【3分小説】律儀な悪魔
真っ暗な部屋にロウソクの火が揺らめいていた。部屋の真ん中には円形をベースにした幾何学模様が描かれた布が敷かれている。開いて置かれた古びた本を前にして、一人の青年が正座をした状態で祈るように両手を組んでいた。青年は真剣な面持ちで目をぎゅっと閉じていたが、突然目を開けると低く厳かな雰囲気で声を張り上げた。
「ランランチョムチョム!」
発声と同時に青年は両手を開いて上方に広げた。そのまま青年は動きを止めた。静寂が辺りを包む。しばらくして、青年は緊張を吐き出すようにため息をついた