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【&donutsコラム】日本人はオーバーワーク!?デンマークの働き方から学ぶウェルビーイングな社会

こんにちは。&donutsプロジェクト広報の近藤です。
&donutsではメンバーがパフォーマンスを最大限に発揮できるよう柔軟な働き方を取り入れていますが、皆さんは働き方に違和感を感じた経験はありますか?
国内でしか働いた経験がない場合、現状の働き方が当たり前だと感じる人が多いのではないでしょうか。

6月28日〜7月5日、当社の東京オフィスにデンマークのコペンハーゲン大学からインターンシップ生のMakiさんにお越しいただきました。
Makiさんは幼少期からデンマークに住んでいますが、日本人のご両親の影響で、日本文化や日本の働き方についても興味を持っています。

&donutsはデンマークのデザイン思考や多様なステークホルダーと対話しながら、新しい価値を生み出していく共創の考え方からヒントを得た、プロジェクトチームです。
メンバーの幸福度をより高めていくために、デンマークのマインドを直接学ぶことはとても貴重な機会と捉え、Makiさんと&donutsメンバーで座談会を実施しました。
今回は「労働環境」「有給取得」「育児休業」など働くうえでは欠かせない事柄に焦点を当て、デンマークと日本の違いについて座談会での内容をお伝えしていきます。記事を通してデンマークの働き方を知り、ウェルビーイングな社会について考えるきっかけになるとうれしいです。

インターンシップ生と&donutsメンバーの座談会の様子

「直接的なコミュニケーション」が生産性の高い理由!?デンマークと日本の労働環境の違いとは

&donuts:Makiさんがイメージする日本の労働環境はどんなものですか?

Maki:日本人はオーバーワークなイメージがあります。母から聞いた話によると、日本では一人に課せられているタスクの量が多いので、オーバーワークになりがちで休暇が取りにくい状況だと聞いています。

&donuts:たしかに日本人はオーバーワークのイメージを持たれることが多いですよね!タスクが属人化すると、どうしても残業せざるを得ない状況になりやすいのかもしれませんね。
&donutsプロジェクトではタスクの属人性をなるべく排し、急な休みにも対応できるチームで仕事をする体制を目指していますが、日本ではまだ珍しい取り組みです。デンマークではいかがでしょうか?

Maki:デンマークではすでにそのような考えが定着しているので、多くの場合チームで仕事をします。チーム内で常にコミュニケーションを取っていて、情報共有ができているので、仲間の急な休みにも対応できる環境が当たり前に整っています。

&donuts:チームで仕事をするために、デンマークでは日頃どのようなコミュニケーションをとっているのでしょうか?

Maki:デンマーク人は直接的なコミュニケーションを好むので、対話をとても大切にします。コロナ禍で一時的にZoomなどのオンラインツールを使用したこともありましたが、現在では使われなくなっています。
オフィスには、プライバシーが保たれる空間があったり、カフェスペースで一緒に食事をすることができるので、そこでコミュニケーションを取ることができます。
日本の会議のような公式の場は少ないですが、普段から対話をして円滑なコミュニケーションが取れているので、問題なく業務を行うことができます。

&donuts:分からないことはその都度、確認できる環境なのでしょうか?

Maki:誰とでもストレートなコミュニケーションが可能なので、気軽に対話ができます。また、誰かから仕事に対して過度なプレッシャーを与えられるということもありません。
自分の仕事に集中し、自信を持ってアウトプットすることができる環境が、生産性が高い理由なのかもしれませんね。

デンマークの有給付与は年間25日!すべて使い切ることが当たり前

Maki:日本はデンマークに比べて休暇が少ないように感じますが、バケーションのような長い休暇はないのですか?

&donuts:祝日や有給を使って休むことはできますが、学生のような長期休暇は社会人になってからは多くの人にとって難しいです。デンマークでは有給はどれくらい取得できるのですか?

Maki:デンマークの有給は年間25日あります。1年間で有給すべてを使い切り、翌年にまた25日付与される仕組みです。その有給を使って長期で家族との旅行などを楽しみます。

&donuts:それはいいですね。日本では「有給を使い切る」という考えを持っている人が少ないかもしれません。

Maki:デンマークではありえないことですね。お金がもらえる休暇なので、必ずすべて使い切ります。有給が使えない理由は何かあるのですか?

