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なんでもない日常に幸せを思い出す

繁忙期が終わった。
緊張感から解放されて,
少しばかり穏やかな時間が流れる。

来ることがわかっている繁忙期。
だからこそ,穏やかに乗り切るための準備を
少しばかりしていた。

繁忙期を終えて,
うまくいったと思うこともあれば,
もっとこうしたいと思うこともできた。

繁忙期の終わりは,
次の繁忙期の始まり。


と言いつつも,休息は大事だ。
一ヶ月以上,完全なオフとはいかなかった,
頭と身体,心を休ませてあげる。

話はそこからだ。


土曜日は昼から和牛を食べた。
炭火の焼き肉だ。

和牛は,良い。
どんなに疲れていても,
もやもやすることがあっても,
和牛を食べたら,受け流せるようになる。

イライラしている人を見ても,
和牛を食べたらいいのに,と思う。

あるいは,
和牛を食べていないんだから,しようがないと思う。

そんな和牛の幸せに包まれて,
身体が欲するままに寝る。昼寝をする。

夕方を過ぎて目が覚めて,
こんなにも疲れていたんだと自覚する。
(そして,夜もたっぷり寝る)


寝るというのは,良い。
どれだけ散らばった現実も,
どれだけもやもやした気持ちも,
すべてが眠りにつく。

睡眠不足は感情のコントロールを失わせるらしい。

自分の機嫌が自分で取れなくなったと思ったら,
思いっきり寝たらいい。何よりも優先して,寝たらいい。


少しずつ回復してきた日曜日。
今が旬の果物を買いに,少し遠出して。
人間たちの喧騒から離れた場所で,モモを買う。

帰宅後は小説を読む。
自分とは違う人生を歩む登場人物の世界にひたる。

走る,とは,きっと気持ちがいいことだろう。
潮風吹く海辺の街は,きっと心地がいいことだろう。

それは,私には活字から想像するしかない世界。


夕方になる。
夕食の準備のために,
育てているミニトマトを収穫しに行く。

昨日はそう,すごく気持ちのいい夕方だった。
気温は低くない,だけど湿度が低いんだろう。
吹く風は気持ちよく,揺れる木々も心地よい。

ミニトマトを収穫し,食べる。

ただそれだけのことが,
少なくともここ一ヶ月は忘れていた多幸感を
思い出させてくれる。


小説の中の世界は,
とても穏やかで激しくて愛おしくなる。

それは,悩みながらも,(本人たちは懸命だと気づいていないと思うけれど)懸命に生きる,何かを考えて生きている彼らがいるからである。だけども,彼らにも変えられない現実もある。そんな日々が愛おしい。ずっと浸っていたくなる,その世界観。

だけどきっと,
小説の中の世界と同じように,
現実の世界も穏やかで激しくて,愛おしいのだ。


当たり前の日常を穏やかに繰り返す日々が,
穏やかではいられない激しい感情が,

そこにはある。



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