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8月に読んだ本

さっき確認したら今年読んだ本は現時点(9/14)で50冊。目標にしていた200冊の半分にも達していませんでした。おそらく50冊でも社会人としては十分に読んでいる方なのかもしれないと思いつつ、部屋に日々積み重なっていく積読の山を見て、遠くに見える山は簡単に登れそうだけど、近付いてみるとそんなことはないのだなあと、近いのに遠い目になってしまったのでした。

さて8月に読んだ本!

人生ミスっても自殺しないで、旅

Twitterで有名(?)な諸元シュタインさんが本を出す、しかも心惹かれるタイトル!と脳内に刻み込み本屋に駆け込んで購入した記憶がある。タイトルの『人生ミスっても自殺しないで、旅』は、諸隈さんのTwitterの呟きからとっている。

「人生ミスっても自殺すればいい」ではなくて、「人生ミスったら旅に出ればいい」の方がいいよね

旅先は、イギリス、アイルランド、ルーマニア、ブルガリア、旧ユーゴ、ウィーン、ドイツの7カ国。どこもヴィトゲンシュタイン縁の地だ。心地良く過ごせる国もあれば、アジア人差別にあい、まともな食事もとれず、野宿の日々を過ごしたような国もある。この旅の後半は、一言でいえばみじめといえる。できる限り明るく描かれてはいても、自分と同じ日本人が人間扱いされない描写には、酷く胸が痛んだ。

本書で伝えたいのは、自殺しないでというメッセージではない。旅に出たら自殺なんてどうでもよくなるよということでもない。ただ、旅に出ると、どうしても自分と向き合わざるを得ないということだけはわかる。好きな自分も嫌いな自分も、意外な自分にも出会えるのが旅だ。

男も女もみんなフェミニストでなきゃ

正直、タイトルの「〜でなきゃ」に脳が拒否反応を起こしていた。強制されることが嫌いな性分なもので、この手の自己啓発本のような煽りタイトルを見ると距離を取りたくなる。本書を実際に読んだ今は、タイトルの意図していることがよくわかる。本書で一番の学びは、フェミニストの定義だ。

フェミニストとは、すべての性が平等な権利を持つと信じる者を指す

つまり、男も女もフェミニストでありうる。フェミニスト=女という認識を持っている時点でミソジニストと定義してもいいくらいだ。フェミニストは女性がなるものだという考えが広く普及しているのは、そもそも現代社会では性の平等が守られておらず、男性優位の社会構造になっているからだろう。もしこれが女性優位の社会であれば、フェミニスト=男を示していたかもしれない。

TEDのスピーチを文字に起こしたものなので、さくっと読めてわかりやすい。

愛蔵版 モモ

ミヒャエルエンデの『モモ』。本当に素晴らしい児童文学だよね。大人になって読むと、しみじみと良いなと思える。『モモ』のテーマは、時間泥棒。灰色の男がある日、人間たちの目の前に現れ、時間を節約せよとアドバイスしていく。節約すればこれだけの時間が浮いて、時間を貯蓄することができるんだよと。

しかし、時間は節約すればするほどなぜか失ってしまう。よく考えればわかることだけれど、時間には節約という概念も、貯蓄という概念もない。誰にとっても等しく過ぎ去るもので、取り戻せる時間なんてものもない。そして時間を節約する=無駄を排除することは、生活が痩せ細っていくことを意味する。効率化がいつも正しいとは限らず、人の心を豊かに育てていくうえでは、一見無駄と思える時間がこそが大切なのだなと改めて思った。

私とは何か――「個人」から「分人」へ

以前読んだ『空白を満たしなさい』にチラッと出てきた分人主義。その思想の中身について書かれた1冊。最初に言っておくと、本書の内容すべてに同意することは私にはできない。分人という考えは非常に素晴らしいし、生きづらさを感じている人が悩みを解消するには良い本だと思う。でも結局、人を人で分けるような考え方は、後々混乱を生むのではないだろうか。

分人と似たような発想を、私も以前したことがある。そもそも他者との関係のなかで「生きづらい」と感じてしまう理由のひとつとして「本当の自分」問題がある。「本当の自分」があると信じ、それ以外の自分が嘘であるという考え方だ。どんなときも「本当の自分」でいたいと思うがゆえに、嘘の自分で人と接することを辛く感じてしまう。

分人主義は、ひとりの人間のなかに複数の分人と呼べる性格があるとしている。家族のなかでの分人、友人関係のなかでの分人、恋人とのあいだで生まれる分人など、人間はいくつもの分人を持っている。言いたいことはわかる。ただこれって要は、人が持つ要素の話ではないだろうか。

人間はあらゆる性格、性質が組み合わさって、ひとりの人間として生きている。それは磁石のようなもので、関係している相手によって強く引き出される要素と、逆に奥に引っ込んでしまう要素がある。だから本来は、どんな性格の自分も「本当の自分」なのだ。潮の満ち引きのように、人間関係によって少しずつ姿を変える自分も「本当の自分」に他ならない。分人と考えると非常に気が楽かもしれないが、分人をあまりに意識しすぎると“嘘”と感じる度合いが強くなりそうな気がしている。

9月〜!

月ごとの目標とか特に決めてないけど、読書の秋が近づいてきているので、それなりに読書を楽しみたい。あと今月は、9/18から東京都美術館で「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」が開催されるので、それを観に行くのも楽しみだ。ただ残念なのは、今回グッズがないこと。前回はかなり可愛いグッズが山ほどあったので今回も期待していただけに悲しい。

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