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お揃いのタトゥー「東京反物語 Tong Kio Anti-Narrative」

◆作品紹介

مركز線、삼鷹站、極ٱلْمَشْرِق、東京が砕け散っている。いつものことだ。粉々になった街と粉々になった言葉がわたしたちの肉体と脳を引き裂いて回り、その肉塊は貪られながら遥か彼方の、見知らぬものたちへとその記憶を伝播する。そうしてあらゆるものは混濁し、わずかな韻律の面影だけを頼りに再配列される。それは別に特別なことではなく、すべての街とすべての言葉は多かれ少なかれ、そうした仕方によってつくられている。過去のキメラ、未来のキメラ、生のキメラ、死のキメラ、胎児のキメラ、老犬のキメラ、キリストのキメラ、アッラーのキメラ。そうしたものたちが集う場所こそが東京、いやTong Kioなのだ。不世出のポエマー・お揃いのタトゥーが送る Tokyo shitを存分に味わって欲しい。かつて、寝過ごして開けたドアの向こうに東京はなかったらしいが、寝付けないわたしたちには最初から、関係のないことだ。(編・青山新)

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