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ライブ備忘録:BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER @幕張メッセ国際展示場1~3ホール 2017.9.17

 今年2021年に結成25周年を迎える「BUMP OF CHICKEN」。2001年リリースの「天体観測」の大ヒット後、現在まで音楽シーンのトップを走り続け、ドームやスタジアムでのライブも行う大人気バンドである。
 今回は2017年9月から2018年3月の半年間で16会場29公演を周ったツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」のうち、2017年9月17日に行われた幕張メッセ公演について書く。

 2017年のBUMP OF CHICKENは、前年に結成20周年を迎え、幕張メッセでの1夜限りのアニバーサリーライブや当時の最新アルバム『Butterflies』の発売、さらに初の日産スタジアム公演を含んだ全国ツアーの開催など様々な活動を行っており、そのため当初は2017年は制作の年となり、ライブはあまり行われないものと自分は思っていた。
 しかし自分の予想は外れ、ありがたいことにBUMP OF CHICKENは2006年のツアー「run rubbit run」以来約11年ぶりに、作品リリースなどに伴わないいわゆる「何も引っ提げないツアー」を行うことが決定した。

 新アルバムのリリースなどがないため、新旧有名無名様々な楽曲が披露されると予想されていたが、そんな予想を遥かに超えるレア曲満載のツアーとなった。

 この日は1~3ホールすべてがライブ会場ということもあり、約3万2千人の動員があったという。
 定刻から少し遅れて暗転。近年の大会場でのライブと同様に、壮大なSEと映像が流れた。
 SEが続き観客が手拍子で応えるなか3~4分ほどしてようやく、升、増川、直井、藤原(敬称略)の順で入場。各自楽器を持つがそれでもSEは流れ続ける。すると升はSEに合わせてドラムを叩き、増川もギターのフレーズを弾きだした。
 さらに直井、藤原も入り、4人全員によるセッションへとなだれ込んだ。
 4人で音を合わせた瞬間にテープが飛ぶなど、ド派手なスタートを切った。
 後の映像化の際に判明したことだが、このSEからセッションまでが「pathfinder」という1つのインストナンバーとなっていた。(途中「リボン」のフレーズが使用されているパートもあった。)藤原が今回のツアーのために制作したらしく、近年のBUMPの楽曲のようにバンドサウンドとシンセプログラミングが絡んだ壮大な楽曲であった。
 セッションが終わり音が続くなか、「GO」のイントロへ。藤原が音源にはないハミング(「オーイエ―アハン」的なやつ)を入れ、観客のボルテージを一気に引き上げる。
 歌詞にある「とても素晴らしい日になるよ」という言葉が、メンバー自身のこの日のライブへの期待をダイレクトに伝えてくれる。

 さらに次に披露された楽曲はなんとバンド最大のヒット曲「天体観測」。
 2015年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」や2016年2月の結成20周年記念ライブでは1曲目で披露されるなど、ここ数年では序盤で披露されるケースも増えてきたこの曲だが、いきなりの演奏にやはり場内は少々ざわめいた。だが定番の「オーイエ―アハン」は約3万2千人の声がアリーナ中に響いた。

 序盤で「GO」「天体観測」とライブのクライマックスかと思わせるほどのパフォーマンスが続くが(天体観測では金銀テープが噴出された。)、この次もまさかの「ray」。もうわけがわからない。今日は3曲でライブが終わるのか、とわりと本気で考えた。(この日のライブの約1年後、2018年12月に出演した「COUNTDOWN JAPAN 18/19」のステージは「天体観測」「ray」が本編ラスト2曲だった。)
 藤原はセンターステージに移動し、より観客の近くで声援に応えながら歌う。
 この曲は「MUSIC STATION」や「SONGS」、「NHK紅白歌合戦」でも披露され、近年のBUMPの音楽性を決定づけた代表曲でもあるが、「天体観測」同様どのライブでもその日だけの祝祭感を演出してくれる。この日も多くの観客が手を横に振り、楽曲のタイミングに合わせてハンドクラップを行った。

