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エッセイ

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夏至だし、『地球大暴露』のレビュー

こんにちは。今日は夏至ですね。夏至だからって特に何をするわけでもないし、スピリチュアル的な影響も人によって千差万別と思っているので、「夏至にはこれをして開運!」みたいな記事も読みません。通常通りマイペースにご飯食べたり昼寝したりピクミンブルームしたりしています。 ただ、夏至にあやかってなんか特別なことをしてみたい気持ちもあるので、これを読んでくださっているあなたの人生観がパラダイムシフトしちゃうかもしれない話を共有したいと思います。 先日、「地球大暴露」(スタントン菜穂さ

イタリア女一人旅 旅立ち編

一人旅は孤独だ。寂しくて、不安で、毎回後悔する。 進んで一人を選んだのではない。私の休みに合わせてついてきてくれる友達がいないのだ。コミュ障過ぎて、友達の母数が少ないし、支離滅裂な私の話を辛抱強く聞いてくれる、数少ない物好きな友人に対しても、休みをわざわざとってもらうこと、大金をかけてもらうことへの申し訳なさで、なかなか一緒に行こうよ、と言い出せない。いや、本当は申し訳ないのではない。断られて、道中を共にするほどの深い中ではなかったと再確認するのが怖いからだ。 行きたい場所

『「違うこと」をしないこと』の実践

敬愛する吉本ばななさんの著者に『「違うこと」をしないこと』がある。 カレーを食べたいと思ったらカレーを食べる。 細かくこまめに、心のワガママを叶えてあげないと。そうじゃないと、どこか辻褄が合わなくなる。 中学生になったとき、手芸部に入りたかったのに、父親の圧に折れてソフトテニス部を選んだ私、それは「違うこと」だったね。 コミュ障でマルチタスクが苦手なところを修正しなければと必死になって、スタッフほぼ全員に嫌われながらカフェのアルバイトを続けた私、それは「違うこと」だったね

「いかがでしたか?」に虫唾が走る

「いかがでしたか?」と締める文章を見ると虫唾が走る。 その文を書いた人はライターとしてのプライドが無いとすら思う。 もちろん、ただ文字数が多くて、内容の浅い文章を求められる時もある。 文の美しさ、面白さ、興味深さは必要なく、情報だけあれば良いケースもあり、そういう文章もあってよいというか、あるべきだ。 日本語の文章においては、「起承転結」が物事のあらましが伝わりやすい構成とされている。「起」で前提を記し、「承」で本題へ導入、「転」で主題を語り、「結」で結果を伝える。難しい

幸せへの順番

休む。 幸せになるにはどうしたらいいでしょう。 よく寝て、ご飯をしっかり味わって、愛する人との時間を過ごす。 断捨離をする。エネルギーが上がるものを値段を気にせず買う。 空気を入れ替える。生花を飾る。部屋を掃除する。 体を整える。ストレッチをする。オーガニックにこだわる。 心地よく稼いで、お金を周りに還元する。 本当にやりたいことだけをする。 たくさんあって、訳がわからなくなりますね。 本屋に立ち寄ると、幸せになるノウハウを説く紙の壁が待ち構えています。 人は○○が9割

無印のアクセサリーケース

無印のアクリルケースとベルベット小物入れを購入。 良い感じ。 アクセサリーをインテリアの一部として飾れるのが良い。 ウルトラマリンのジュエリーボックスに、思い出の詰まったピアスをそっとしまっておくのも、ものを大切にする淑女のようで良いと思ったけれど。 小さなショーケースを手に入れてご満悦。

林真理子

はじめて林真理子の著書を読んだのは地元の図書館にあった『美女入門』だった。それは色褪せた本たちに挟まれてやけに目についた。赤い背景にレースのブラの表紙は、当時10代のこどもには色っぽく、これから人生に待ち受ける女の楽しみを教えてくれそうな予感がしていた。 10年以上経った今、たまたま書店で手に取った本が『野ばら』で、別の書店で美女シリーズを発見し、たまたまtwitterでフォローしている人が中島ハルコを絶賛するのを見て、たまたま友人も林真理子エッセイを推してきた。運命的なも

