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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2020年4月の記事一覧

カタチを変える不安:Anizine

ヨーロッパの友人が外出しなくなるのをネットで見ていた。日本はそれからしばらく遅れて今の状況になったけど、未知のウィルスへの恐怖は、どれだけ長引くかわからない「経済的な不安」にだんだんカタチを変えていった。 しかし冷静に振り返って見ると会社を辞めてフリーランスになって20年、何の不自由もなく生活してこられたのは不思議としか思えない。そちらの方が奇跡的な幸運であり「運の前払い」は十分もらってきた。だから俺の場合、不安を持つなんて贅沢だと思ってあきらめられる。 毎日そういった「

食材と料理:Anizne

その人を構成しているモノと、アウトプットするモノ。このふたつのバランスを誰でも無意識に評価している。 たとえばソーシャルメディアが存在しなかった頃は、仕事で出会う人の日常生活などはまったくわからなかった。彼が休日にバイクに乗るのが好きなことも、彼女がイタリア語の教室に通っていることも、何も知らないのが当たり前。 仕事を超えてやや仲良くなったときに子どもの写真を見せられたり、ツーリングの話などを聞くことがあったとしても、一度しか会わない人とはそれきりだ。あるとき思い出しても

◎Anizineご報告:ミニシアター

ミニシアターがなくなってしまうと困る。 前売りチケット・Tシャツなどの購入リターンもあるんだけど、行く機会がない地方の劇場もあり、モノもコスト効率が悪いので、完全に現金支援にしました。 「ミニシアター・エイド」に50,000円 を「Anizine」の定期購読料から支援させていただきました。定期購読メンバーの皆さん、いつもありがとうございます。 note「Anizine」 https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd

なぜバーガーキングなのか:Anizine

『ロバート・ツルッパゲとの対話』の後書きには、渋谷のセンター街・バーガーキングにて、と書いた。「なぜバーガーキングと書いたのか」にはちゃんとした理由がある。すべてのことには理由があるのだ。そうでないと、本を書くことはできない。 俺は東横線の沿線に生まれた。ターミナル駅としての渋谷は地方から遊びに来る人とは違って特別な場所ではなく「特別な場所」だった。初めてひとり暮らしを始めたのは中目黒、そこから10年間通っていた会社は銀座で、フリーになった仕事場は20年間変わらずに渋谷にい

理解のガードレール:Anizine

ソーシャルメディアでは、すべて自分が思ったことを自分のために書いている。誰でも読める場所に書いているから、当然だけど意見が違う人が読んだら「私はそう思わない」と感じることがあるかもしれない。 もし、こうあるべきだと書いたとしても、それは読み返す未来の自分(もしくは抽象的)に言っていて「あなたはこうあるべきだ」と特定の誰かに向けて書くことはないんだけど、何かしらの弱さを抱えている人は、自分を否定されたと感じることがある。「内容は理解できたが、そうできていない自分には耳が痛い」

ラジオに出たことで。

Fm yokohamaの「FUTURESCAPE」にゲスト出演して、本の紹介をしてもらった。今まで『ロバート・ツルッパゲとの対話』の存在を知らなかった人にも伝わるメディアというのはとてもありがたいことだ。 Twitterで検索してみると色々なことがわかる。ラジオは習慣のモノだから、毎週欠かさずに聴いている人にとって俺はかなりの異物だったはず。それに対しての反応がよくわかって面白かった。 情報は、接したことがないモノへの嫌悪を感じる人、新鮮さを感じる人を生む。この結果の推測

下駄箱とキックボード:Anizine

企業のブランディングやコンサルティングの仕事にも関係しているので、ソーシャルメディアを「息抜き」「はけ口」「自己主張の場」だとは思っていない。俺にとっては仕事だし、生活そのものだし、人格の象徴だとさえ思っている。 「半年に一度くらい、告知やお願いを書き込む人を誰も助けてくれない」と書いてから、それは特別にソーシャルメディアだけではなく、ソーシャルであればどこでも同じだなと思った。 何十年も親戚の法事に来ないヤツが遺産相続の時にだけ来たら周囲からどう思われるか。そんなことは

◎ご報告:3月

田中泰延・上田豪・前田将多さんYoutubeへ 10,000円 長谷川徹監督『不倫ウイルス』クラウドファンディングへ 30,000円 「今昔写真2.0」クラウドファンディングへ 30,000円 被災した河瀬さんにカメラを購入 60,000円 を「Anizine」の定期購読料から支援させていただきました。定期購読メンバーの皆さん、ありがとうございます。 note「Anizine」 https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd

タピオカ一本で行きます:Anizine

最近、不思議に感じていたことがあったんだけど、もしかしたら今までとは違う仕事のスタイルが始まっているぞ、と理解するに至った。 外食産業などはわかりやすく打撃を受けている。昨日あたりから休業する店も増えたと聞く。飲食店は食材の仕入れや流通など、自分ではどうにもならない不確定な要素に左右される大変な仕事だ。 反対に宅配便などは人々の外出自粛を受けて仕事が増えているらしく、業種によって明暗が分かれていることがわかる。飲食店はデリバリサービスや持ち帰りに活路を見いだそうとしている

映画館:Anizine

友人である平林勇監督の初長編映画『SHELL and JOINT』がシネマート新宿で上映されている。 初めての上映が、外出自粛に重なってしまった。「苦労して作った映画の上映がさんざんな結果に終わるという映画を作りますよ」という監督の自虐も聞かれたけど、本当に残念だ。 シネマート新宿のscreen2は60席。つまり、満席になっても一回の上映で入場料が10万円程度であるということを知った。だったら俺が空いている席の全部を支払って、たとえひとりであっても観に行こうとしていた。