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小説・詩・エッセイ・川柳など。
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#140文字

あの日のトモダチ3 『絵の上手な彼女』

リストカットの傷が深刻な彼女は担架で運ばれてきてそのまま入院した。数日後、手首に真新しい包帯を巻いて共有スペースに現れた彼女は、とても明るく穏やかだった。
「こういう場所があると知って気が楽になった」
そう挨拶し退院する日、彼女は親しくした一人ひとりに似顔絵をプレゼントしてくれた。

あの日のトモダチ2 『愛妻家の彼』

彼が運転中に、助手席の奥さんは暴れてフロントガラスを蹴破ろうとした。彼に仕事でかかってきた電話の女性に嫉妬したらしい。愛妻家の彼が楽しげに語る奥さんのエピソードはどれも常軌を逸していたが、入院したのは奥さんではなく彼だった。そのとき彼はまだ、自分が病んでいると気づいていなかった。

あの日のトモダチ1 『話好きな彼女』

「元気そうにみえます。ここにいるのが不思議なくらいに」
そう話しかけると彼女は
「そうかな? どうなんだろう」
と笑った。
小学生の息子さんが不登校なのが悩み。旦那さんは一流企業勤務でかなりお金持ちらしかった。
話好きで明るく、きれいな人だった。
退院してから2週間後、彼女は自殺した。

作家のあさのあつこさんは女優の浅野温子さんと同一人物だと思っていた。冷やっこに間違えてソースをかけ気づかず食べて「この豆腐は甘い」と思った。中学生になってもサンタさんを信じていた。子供の腰までしか水がない池で溺れた。公園で亀に足首をかまれ大声で泣きながら亀を引きずって家に帰った。

ここは楽しく平和だ。静かで居心地がよい。悲劇が起こるのはいつも外の世界だ。それを安全な場所から眺めている。
そう思い込んでいた。心が壊れないように。幻想の世界に逃げ込み傍観者を装っていた。悲劇は自分に起きているのに。
という文章を見た。どこの弱者が書いたのか。ここは楽しく平和だ。