 「ray」の演奏が終わったところでベース・直井によるMC。観客を煽れるだけ煽った後に演奏されたのはなんと「宇宙飛行士への手紙」。

 2010年リリースのシングル曲であり、同年発売のアルバム『COSMONAUT』でも核となる楽曲。この時点までライブで『COSMONAUT』の楽曲を生で聴けたことがなかった(意外とアルバムツアー以降ライブでやってくれないことが多い。)だけに個人的な感慨もひとしおだった。
 さらにインディーズ時代にリリースされた2nd Album『THE LIVING DEAD』から8分以上にも及ぶ大作「Ever lasting lie」が披露された。この日が2004年以来約13年ぶりのライブ披露であったことを後で知った。
 シンプルなバンドサウンドで構成される本楽曲は、「GO」や「ray」などのシーケンスが多用され映像演出もふんだんに行われた楽曲と違い、シンプルな照明と4人の演奏のみがフィーチャーされた。
 中盤以降のロングセッションでは藤原のソロギターを中心にそれぞれが結成から約21年間で培ってきた演奏力を存分に発揮していた。
 超初期曲の「Ever lasting lie」から一転して、この時点での最新曲「記念撮影」を披露。

 この日はLYRIC VIDEOがそのままスクリーンに映し出され、生歌と歌詞がよりダイレクトに響いた。(後日、この幕張メッセ2days公演の模様が上記のMVに使用された。)

 ここで直井による2回目のMCがあり、今回のツアーでは新旧様々な楽曲を演奏すること、わからない曲があったら全部新曲だと思ってほしいこと、などこのツアーの趣旨や思いを話した。
 ここまででもすでに2017年の新曲から2000年のインディーズ楽曲まで年代を問わないバラエティ豊富な楽曲が演奏されているため、この後披露される楽曲にも期待感を抱かずにはいられない。
 その流れで披露された楽曲はなんと2010年リリースの16th Single「HAPPY」のカップリング曲「pinkie」。どのアルバムにも入っていないこの曲がツアーで披露されるとは。冒頭、藤原がハンドマイクを持って増川の元へ歩き、2人向かい合って歌いだしたときは何か尊いものを見れた、と思わぬ幸福感を味わえた。
 そして映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の主題歌としても有名な「花の名」。

 シンプルな演奏で、静かに聴き入った。
 その後、メンバー4人全員がセンターステージに移動し、「花の名」同様2000年代後半の代表曲「涙のふるさと」を披露。

 今回は藤原がアコースティックギターを弾く新アレンジでの演奏。
 さらにセンターステージではもう1曲「You were here」を披露。2014年7月31日にBUMP史上初めて行われた東京ドーム公演で初披露し、翌日に配信された後はライブでのパフォーマンスは行われていなかったが、このツアーで久しぶりに演奏。音源通り音数の少ないアレンジで、より藤原の歌に耳を傾けることができた。

 メンバー全員がメインステージに戻ってライブは後半戦へ。そのトップを飾ったのはアニメ「3月のライオン」のオープニングテーマとして制作された「アンサー」。藤原・増川のイントロでのツインギターが光る。

 個人的にこの日のライブで一番テンションが上がったのはこの次に披露された「ラフ・メイカー」。まさか生で聴ける日がやってくるとは。物語性の強い楽曲であり、BUMPの歌詞の中でもトップクラスに好きな楽曲である。
 この日のライブは、音源同様後半になるにつれて藤原の歌やメンバーの演奏の力強さが増していったのが印象的であった。赤いライトに照らされたメンバーの演奏姿は「カッコいい」と思わず呟いてしまうほどだった。

 「宝石になった日」「虹を待つ人」といった近年の代表曲もきっちり演奏。(「虹を待つ人」では藤原が「一緒に歌おう」と声をかけた。)

