Shohei Ando/家具職人

一瞬一瞬が積み重なって一生となる

Shohei Ando/家具職人

一瞬一瞬が積み重なって一生となる

マガジン

  • この時代に家具職人として生きる。

    立命館大学を卒業した後、 家具職人になる事を夢見て 地元大阪を出て職人の道に入る。 お金よりも大事なものを求めて 純粋な気持ちを糧に現代に立ち向かう。 自身との様々な葛藤を記録する自伝的マガジン!

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Whose House?

高校時代のアメフト部の指導者の方々、そしてチームメイトに感謝と敬意を込めて。 ヘルメットを被りフェイスマスク越しに見る世界は、子供の頃の僕にとっての憧れであり、今の僕にとって忘れることの出来ない人生の特別なワンシーンだ。 子供の頃の僕の夢はアメリカンフットボールの選手になることだった。小学5年の七夕、短冊に「アメフト選手になりたい」と書いたことも覚えているし、「トム・ブレイディを超える選手になる!」なんて今じゃ恥ずかしくて口が裂けても言えないような事も友達の前で豪語してい

    • 初期衝動

       もっと人生はロマンチックなもんだと思っていた。  私立高校に通い両親を経済的に苦しめていた自分は、大学入学とともに高校時代の夢を諦め、大した金額も稼げないというのにアルバイト中心の生活を送っていた。  高校時代の夢はアメリカンフットボールの選手になることだった。大学でアメフトを続けるには、キャンパス近くで一人暮らしをし、毎日練習に励んで毎食腹一杯食べて強く逞しいアスリートになり、時にはクラブで朝まで過ごさなければならず、何かと学費以上にお金が必要な事は分かっていた。もちろ

      • 天は人の上に人を造らず

        壱万円札の福沢諭吉の目をぼーっと見つめながら色んなことを考えてみる。 「天は人の上に人を造らず」 壱万円からのそんな訴えに説得力もクソも無いじゃないか。学生の頃の僕だとそう思っていたに違いない。でも、彼の本を実際に読んでみて今じっくり考え直してみると、彼はなるべくして壱万円札の顔になったのではないかと思ってしまう。 人は生まれながらにして平等なはずなのに、どうしてこんなにも不平等な世の中なのか。こんな事考え出すと迷宮入りしてしまうので僕は絶対に考えないが、彼はそういう人

        • 想像力が権力を奪う

          僕は小さい頃から本を読むことが好きで6歳の時に初めて「星の王子さま」を読んでそれから現在に至るまで様々な絵本や小説を何百冊と読んできた。小学生の頃金子みすゞに出会いみんなちがってみんな良いから蚊1匹すら殺したことがないし高校時代には太宰治の人生について3日間寝ずに考えたこともあった。そして大学に入ると様々な歴史的人物の自己啓発本を読んではノートに格言を書き下ろした。 「少年よ大志を抱け」 というのは専ら嘘で、僕は小さい頃から絵がない本が大嫌いだった。小学生の図書の時間は「

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          メイク・イット・ベラー

          当たり前なのだが、衝撃的な瞬間というものはいつも突然訪れる。そして、その時の自分が無防備かつ無知であればある程、その衝撃は鮮明に記憶されるものである。 僕は12歳の頃初めてビートルズを聴いた時の衝撃が忘れられない。古い音楽だとは何となく知っていたものの、当時の自分にとっては他のどんな音楽よりも新しくかっこよかった。(しかもそんな音楽が僕の生まれる30年以上も前から存在していたなんて!) 特に "Lady Madonna" がお気に入りで毎朝聴いてから登校していた。 そうし

          メイク・イット・ベラー

          ライク・ア・ヴァージンは巨根好きの女の歌だ

          「趣味は?」と聞かれて映画と答える人がいるが、映画なんて誰だって好きだ。ぼーっと見てりゃ2時間なんてとっくに過ぎるし、見終わった後は何か達成感みたいなものに包まれる。 でも色んな映画を漁ってもビビッとくる映画のオープニングシーンには中々出会えない。 そんな中、1番好きな映画のオープニングは?と聞かれれば僕は迷わず"Reservoir Dogs"と答える。"Train Spotting"や"Baby Driver"、"Back to the Future"とか印象に残ってい

          ライク・ア・ヴァージンは巨根好きの女の歌だ

          本当に心から好きなのか?

          「僕の好きなもの」というテーマで書くという事だが、何から書き始めればいいのだろう。 まずはざっくりした話から始めよう。「好きなもの」と聞いて僕が思い浮かべるのは、1987年に日比谷公園で「パンクロック」を歌うブルーハーツの甲本ヒロトの姿だ。 「僕 パンクロックが好きだ 中途半端な気持ちじゃなくて ほんとに心から好きなんだ 僕 パンクロックが好きだ」 彼が歌う姿からは本当に好きなものに対する愛情そのものが滲み出ている。説明なんかいらない。みんな分からないかもしれないけど、

          本当に心から好きなのか?

          あーでもないこーでもない

          僕は20歳の時に陶芸を始め、そこから全国の民藝品への熱に火がついた。全国の窯元や民藝館を周り今のものとは何が違うのか考え、あーでもないこーでもないと考えを巡らせるのが好きだった。そして、一丁前に考えだけは一人前に近づいている実感がある。まだ23歳のクソ若造だが、胸を張って言えることはひとつ。 「ものづくりで大切なのは良い使い手がいることだ」 ものの人生は2つある。職人によって作られるまでの人生と使い手によって使い続けられる人生だ。マグカップひとつとっても、使い手によっては

          あーでもないこーでもない

          日本のものづくりはすごい

          ものづくり大国ニッポン。 テレビの情報番組や日常会話でもよく耳にする言葉だ。大人達が誇らしげに「やっぱ日本のものづくりはすごいなぁ」とよく口にしているが、僕はこの言葉を聞くたびに違和感を覚える。 僕は小さい頃よくソフビ人形やトミカで遊んでいたモノ好きだった。昔のおもちゃは細かいところまで細工が施されており、見て触っているだけで楽しくてたまらない。仕掛けもおもしろくて、チョロQをめいっぱい引くと宇宙まで飛んでいけるくらい想像が膨らんだ。トミカを集めては将来スポーツカーに乗り

          日本のものづくりはすごい