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タピオカ一本で行きます:Anizine

最近、不思議に感じていたことがあったんだけど、もしかしたら今までとは違う仕事のスタイルが始まっているぞ、と理解するに至った。

外食産業などはわかりやすく打撃を受けている。昨日あたりから休業する店も増えたと聞く。飲食店は食材の仕入れや流通など、自分ではどうにもならない不確定な要素に左右される大変な仕事だ。

反対に宅配便などは人々の外出自粛を受けて仕事が増えているらしく、業種によって明暗が分かれていることがわかる。飲食店はデリバリサービスや持ち帰りに活路を見いだそうとしているところもある。そしてネットには「持ち帰り用容器、各種あります」という広告が出てきた。ここが我々の出番だとする業種が、実はたくさんあったのだ。

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このように世界がどう変化しても「総和」は同じで、誰がどの局面で突出して活躍するかという違いしかない。バブルが終わった時も、ただひたすら嘆いている人がいた。株や不動産など瞬時に値動きするものに関わっていた人は大損をしたが、広告のように数年近い時間を経て売り上げが下がっていった業界には、危機に対処する猶予期間があった。

今、俺がやっている仕事の中で広告が占める割合はかなり小さいんだけど「社会情勢や景気変動に対するヘッジ」はこれからも増やしていかなければならないと考えている。何でもやっておけばリスクヘッジになるとは思っていない。ただ、今までやったことがないデリバリサービスなどを飲食店が始めるとき、それまでのノウハウがないから危機的な状況で試行錯誤するのには限界がある。そこで起きる失敗で伝統あるブランドを毀損する可能性もある。

だから、平時にどれだけ準備していたかが分かれ目になる。「俺の専門はこれだから、他のことはどうでもいい」と自信満々な人たちがいる。脇目を振らず、ひとつのことだけをやっている人を尊ぶという日本人的な価値観もそれを後押ししている。

でも状況は変わる。これから「うちもECをやらなくちゃいけない」と慌てても、それまで必死にECをやっていた人と対等に戦えるはずがない。

最初に「今までとは違う仕事のスタイルが始まっている」と感じたのはそこで、これだけ仕事は縮小しているはずなのに先週から仕事の発注が増えている。その理由を説明する。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。