&donuts:そうですね、マインドの面が大きいと思いますが、付与された有給を自分の楽しみのためにすべて使うという感覚が日本人にはまだないのかもしれません。
それに加えて仕事に属人性があることが多いので、休んだ分の溜まった仕事を自分で処理しないといけないとなると休みにくいのかなと思います。
近年は日本でも有給消化を推進する動きが活発化してきました。それでもまだ、付与された有給すべてを1年で使い切る人は少ないと思います。当社でも、有給取得をボードメンバーやバックオフィスチームが推進しています。

インターンシップ生のMakiさん

残業のないデンマーク社会!退勤後は家族との時間を大切にする

&donuts:デンマークではワークライフバランスを大切にしていると聞きますが、労働契約時間はどれくらいが一般的ですか?

Maki:デンマークでは1日8時間の週5日、週37〜40時間のフルタイムの勤務が一般的です。週37時間以上働くことで年金制度や休暇などの特典を受けることができます。

&donuts:週40時間ですと日本とあまり労働時間は変わらないような気がしますよね?デンマークのほうが労働時間が短いようなイメージがあるのはなぜでしょうか?

Maki:そうですね。契約時間は変わらないかもしれませんが、デンマークには残業というものがありません。なので、日本のように定時を過ぎて遅くまで働くといったことはありません。それから、日本のサラリーマンのような、職場の人と一緒に飲んでから帰るということもほとんどありません。仕事が終わったらまっすぐ家に帰り、家族との時間を大切にします。

&donuts:たしかに日本は残業が多いので、平日に早く家に帰ってきて家族みんなでご飯を食べることが少ないかもしれません。家事は男性も積極的にしてくれるのですか?

Maki:掃除や食事の準備など、あらゆることを家族全員で分担して行います。お父さんに限らず、子どもたちも手伝ってみんなでやることが多いですね。

&donuts:日本はまだ女性が家事をする割合が高い家庭が多いので、うらやましいです。

デンマークでは男女で同じ期間の育児休業を取得する

&donuts:デンマークでは男性も長期間育児休業を取得するのが一般的と聞いたのですが、実際どのくらいの期間取得するのですか?

Maki:男性も女性と同じくらいの期間の育児休業を取ります。出産後は女性が6ヶ月、次に男性が6ヶ月と交代で育休を取り育児をすることが一般的なので、夫婦のどちらかが長期間、仕事から離れることはあまりありません。

&donuts:男性も女性と同じように育児に携わる時間があることは良いことですね。育児休業復帰後の女性はフルタイム勤務が多いのですか?日本のようにパートタイマーで短時間の勤務などもあるのでしょうか?

Maki:短時間勤務の人はほとんどいないと思います。フルタイムで働くことで福利厚生など社会保障も充実していますし、正社員でもパートタイマーでもフレキシブルな働き方が可能なので、フルタイムにしない理由がありません。契約の範囲内であれば労働時間は各自の裁量で決められます。

&donuts:日本の場合、正社員は働く時間の融通が利かない一方、パートタイマーはある程度時間の融通が利くようなイメージがありますが、正社員でもフレキシブルに働ける環境はいいですね。
日本では待機児童の問題で女性が社会復帰したくてもできない状況があるのですが、デンマークでは子どもを預ける場所が足りていますか?

Maki:デンマークでは子どもを預ける場所が足りないという話は聞いたことがありませんし、女性が仕事復帰をするタイミングでいつでも預けることができます。
シッターのアルバイトは待遇が良いので、学生にはすごく人気があります。デンマークでは子どもを産んだ後も女性が社会復帰がしやすい環境がすでに整っているので、男性、女性関係なくいきいきと働くことができています。

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日本で問題になっている残業過多や出差後の女性の復職率などの課題がすでに当たり前に解消され、ウェルビーイングな社会の実現ができているデンマーク。
もちろん、デンマークではここまで社会保障が充実しているため、税率は日本よりもかなり高いのですが、その分国民の「幸福」にフォーカスを当てた施策や工夫が行われていました。Makiさんの話を聞くことで、国民の幸福度が高い理由を、男女平等な社会のもと、ワーク・ライフ・バランスの実現ができているからだと理解できました。
座談会に参加したメンバーからも「日本もそうだったらいいなぁ」「素敵だね」という声が何度も聞かれ、ますますデンマークが好きになった様子でした。

今回は働き方にスポットを当てた内容でお届けしましたが、他にもデンマークの幼少期からの教育方針なども日本とさまざまな違いがあり、面白い内容がたくさんありましたので、また別の機会にお届けします。