【&donutsコラム】デンマークの自立を促す教育から学ぶ「個」を尊重する考え方
こんにちは。&donutsプロジェクト広報の近藤です。
先日、子どもの保育参観で久々に保育園での様子を見ることができました。
色画用紙で作品を作る時間があり、自由気ままな作品が並んでいました。例えば色選び。りんごだからといって赤である必要がなく、自分の好きな色を集め、個性あふれる作品ばかりです(笑)。
感性や個性が一人ひとり違うのは当たり前のことなのですが、子どもたちの行動によって改めて気付かされ、とても尊いことのように感じました。
日本では「集団行動」や「協調性」が重要視され、学生時代に個性を尊重するような教育を私自身はあまり感じた経験がありません。どちらかと言うと日本人は控えめな人が多く、海外の人は個々のアピールが強いイメージがいまだにあります。
では、実際に他国の教育はどうなのでしょうか?
7月1日に実施したインターンシップ生Makiさんとの座談会の際に、デンマークの幼少期からの「個人の意思を大切にする教育方針」が話題にあがりました。
子どもを持つ母親として考えさせられる部分が多くあり、私と同じような子育て世代の参考になればと思い、内容をまとめましたのでご紹介します。
「勉強しなさい!」と言われたことがない!必要かどうかは自分で決めて行動する
&donuts:デンマークは個性を尊重する教育方針だと聞きました。具体的にはどんなところでしょうか?
Maki:子どもの頃から自分のことは自分で決める教育方針なので、親から「勉強しなさい!」「いい成績を取りなさい」と言われたことはありません。自分でやりたいことを決めて行動を起こします。
&donuts:学校の先生からも何かアドバイスがあったりはしないのですか?
Maki:学校の先生も同じで、こちらからアクションを起こせば対応してくれますが、何も言わなければ先生から何かをしてくれるようなことはありません。
&donuts:日本ではわりと「察する」形で手を差し伸べることが多い気がしますが、デンマークではそれはないのですか?
Maki:相手が悩んでいることを想像して手を差し伸べることは、デンマーク人はあまり得意ではないかもしれません。何か問題を抱えている場合、自分から相談に行き、自分自身で解決するよう努力します。
学校の先生に対しても気軽にコミュニケーションがとれる関係性ができているので、助けが必要な時には対話の時間をつくり、それぞれの意見を述べ合います。
&donuts:「意見を述べ合う」ということは一方的なアドバイスではないということですか?
Maki:はい、お互いに意見を出し合って課題が解決するまで話し合います。
&donuts:日本ではわりと「良い学校に行って、いい会社に入りなさい」という価値観を持つ親が多いかと思うのですが、デンマークは進学についてはどうなのでしょうか?
Maki:そう言ったことは親からは言われないですね。将来何をしたいのか、そのためには何を学ぶ必要があるのかを考えて大学も選びます。
デンマークでは高校まで学校のグレードに大きな差がないことも特徴です。
ですので、幼少期から良い学校に行かなくてはいけないというプレッシャーがあまりありません。
レベルの高い学部は「国際ビジネス」将来のビジネススキルを見据えた英語教育
&donuts:それでは大学へはどういった方法で入学が決まるのですか?
Maki:デンマークでは高校の最終試験の平均点で進学できる大学が決まります。もちろん、レベルの高い大学に行きたい場合は、その試験で良い点数を取る必要があります。
&donuts:日本ではレベルの高い学部は医学部が多いと思うのですが、デンマークでも同じですか?
Maki:デンマークでも医学部はもちろんレベルが高いですが、国際ビジネスを学べる学部が一番入ることが難しいです。とても人気があるので、倍率が高いことが理由です。
&donuts:国際ビジネスを学ぶ学部が人気があるのは、学生のときから海外(世界)を見据えているということですよね。
Maki:その通りです。デンマーク人はとても国際ビジネスを重要視しています。市場規模が小さいため、将来の仕事でも海外進出が求められます。だからこそ将来的に当たり前のように英語で発信や交渉ができるよう幼い頃からセカンドランゲージとして英語をしっかり学んでいます。
&donuts:日本でも小学生から英語の授業がありますが、実践的な英語を使える人は全体の割合からすると少ないと思います。デンマークではどのような勉強方法なのでしょうか?
Maki:私も日本人の母から日本の英語教育は、書いたり聴いたりすることが多く、実践的ではなかったと聞いています。
デンマークでは小学校から英語を使ったプレゼンテーションの授業があります。英語の試験は本当に長く、4時間PCに向かい、8ページくらいのレポートを書いたり、分析したりするので、実践的な英語を学ぶ機会がとても多いのだと思います。
&donuts:日本でもGIGAスクール構想やコロナ禍でのオンライン授業により教育現場にタブレットなどの学習用端末が普及してきましたが、デンマークでは以前から学生でもPCを使って勉強することが一般的なのですか?
Maki:そうですね。デンマークでは学生でもPCで勉強することが一般的で、小学生でも自分のPCを準備します。幼少期からよくPCを使用するので、ITのスキルも早く身に付けることができます。
&donuts:IT教育の面でもすごく進んでいるのですね。日本の教育も私たちの時代とは違い、これからどんどん変化していくのかもしれませんね。
デンマークと日本の労働環境の違いについてはこちら↓↓
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IT教育も非常に進んでいるデンマーク。正しい知識を早い段階で学び、それをどう活用するのかについても、子どもたちが学ぶ機会がたくさんあるようです。
デンマークでは、勉強も「やる」「やらない」の選択は子どもの意思を尊重して、子ども自身が選択するそうです。自分でやるべきことに気付く力や物事を決断する力は大人になったときに必ず必要になってきます。
日本では親が子どもを心配するあまり、「勉強しなさい」「こうした方がいい」などと教えることで、子ども自身が気付く機会を減らしてしまっているのかもしれないと感じました。
デンマークの教育のように子どもの意志を尊重して個性を育て、子どもが自分の価値観で選択できる教育について考えていきたいです。