 特に「虹を待つ人」の「オーオオーオオーオオ」の合唱パートはこの日のライブでも最上級の盛り上がりを見せた。歓声を受けるメンバーの笑顔がやはり堪らないものだった。
 BUMP OF CHICKENのライブでは本編終盤に観客全員で合唱できる楽曲を披露することが多いが、(「supernova」など。)このツアーではなんとその役目を「fire sign」が担った。
 この曲は2004年発売のアルバム『ユグドラシル』に収録されたナンバーであり、藤原が増川の誕生日に送った楽曲でもある。
 前述の「supernova」と比較するとライブで披露される回数が多いわけではないが、このツアーの29公演すべてで披露された。
 後半の「ラーラララララララ―」の部分はメンバーもほぼ演奏を止め、何度も何度もコール&レスポンスが繰り返され、会場中に大合唱が響き渡った。

 アリーナ中に一体感が生まれたところで、本編ラストの「リボン」。

 結成21周年記念日の前日、つまり結成20周年イヤーの最終日である2017年2月10日に「セッション映像の公開」という形で発表された本楽曲は、21年間を共にしてきたメンバーやファンへの感謝の思い、この先の活動への決意が綴られた楽曲である。
 本編ラストという重要な位置で届けられたことにも、このツアー以降のBUMP OF CHICKENへの希望が込められているのではないか、と想像したくなる。

 アンコールは公演ごとに曲目が変わるが、この日は「K」「ダイヤモンド」と初期の名曲2曲を披露。

 どちらもライブ当時から見て約17年前の楽曲であるが、古臭さなど微塵も感じさせない瑞々しい演奏で、あらためてBUMPの持つ楽曲の普遍性を感じることができた。

 アンコールが終了し、増川、直井、升がステージから退場し、藤原のみが残った。ここ数年のBUMPのライブでは恒例となっている藤原単独MCである。
 ここでは藤原が、ライブに来てくれた観客への感謝や自身の思いを(ちょっとしたユーモアも交えながら)熱量を込めて話してくれる。
 この日もこれから約半年間続くツアーへの期待やこの日観に来てくれた観客の身体への気遣いなどを、言葉を選びながら長尺で話した。

 この日はメンバーの地元「千葉」でのライブということもあり、(「宝石になった日」の後のMCで藤原は「千葉にようこそ」と話していた。)メンバーにとっては少々特別な一夜だったのかもしれない。
 「Everlasting lie」「ラフ・メイカー」といった超初期曲から「リボン」「記念撮影」といった当時の最新曲まで様々な楽曲が披露されたが、いつの時代でも色褪せないBUMPの名曲の真価のようなものを味わうことができた。

 結成25周年の今年、結成記念日である2月11日に新曲「Flare」の配信開始、さらに2月27日にはNHK「SONGS」にて約2年4か月ぶりの地上波テレビパフォーマンス(「魔法の料理 ~君から君へ~」「Aurora」「アカシア」「Flare」の4曲を披露!!)を行うなど、年明け早々精力的に活動しているBUMP OF CHICKENだが、今まで通りの動員でライブを行うことは情勢的に難しいかもしれない(それ以上に直井の復帰が現時点で未定、という懸念点もある。)。
 だがそれでも、何らかの形でBUMP OF CHICKENのライブが開催されることを願い、またBUMPの楽曲を聴くことにする。


セットリスト

1.pathfinder
2.GO
3.天体観測
4.ray
5.宇宙飛行士への手紙
6.Ever lasting lie
7.記念撮影
8.pinkie
9.花の名
10.涙のふるさと
11.You were here
12.アンサー
13.ラフ・メイカー
14.宝石になった日
15.虹を待つ人
16.fire sign
17.リボン

18.K
19.ダイヤモンド

内訳

・9th Album『aurora arc』3曲。
・8th Album『Butterflies』3曲。
・7th Album『RAY』2曲。
・6th Album『COSMONAUT』1曲。
・5th Album『orbital period』2曲。
・4th Album『ユグドラシル』1曲。
・3rd Album『jupiter』2曲。
・2nd Album『THE LIVING DEAD』2曲。
・Special Album『present from you』1曲。
・アルバム未収録カップリング曲 1曲。
・アルバム未収録SE 1曲。

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