、一流シェフの料理、山のように詰まれた世界各地のフルーツ、きらめく衣装の美男美女たち。マークに連れられて来たマリアは、はじめてみた光景に心を躍らせていた。

「スゴイわ!マーク!こんなクリスマスパーティ、はじめて!」
「伯父さんは大金持ちなんだ。僕には見慣れた光景さ」

マークが得意げな顔で言うと、会場が突然暗くなり、スポットライトが壇上の一点に当たる。キレイな七三分けに、筋肉質な体、光に煌めくスーツ、巨大な宝石のついた指輪、口には金歯が並ぶ。

「皆さんパーティに来てくれてありがとう!今日は私の誕生日でもあるんだ。今年は腰の調子を悪くしたこともあり、開けるかどうか心配だったが……」

長話がはじまった。マリアはおいしそうな料理を目の前にお預けをくらい、うんざりしていた。マークが何度も僕の伯父さんスゴイだろと話しかけてくることにも、イライラしていた。

金色の髪をいじりながら、マリアは早く話が終わらないかと待っていたその時である!

KABOOOM!!!!

突然の爆発!深編笠を被ったコムソウめいた男たちが大挙する!

「ブッキョ!」「ブッキョ!」「ブッキョ!」
「なんだね!君たちは!」

男たちは答えない。代わりに錫杖マシンガンが火を吹いた!

「ゴバッ!!!」

マークの伯父さんは死亡!スポットライトが禿げあがった袈裟の男に当たる。

「私はブッキョキュウセイダン団長クーカイである。邪悪なジーザスクライストを信奉し、堕落に身をゆだねる豚どもに天誅を下しに来た!」

マークは泡を吹いて倒れ、マリアは恐怖に身を震わせた。

「そこの金髪の女!金髪は堕落の象徴である!まずは貴様から地獄へ送る!」

マリアとクーカイの目が合う。コムソウめいた男たちはマリアを掴み、強引に壇上に上げる。

マリアの顔は恐怖に染まっていた。両親はジーザス信奉者だが、自分はジェダイのほうがクールだと思っている。だがそんなことを言って許される雰囲気ではない!

「誰か助けて!」叫んだが、誰も動くものはなく、マークは相変わらず泡を吹いて倒れている。このままマリアは無残に殺されてしまうのであろうか!?

「そんなことさせないわ!」

突然の女の声!大地のように力強く、風のように優しい響き。この声は一体だれか!だれなのか!

「女ターザンよ!」

ツタを駆使し、ジャングルからコンクリートジャングルまでスイングアクションでやってきた!

「友達のためならどこまでも!友情の戦士女ターザン!」

会場の最も高い位置の窓を突き破り、そこに立つ女ターザン!黒髪が風で揺れる。今日の服装は赤と白の毛皮。豊満な胸がいつもより強調されている!

「今日はクリスマスだからいつもよりホットよ」
「破廉恥な!やつに仏罰を下すのだ!」

クーカイは大声で叫び、一斉に錫杖マシンガンが放たれる!

女ターザンは蔦から蔦へ飛び移るように、天井の飾りから飾りへ飛び移り華麗に回避!

「でもあのままじゃいずれ追い詰められるわ!どうするの!」

マリアは心配そうに女ターザンに叫んだ。

「大丈夫、ジェシー出番よ!」

CRAAAAAAAASH!!!

会場の壁を突き破り、ゴリラのジェシーが現れる!コムソウめいた男たちを剛腕で次から次へと吹き飛ばし、ゴミクズに変えていく!

「あの畜生に天罰を下せ!!!」

クーカイの声と共に、錫杖マシンガンがジェシーに一斉に放たれる!だが鋼の肉体は弾をはじく!跳弾がそこら中に飛び、会場はパニック!

女ターザンは天井で弾をかわし続け、地上ではジェシーが暴れまわる!この光景にしびれを切らしたクーカイが動き出す!

「アレを出せ!」

クーカイが通信機に叫ぶと、空で待機していたヘリから木箱が落とされる。天井を突き破りクーカイの目の前に落ちる。その衝撃で木箱が開かれた。

中身は仁王パワードアーマー!仁王のような逞しい腕と、鬼のような恐るべき顔のアーマーをクーカイが装着!背中のブースターを吹かし一直線にジェシーへ向かう!

ジェシーは向かってくるクーカイに拳を突き出すが、それをものともせず、壁に押しつぶす!

「ジェシー!許さないわよ!ヨシエ、仇を取って!」

女ターザンが叫ぶと、クーカイの足元が盛り上がり、破壊!巨大な口が開かれる!下水道育ちの10mを超える巨大アリゲーター!都会で出会った女ターザンの友達だ。

巨大な顎がクーカイを捕え、圧し潰そうとする!だがクーカイは両手を広げ耐える!それでも徐々に口が閉じ、飲み込まんとする!

パワードアーマーのふくらはぎが開き、口の中に何かが落ちる。突如ヨシエが爆発!落ちたのは独鈷グレネード!クーカイ脱出!

「次はお前に神罰を下してやろう」
「ヨシエまで……!仕方ないわね。ミネルバ!」

天井を貫き、待機していたヘリが墜落!天井に空いた大穴の先には……巨大な翼で飛ぶドラゴン!

「徹底的にやって!ミネルバ!」
「貴様のような天魔は!仏に代わり滅ぼしてくれるわ!」

背中、両足、全てのブースターが開かれ、ミネルバに向かい一直線に飛ぶ。だがミネルバは全く動じず、地獄のような火を吐いた!

クーカイは火の中に突っ込み焼死!肉体が消え、骨だけが残る完璧な火葬!火は会場の中にまで届き、コムソウめいた男たちをも焼き尽くす!

「ありがとうミネルバ!あとで牛一頭おごるわ!」

ミネルバはそのまま飛び去り、ジャングルへ帰っていった。全ては焼き尽くされ、そこに残った人間は、壇上におり無事だったマリアと女ターザンのみ。

女ターザンはマリアが無事で良かったと笑うが、ドラゴンの炎はコムソウめいた男たちと共にパーティ参加者もマークも焼き、マリアは茫然と立ち尽くしていた。そこにマッコイおじさんが駆けつける。

「ここで闇取引で大もうけした金持ちたちが集まるって聞いてやってきたんだ。全員死んだのなら逮捕する手間が省けたよ。あとマークは、伯父を盾に脅迫を繰り返していたクズなんだ。死んだのなら良かったよ。」

「これにて一件落着ね!」

女ターザンがセリフをキめると、マリアの顔に笑顔が戻った。頑丈だったのでゴリラのジェシーもアリゲーターのヨシエも無事だった。今日も都会の平和が守られた。

【完】

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます