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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2023年10月の記事一覧

ニホン、いい国という結論:Anizine(無料記事)

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くだらない結論:Anizine

「やべーよ、バイトをクビになっちゃった」  「マジかよ。生活できんのか」 「貯金を切り崩すしかないな。冬は軽井沢と那須の別荘の光熱費がハンパないから」  「そうか。カツカツだな」 「うん、カツカツ極まりないよ」  「ところで、何でバイトをクビになったの」 「店の入口にアルコール消毒をすることろがあるだろ」  「あるね」 「若いカップルが来たときに、男の方にだけ『お客様はもう一度、お願いします』っていう遊びをやっていたんだよ」  「見た目が汚い感じの男に、か」 「そう。6年前の

祖父と落語:Anizine

子どものとき、祖父の話を聴くのが好きでした。面白いというのは真面目なことを教えてくれるより価値があると思っていたので尊敬していたのですが、中学生くらいになって志ん生師匠が存命だった頃の落語をテレビで観る機会がありました。枕を聴くと祖父が話していたことと似ていました。似ていたというか、祖父が完全に志ん生からパックンチョしていたことを知りました。 だからと言って祖父への尊敬がなくなったわけでもなく、それが落語に興味を持ったきっかけです。江戸の風俗、人情、教訓、哲学、ファンタジー

京都一泊:Anizine(無料記事)

昨日は京都で撮影をしたのですが、やるべき仕事が多くて外食にも行けず、部屋でお弁当を食べるという京都にはあるまじき失態を演じました。そして今日の朝に東京に戻ろうとして新幹線のチケットを買ってホームに出たところ、名古屋付近で火災があり全線動かないというアナウンスがありました。 仕方なく駅を出て、大きな撮影用のバッグをコインロッカーに預けて光明院に向かいました。お寺の中で寺田克也さんと朝倉世界一さんの展示をしているのを聞いていたからです。怪我の光明院と言いますか、ラッキーでした。

くだらない結論:Anizine

「Photoshopに自動生成の機能がついたから、色々試しているんだけどさ」 「どんな風に」 「たとえば『diamond head』『Hawaii』とか打ち込むんだ」 「ほほう」 「そうするとこんな画像が生成される」 「AIがハワイに行ったことがないのがよくわかるね」 「うん。アホや」 「人間を加工すると気持ち悪くなるって聞いたけど」 「今は上質なソフトに精密なコマンドを入れればかなりのレベルで作れるんだけど、簡易的なPhotoshopはバカだから面白いよ」

くだらない会話をする人々:Anizine

「さっき、嶋津さんとTwitterのスペースで話したよ」  「『X』の『ライブ』な」 「いちいち、新しくなった用語を使いたがるなよ」  「じゃあ、お前は今でも、JRのことを国鉄と呼ぶんだな」 「言わないよ、JRになってからもう36年経ってるだろう」  「じゃあ、どの時期に切り替えたんだよ」 「記憶にございません」  「それはロッキード事件だから47年前だな」 「そこから考えると30年以上経つと言わなくなるってことでいいかな」  「いいんじゃないかな」 「ソーシャルメディアで

くだらない会話をする人々:Anizine

「この前、仕事で理不尽な目に遭ったんだよ」  「おう」 「頭に来たから、ふざけんなデブ、って言ってやったんだけどさ」  「うん」 「俺のほうがちょっと太ってたわ」  「しまらねえな」 「しまらねえって、昭和前半人しか言わないよね」  「確かに。オヤジがよく言ってた気がする」 「でさ、俺のほうが太ってるけどなって言ってやったよ」  「主張の意味がわからないだろう」 「うん。キョトンとしてやがったぜ」  「豆が鳩鉄砲を食らったみたいな」 「腕がのれんに押されたムードだったよ」  

育ちがいい:Anizine(無料記事)

「あなたは欲がなくていいですね」というようなことを言われたときに、冗談のつもりで「育ちがいいので」というと、高確率で場が凍りつきます。もちろん本当に育ちがよければそんなことを言うはずがありませんが、周囲の人々は本当にそうなのかと思ってしまってフリーズするのです。 これは多くの人が持っている「劣等感」を刺激するからだと思います。その最たるものが皇室や王室というエスタブリッシュメントへの憧れで、自分もあんなところに生まれたかったわ、と枝豆とビールを手にテレビでプロ野球を観ている

検索しても出てこない:Anizine

いまだに「SNSで宣伝したりするのってカッコ悪いでしょ」「興味がないからやってない」という言葉を、特に中年の人々から聞くことがあります。自分は自分のことをするだけなので他人が何をどう考えていようがいいのですが現状認識としてメモっておきます。以前、若い人と話したときのこと。広告業界では名の知られた人のことを彼は、聞いたことないですね、と言いました。クラシックをやっているのにショパンの名前がリストに載っていないくらいのラヴェルの発言に衝撃を受けました。 検索で育ってきた若い編集

医療ジョーク:Anizine

昨日は、大塚先生と幡野さんと「医師のユーモアはなぜ面白くないのか」という話をしました。「そういうこと言ってる状況ではないから」というのが結論でしたが、罪のないアメリカンジョーク的なもので、診察室ではなく、講演会でなら大丈夫なのでは、と思います。 ということで、うろ覚えのアメリカン医療ジョークをいくつか。 1: ある患者が皮膚科を訪ねてきました。 「皮膚の下にハエがいるようで、痒いんです」 「いませんよ」 「いるんです。信じてください」 「こちらではなく、精神科のほうに紹

空を飛ぶ:Anizine

「なぜ、あんなに重たい鉄の塊が空を飛ぶんでしょうね」 と言う人を、2023年になってもまだ見かけますがいい加減にしましょう。あれは不思議でもなんでもなく、エンジンのチカラで空中を強引に押しているだけです。だからエンジンが止まれば落ちます。グライダーだっていつかは降りてきます。もしそう言いたいなら船のことを考えるべきです。あれはなぜ何気なく浮いているのか、そっちのほうがよほど不思議でしょう。 ボールは空中に投げると落ちてきます。それは重力があるからです。はわかりやすいのです

地獄の扉:Anizine(無料記事)

数日前から、新しい定期購読マガジン『エジさんが来る』を始めました。自分が英語を勉強する過程で、「こう教えてくれていたらわかったのに」と感じたトピックを載せています。英語を教えるのは完璧にマスターした人である、というのが常識ですが、何もわからない人がぶつかる壁のことをすでにできる人は見落としがちで、技術者が書いた取扱説明書がわかりにくいのと同じです。 私はマスメディアに関わる仕事をしているのでアマチュアとプロフェッショナルの基準の違いを理解しています。noteというメディアは

たいせつなもの:Anizine

たいせつに思っているものは、たいせつに思うことで傷つく不幸があります。O・ヘンリーの『賢者の贈り物』のように、お互いを思ったからこそ両方が大事なものを失う事態が起きるのです。聖書を題材にしたあの話はハッピーエンドでしたが、男性が懐中時計を手放し、女性が髪を売った、取り返しのつかない行き違いの結果だけで終わってしまうことも実際にはたくさんあります。 誰でも後悔することはいくつかあると思いますが、時間は戻りません。よく「あとで後悔するよ」という言葉を聞きます。日本語としては間違

中年のソーシャルメディア作法その1:Anizine

私たちおっさんとおばさんが、いい年をコくまで学んでこなかったことがあります。それが「ソーシャルメディアの作法」です。今の時代にソーシャルメディアとかかわらずに生きていくのは、名探偵でも至難の技だということを皆さんもご存じでしょう。しかしながら学んでいないし、学ぼうとしていないので、他人を傷つけ、自分が傷ついたりするのです。 私もかなりの数の失敗をやらかしてきました。なんせやっている期間と時間が長いのです。ネットで投稿した一日の時間帯グラフが出てくることがあります。普通の人な