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多様性が育まれ、新しい気づきや新たな価値を生み出す トヨタ自動車が取り組むアルムナイネットワークとは【横浜人事カレッジ#4 千々岩 真志さん】

こんにちは。
ダイバーシティ&インクルージョン推進を組織と人の側面から支援するAn-Nahal(アンナハル)です。

2024年1月29日に、An-Nahalがモデレーターを務める横浜人事カレッジの第4回を開催しました🎉

今回はトヨタ自動車でアルムナイ事務局の一員としてアルムナイ採用を担当している、人材開発部 組織開発・育成室 主任 千々岩さんをゲストにお招きし、アルムナイコミュニティの取り組みと経験をお話しいただきました。

📝 横浜人事カレッジとは?
イノベーション推進が加速する企業において、「人事」としての役割・視点・知識をゲストや企業の垣根を超えた参加者との越境体験のなかで共に学びあう、横浜未来機構主催のコミュニティです。

毎回異なるテーマに関連するゲストの経験やリアルな事例を学べるイベント、様々な企業の人事担当者との交流や情報交換ができるオンラインコミュニティに参加できます。

アルムナイコミュニティの運営を開始した当初は、社内から「退職を推奨しているのか」などの声もあったそうですが、周囲を巻き込み、退職者とポジティブな関係性を構築するための方法とは?

当日の様子をお届けします!


ゲストスピーカー:トヨタ自動車株式会社 人材開発部 組織開発・育成室 主任 千々岩 真志さん

2010年に大手通信会社に新卒入社。ネットワークエンジニア、法人営業、新卒採用・若手育成と幅広くキャリアを歩む。新卒採用においては、現場のエンジニアと一体となってソフトウェア人材の採用に注力。

2021年にトヨタ自動車人事部にキャリア入社。キャリア採用方針の立案、ソフトウェア人材の採用・育成と東京採用拠点の立ち上げを担当している。

千々岩さんの講演からスタート。
会社の方針や外部環境の変化をお話しして頂きました。

トヨタがアルムナイコミュニティを作ったきっかけ

トヨタがアルムナイコミュニティを作りはじめたきっかけは、現場の若手社員の声でした。

若手社員がリンダ・グラットン著 『LIFE SHIFT』を読んだ際に、外部環境の変化により「リスキリングなどの無形の資産に価値を置く」ことが重要になるという部分に共感し、トヨタにも取り入れていきたいと思ったそうです。

それまでトヨタが抱えていた課題として、

  1. 本社の立地もあり他社との繋がりが作りにくく、若手社員の成長機会が限られていること

  2. 退職がポジティブに捉えられない場合があり、自律的なキャリア形成を後押しできていなかった

があったといいます。

これまでいなかったような人材の採用や若手の退職問題に対処するため、アルムナイコミュニティの創設が決定し、2022年3月から取り組みが開始されました。

社内に受け入れてもらうためのコミュニケーションとは

アルムナイコミュニティの運営を始めた当初は、「退職を推奨するのか?」「転職しやすい環境になるのではないか?」という意見もあったそうです。

そのような意見に対して事務局として、「会社を卒業して活躍する人が増えることで会社としてのブランディングにも繋がる」といったポジティブな面を押し出しつつ、考えられるリスクを1つ1つ挙げながら、地道にコミュニケーションをとっていきました。

また、「退職者」ではなく「卒業生」と言うことで「退職=裏切り者」というイメージを払拭するように心がけてきたといいます。

コミュニティを盛り上げるために繋がりの場を意識する

ブレインストーミングでアイデアを出し合う参加者

2022年3月にアルムナイコミュニティを創設した後、苦労したのは社外での認知度の低さでした。
それまで会社を卒業した方たちのコミュニティがなかったため、ひとづてでコミュニティの情報を連絡、採用ページにアルムナイ向けのページを掲載するなどを行なったそうですが、効果は薄かったといいます。

しかし、その後アルムナイ向けのホームページを開設し、新聞など各種メディアに取り上げられたことで、コミュニティの参加者が3倍(!)になったそう。

また、コミュニティを盛り上げるために、下記のような様々な施策を実施しています。

【施策の一例】

  • アルムナイでの懇親会の実施

  • アルムナイ限定の情報を公開

  • アルムナイへのインタビュー記事をコミュニティ向けに発信

  • バーチャルオフィスでのリモートワーク

  • アイデアソンやピッチの実施

施策を通して意識していることは、繋がりの場として機能するように設計すること。
会社を押しださず、異業種交流会のような役割を果たすことで、アルムナイの方から新規事業や協業提案などもあったというのを聞いて驚きました。

理想のコミュニティは、社会的な企業価値の向上に繋げること

もし自分がアルムナイだったら、どのような施策が嬉しいかという軸でディスカッション。
会社の設備を使えたり、クローズドな情報が知れると嬉しいという声も。

社内でアルムナイコミュニティのオーナーシップは誰が持つべきかという点が現在の課題の一つだと共有していただきました。

たとえば、採用担当者がオーナーシップを持つことで、KPIが採用数になってしまい、コミュニティには参加したいけれど出戻りはしたくない人を巻き込むことが難しくなることが具体的な例として挙げられていました。

最後に、アルムナイ同士が自発的に交流を深められるような仕組みを作ることが、アルムナイコミュニティ運営を行う中で1番重要だといいます。
そのためにアルムナイに価値を感じてもらえるような企画を作っていくことが現在の目標だそうです。それらの取り組みが中長期的に社会的な企業価値の向上につながってくると考えているそうです。

また、アルムナイコミュニティに現役社員も巻き込むことで、会社がどのような価値を顧客に提供しているのか再認識する場としても活用していきたいと今後の展望をお話しいただきました。

参加者の声

ご参加いただいたみなさまと📸

参加者の声を一部ご紹介します📝

  • 取り組みの背景・経緯・実例・課題を当事者から共有いただいたことで、アルムナイ運用にとても参考になった

  • グループワークでの意見交換を通じて、新しいアイデアについても知ることができ、有意義な時間だった

  • 実地の取り組みと課題のリアルを共有・議論できたことで、通常のセミナーでは学ぶことのできない内容だった

まとめ

An-Nahal編集部員もこのイベントに参加しましたが、「辞めた時はトヨタのことが嫌いだったとしても、違う会社で働いて、いいなと思った人もいるはず。どのような部分がダメだったかというフィードバックがほしい」と社内の人材育成の観点でもアルムナイコミュニティが活用できる点が印象的でした。

横浜人事カレッジの開催は2月27日(火)です📝
旭化成株式会社 人財組織開発室 三橋 明弘さん、人事部 人事室 大山 萌さんをゲストにお招きし、社内で推進しているキャリア自律支援施策の仕組み化と、社員への浸透方法についてお話しいただきます。

お申し込みはこちら👇

みなさまのご参加をお待ちしております

アルムナイコミュニティに関するおすすめの本はこちら👇


An-Nahalは、ダイバーシティ&インクルージョン推進に役立つ情報とヒントをさまざまな方法でお届けしています。

  • note: D&I推進に関するノウハウやプログラム参加者のインタビュー記事など

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