買い出しを週一回にした

わたしは浪費家を自認している。 理由は主に服飾と美容だ。マネーフォワードの円グラフは、いつも衣服・美容代が一番大きなパイを占めていて驚く。これが生き甲斐と苦しい言い訳を自分につき続けてきたが、年間の総額を知って愕然とした。 なんとかせねばとおもいInstagramでフォローしているmiiさんの 『20代からはじめる お金が貯まる暮らしかた』 を読んだ。 内容のメインは家計簿を紙で毎日つけること、ということだったが(億劫なわたしには真似できそうにない)、まず食料の買い

眠ること

昔から眠ることが苦手だ。 寝入るのに時間がかかるし、寝ても何度も起きる。最近は毎日2、3回は目が覚める。 次の日に早起きする日は絶対に眠れない。もう絶対だ。早起きしなければいけないということがプレッシャーで眠れないのである。 逆に、付き合っている彼のいるところではよく眠れた。睡眠障害ぎみというのが嘘のように、夜10時過ぎにはすごく眠くなって、すうすうと寝てしまう。そのまま朝の10時まで昏睡する。 実家に帰省した時もそうだ。青い空に青々とした緑に囲まれた実家は至極静かで

浮世絵の教室

もっぱら絵画は西洋のものが好きだが、太田記念博物館の広重展を見て以来、浮世絵も好きだ。 一見渋い趣味かと思いきやそんなことはない。大胆な構図や色使いで、現代人の目にも新鮮な驚きを与えてくれる。 とはいえ浮世絵の歴史などには詳しくないし、覚えている浮世絵は葛飾北斎と歌川広重だけ。好きなシリーズも富嶽三十六景や名所江戸百景とベタベタだ。 そんなとき本屋で目に留まったのが下記の本。 Q&A方式で浮世絵の概要が端的にまとまっている。また絵が8割くらいなのも良い。たまに『〇〇美

NANAとヘイセイ

『NANA』の面白さはなんだろう。 ぶっちゃけストーリーは普通だと思っている。バンドマンと別れて辛い。寂しい都会暮らし。彼氏の浮気。女の友情。 むしろ、時代考察的に見ている。幼い頃がNANAの時代だから、おぼろげに実体験としてその時代の空気を思い出す一方で、昭和のアイドルの映像を見ているときのような、不思議で理解しがたいものにも感じる。懐かしさと違和感が同時に押し寄せてとても困惑する。それが楽しい。 NANA映画版で言えば中島美嘉が良い。元気で前向きなのになんとなく寂し

20代後半だけどすでに若者との溝を感じる

「SNSにあふれる「好きを仕事に」疲れのZ世代、不安煽りやキラキラキャリアにご用心」という記事、面白かった。 どうやらZ世代はやりたいことや変えていきたいことはないけど、やりたくないことや耐え難いことはたくさんあるそうだ。彼らにとって許容し難い現状は、セクハラ、パワハラ、環境問題で、理解のない上の世代に憤りを感じている模様。確かに、例に出てきたように、就職面接でSDGsについて語ったら意識高いの一言で片付けられたら、腹立たしいし彼彼女らの無関心を理解できない。 一方で、そ

「吉本ばななが友だちの悩みについてこたえる」感想

すごい本に出会ってしまった。 https://amzn.to/3RTeTnR 吉本ばななさん。「キッチン」でしか知らなかったが、新幹線の到着が少し遅れて、旅のお供にと、品川駅構内の小さな書店で何気なく手にとった本だったが、ひとの心理や人間関係に対する洞察が的確で、会ったこともないばななさんに恐れ入るばかりである。 友達の悩みに答えるという形式なのだが、その回答にぎくりとさせられたり、うっすらこうなんじゃないかと感じていたことを言語化されてもやが晴れたり。例えば男性と友達

秋が一番好きだ

四季の中で秋が一番好きだ。 うららかで鬱っぽい春も、夜のジョギングがちょうどいい夏も、お風呂が沁みる冬もそれぞれに好きなところがあるが、秋は格別だ。 暖かい日差しの中でふと冷たい風が頬をかすめていって、また凍てつく冬が遠くからやってくるのを知る。何かに急き立てられるような気持ちはすっかり落ち着いて、ぽっかりと時間が空く。夜長を言い訳にして好きな本を好きなペースで読む。 もともとしめっぽいところがあるから、これといったイベントがなく、ただ存在するだけで許される秋がいいのだ。なに