レッスンの内容が覚えられなくてもええんです。出汁と英語と螺旋階段(全文無料)
今日も今日とて柔術は楽しい。今回は悩める白帯(かつての俺だ!)に伝えたいことを書きます。中級者以上の方だと当てはまらない部分も多いかもしれません。
「レッスンの内容ができない、覚えられない」
「レッスンの内容ができない、覚えられない」(←まさにかつての俺だ!)。クラスに参加してもなかなか技が身に付かない。スパーで試してもきまらない。なのに格上の人にはきめられる。先週習った技はおろか、昨日やった技すらできるか怪しい。そんな白帯の方はたくさんいるのではないでしょうか。
「そんな簡単に強くならないから地道にコツコツやらないとだめ」とそんな正論を言われても毎日来てるのに成長を感じられなかったら心も折れるってもんですよ。そんな心折れそうな人の手助けになる考え方を書いてみました。
最初は「できなくて当たり前」
そんな簡単に強くはならないので、最初のうちは、「できなくて当たり前」くらいのマインドでいいです。格闘技をやめる人はうまくできないからやめるのではなく自分に対する期待値が高すぎて「こんなはずじゃなかった」のギャップのストレスでやめます。期待値を上げすぎないのも大事です。
※ずっと弱くていいというわけではないです。強くなろうと気持ちは大事ですがその気持ちが先走りすぎるとつらくなるよって話です。
柔術のテクニックは体系的なものなので単品では使えない
テクニッククラスで教えてもらった技は単独では使えません。その技術が使えないのではなく、周辺の技術ができていない、もしくは使うべきタイミングを間違えていると思います。その日のクラスのテクニックもスパーで「できなくて当たり前」です。焦らず技術を積み上げていけばできるようになるはずです。
初心者にとってクラスは情報量が多すぎる
初心者にとっては通常クラスは情報量が多すぎます。ガードの形をイチから習う段階の人がその日3つのスイープを覚えようとしてもかなり厳しいです。習ったことの1割でも残っていたら十分なくらいです。
例:エックスガードからのスイープのクラス
柔術の強さは相対的なものなので成長を実感しづらい
記録の出る陸上や水泳や重さが分かる筋トレと違い柔術の強さは相対的にしか測れません。自分が成長していても道場の練習相手も成長していたら自分の成長を実感しづらいです。また、自分よりはるか上のレベルの相手だと自分がベルアップしてもそれを実感できません(レベル1⇒2となっても相手が魔王なら瞬殺されてしまう的な)
実感しづらいですが安心してください。成長してます。
①出汁(だし)の例え
テクニッククラスでやった内容は覚えられなくとも(直接使わなくとも)その人の柔術の中で出汁の様にエッセンスとして残ります。それは下味のようにその人の柔術を支える要素になります。これは言語化するのがとても難しいのですが、、、柔術の動きの中でその出汁(エッセンス)が出てくるのです。ちなみにマット運動やソロムーブも出汁になります。前転を直接柔術で使うことはほとんどないですが大事なのです
昆布を煮て濾(こ)した後は具がない状態です(いわば技を覚えられない状態)。しかしそこには目に見える具として残っていなくてもたしかに昆布のうまみがあるのです。テクニックも同様です。覚えられていないテクニックでもその人の中に少しずつ蓄積していきます。
自分の場合、下からの腕十字が苦手で、プライベートレッスンを受けて打ち込みしてやりこんでそれなりに形になりました。でも試合でもスパーでもほとんど決めたことがありません。しかし下からの腕十字をやることで「関節技の極まる理屈。固定する部分と極める部分と力の方向」「相手の肩のコントロール」「足を使ったあおりの技術」「膝裏をひっかける時の体の使い方」などのエッセンスが身に付き、そららは自分の柔術の中でとても役立っています。
②英語の勉強の例え
英会話のレッスンに1時間参加したら外国人と会話できたり、映画の英語を聞き取れるようになるでしょうか?まずないと思います。でもその日覚えた単語や文法、リスニング、スピーキングはその人の知識、スキルとして積みあがっています
こんなイメージです。単語を数個覚えても英会話ができるわけではないように、技を数個覚えてもスパーでは勝てません。1週間英会話教室に参加してうまく会話できなくても「全然話せない、俺はダメなやつなんだ」となる必要はないのです。英会話に通って数カ月の人(白帯)が、外国で毎日英語話している人(黒帯の先生)のようにペラペラで話せることはないです。
英語の勉強をしたことがある人は分かると思いますが、知識がつながっていままで全然わからなかった洋画のセリフが一部聞き取れたり、英語の文が読めたり、会話ができたり、「アレ?なんとなく分かるぞ」となることがあります。これは柔術のスパーでも同様のことが起こります。「アレ?スイープってこんな風にやればけっこうできるな」みたいな。
英語の勉強では「単語が大事」「文法が大事」「気持ちが大事」「音読が大事」「会話では基本的な単語の組み合わせが大事」みたいに勉強法はいろいろ言われます。柔術も同様です。
ちなみに英語が話せる人でも専門分野の話になるとチンプンカンプンになることがあります。逆に話せない人でも特定の話題なら多少理解できたり。(例えば野球の話とか数学の話とか)これは柔術にもあって、シチュエーションスパーみたいなもんです。ある特定のシチュエーションなら上級者ともいい攻防ができたりします。初心者にオススメの練習です
③螺旋階段の例え
同じところをぐるぐる回っているように感じても実は上に上がっています。その螺旋階段の角度は小さいし、上を見るととんでもない高さにいる人がいるし、下からはすごいペースで迫ってくるやついるし、隣を見るととんでもないスピードで駆け上がったりしてるしで心が折れそうになりますが・・・できるのは自分の階段を自分のペースでコツコツ上ることだけです。
クラスに一回出ただけでその技を使えるようにはなりません。先週と比べて成長している実感もないかもしれません。しかし同じようなことをしているように感じても上に上がっているはずです。
※テクニッククラスも参加せず、自分で教則動画を見て研究もせず、スパーだけ参加して毎回同じことしかやらない人は、螺旋階段ではなくマジで同じところを回っていることもあります。こういう場合は成長が見込めません。
まとめ
例え話ばかりで中身のない記事になってしまった気がしますが、これを見て「とりあえず今日もクラス参加するか!」と思っている方が一人でもいてくれたらうれしいです。
レッスンの内容が覚えられなくてもええんです。自分のペースで少しずつ積み上げていきましょう。出汁を取るように、英単語を覚えるように、螺旋階段をのぼるように。
ちなみに中級者以上の方の場合、ちゃんとクラスの内容覚えられる方がいいです。特に青帯あたりは知らない技を減らす(穴をなくす)作業が大切になるので。とにかく技を増やしていきましょう。たくさんやる中で自分に合う技が見つかってきます。また、中級者以上ならば白帯相手に習った技を試すのも可能なのでどんどん試したいですね。
2023/1/11 アンディ
参考に。やめてしまう人のメカニズムについての記事はこちら
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