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「いかがでしたか?」に虫唾が走る

「いかがでしたか?」と締める文章を見ると虫唾が走る。
その文を書いた人はライターとしてのプライドが無いとすら思う。

もちろん、ただ文字数が多くて、内容の浅い文章を求められる時もある。
文の美しさ、面白さ、興味深さは必要なく、情報だけあれば良いケースもあり、そういう文章もあってよいというか、あるべきだ。

日本語の文章においては、「起承転結」が物事のあらましが伝わりやすい構成とされている。「起」で前提を記し、「承」で本題へ導入、「転」で主題を語り、「結」で結果を伝える。難しいのはこの「結」だ。「転」で伝えた情報以上の考察や言いたいことがないと、「結」で書くことがなくなる。

例えば、「東京のデートスポット3選」という記事を書いたとしよう。「転」の部分で、その選ばれし3スポットがどんなところでどんなデートができるか紹介する。横浜中華街で街歩きと占いをする、吉祥寺公園で桜を眺めボートを漕ぐ、神楽坂の隠れ家フレンチでディナー。もしライターが真剣に読者のためになるデートスポットを考えているのなら、「今回は、低予算でカジュアルに楽しめるデートスポットを紹介しました。同シリーズで、特別な日のデートプランも解説しているので、そちらもぜひご参照くださいね!」ぐらい述べるだろう。それを、「いかがでしたか?」で締めてしまうと何とも味気ない。紹介以上にならない。それは、人間として薄っぺらい気すらしている。

「いかがでしたか?」には、「たぶん有益な情報を挙げたみたんすけど、読んでみてどうすか?」という、読者をなめ散らかした感じがする。かく言う私も「結」が苦手で、学生時代に小論文を書いていた頃は、終わりが尻すぼみね...と国語の先生に度々お叱りをいただいていた。今書いていることは特大ブーメランなので、いつも心に留めておき、謙虚さを忘れずにいたい。

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