影も軽く

新しい美容室へ行くことにした　たったそれごときで期待と不安入り混じり思ってる以上に消耗した週末

これまで馴染みのところや友達のところでカットする気楽さを優先してきたが唐突に見知らぬところへ行ってみたい欲が勝った　

なんか春

オシャレ過ぎずでも野暮ったくなく　大きいサロンや眩しすぎる照明もきついな　路面にがっつり面してるのも嫌　が、そういう条件検索は勿論ないので、結局徒歩圏内で検索しそれらしき一軒に絞った

そして当日　起きてみると髪の毛は寝癖で爆発、外ハネのアシンメトリースタイルになっていた　今から美容室行くのにある程度整えて行くべきか、このままのアバンギャルドで行くか迷った

第一印象は大事だが面接じゃないし　でも人として最低限の身だしなみという点ではアウト　悩ましい　　

そうこうしているうちに時間が迫り、結局ボサボサのまま家を出た　車で1分ほどのとこなので徒歩で10分くらいで着くかと思いきや甘かった　私は走り出していた

到着した時には息は上がり汗だく　強風で髪もさらに爆発　破壊力強めの新規の客　花粉で鼻は赤く涙目のこの上ない状態にもかかわらず動じてない風に応対する様　さすがプロの所業　

私の中で席についた時点でゴールを迎えた　ほっとしてもうどうでも良くなったのだ　髪の毛の希望も悩みも尋ねられたがもう何も思いつかなかった

ないです　希望も悩みも　

と目の前のボサボサの女は言い切っている　どうしたものかと相手も心底思っただろうが全てを委ねてみた

ところで美容室の大きい鏡で、終始鏡の中の変わりゆく自分を見つめ続ける事が出来ない　あれが出来る人はどういうテンションで居座っているのか教えてほしい　

それで終わり頃ちらり鏡を見ると、驚くほどに小頭になっていた　ボサボサの部分は切り取られさっぱりしていた　

外に出ると世の中は20度　アスファルトに身軽になった濃い影がくっきりうつっていた

入学式も卒業式もない大人だが少しだけどきどきの週末でした

なんか春　ナターシャ