一榮めぐみ

いちのえめぐみと申します。小説を書く人です。連載はキリがつくまでアップしたくないのでお…

一榮めぐみ

いちのえめぐみと申します。小説を書く人です。連載はキリがつくまでアップしたくないのでお休み中です。

最近の記事

全て。

私は、全て持っていた。 愛情深い両親、愛する夫、可愛い我が子。 広い家に、必要な家具も衣服も お金など、どのくらいあるのか数えたこともない。使用人たちは何人もいて、私は家族と過ごすためだけに家に帰っていた。 それでも、私は忙しかった。 常に、あちこち行かなくてはならなかったし、実際のところ、家など寝るための場所でしかなかった。 私は常に誰かに付きまとわれ、それ等から逃げるために広い玄関を使うこともできなかった。 私はそれを面倒だと思っていた。 私の命は常に脅かされ、ひと

    • 目を閉じたままだから

      たくさんの人がいた。 私はそこで笑っていた。 だって、笑ってないと泣きそうだったから。 たくさんの人がいるのに、誰もわたしを見ていない。 そんなの知ってる。 だってわたしも誰も見ていないもの。 それに、誰もわたしに興味がないの。 残念ね、わたしも興味がないもの、仕方がないわ。 でもね、知ってるの。 みんな本当は見えてないの。 目を閉じたまま、耳を塞いだまま、 聞こえる音と、見える物だけ追いかけてる。 手探りで、あっちへふらふら、こっちへふらふら ちょっと遠くで何かが

      • つながり

         梅雨らしい灰色の空を見上げて、俺は風の匂いを嗅いだ。今にも雨が降り出しそうな、重たい空気の匂い。遠くの山が白く濁って見えて、雲の靄を纏っている。 「ねぇ、洸太」  名前を呼ばれて横を見ると、祐己も空を見上げている。 「オレ、雨が好きなんだ。もうちょっとだけ、ここにいてもいい?」  祐己の伸びた前髪が、風に吹かれてふわりと揺れた。 「べつにいいよ」  こっちを見て、祐己が笑う。多分、俺も笑った。 「でも、雨に濡れて帰ったら、また母さんに怒られちゃうかも」  俺

        • 一年の節目は"当たり前"に感謝を

           11月もそろそろ終わりが近づき、木の葉は色とりどりに空を舞い、あんなに盛んだった草も枯れ色が目立つようになった。日に日に気温も下がり、いよいよ12月になれば一気に年末モード突入となるだろう。  とはいえ、11月初旬からコンビニやスーパーではすでにクリスマスケーキやらチキンのポスターが貼られており、毎年お馴染みのクリスマスソングが流れている。どうでもいいことだけど、私はこのクリスマスソングというのが好きになれない。浮かれた音楽とは裏腹に、12月なんて忙しくてピリピリしている

          周りの空気が読めないなら、自分で風を起こせばいい。

          私は子どもの頃から、他の人にはあるのに私にはないものがあると思っていた。クラスみんなが笑っている中で、何が面白いのか理解できずに一人でポカンとしてたこともよくあった。普通の人が普通にできることをできるようになりたくて、必死に努力していた。常にいろいろな音がうるさくて、静かなところに行きたかった。 友達がいないわけではなかったけれど、一人でいるのが好きだった。変だとか変わってると言われるのが日常だった。何かを始めても集中できなかった。 でも、何かをやりだすと、周りの音が聞こ

          周りの空気が読めないなら、自分で風を起こせばいい。

          自分の心

          所詮、他人なのです。 どれだけ動かそうとしても、 他人の心はなかなか動かせません。 でも、自分の心は簡単に動かせます。 自分の心は自分だけのものです。 どんな気持ちになってもいいし、 何を考えてもいいのです。 嬉しいと思うのも、苦しいと思うのも、 傷をつけられたと思うのも自分です。 その想いの大きさを量ることができるのも自分だけです。 自分の心を他人に理解してもらおうと 必死になって訴えても、 誰も正確に その大きさを理解することはできません。 他人の心を理解したと

          重要な栄養素は何か

           資格を取ってから健康について相談されることが増えた(気がする)のだけど、基本的なことを知らない人が多いことに驚く。基本的なことを知らないので、すぐに健康食品や栄養補助食品の言葉巧みな魔法にかかってしまう。魔法で健康になれれば良いなと思うけども、最初のうちは良いと思っていた健康食品も、気がつくと毎月届く未開封品の山になっていることもある。  たいていの人は、好きな食べ物を聞かれると思い浮かべるものがあると思う。でも、だからといってそれを毎日では飽きてしまう、と毎日は食べない

          重要な栄養素は何か

          これが私

          時々、自由になりたいと思う。 それは、私を取り巻くあらゆる環境の中から、とか 社会の常識とか、家族や友達といったしがらみから、とか  そんなものからの自由ではなく この身体という器とか、繰り返される記憶や音から、 自由になりたいと思う。 どうしても私は、私の型を崩すことが出来ない。 カタという言葉もしっくりしないけれど 自由に言葉を紡ぎ、自由に色を描き、自由に音を奏で、 自由に宙を飛び、自由に水に沈み、自由に地に潜る、 そんな単純なことが、出来そうなのに出来ない。

          ”向こう側”の解説

          実は、前に書いたnote”向こう側”は随分前に見た夢なのです。 あの文だけでは意味不明すぎると思ったので、解説を書こうと思っていました。解説ではなくてただの妄想じゃん、夢じゃん……って、はい。その通りです(笑) 文字では短く書いてますが、とても長い夢でした。苦しいことも辛いことも、嬉しいこともありました。私は夢だとも気付かずに、その時その時を、必死に生きていました。 いつからか時折、何かの声を聞いていることに気が付きました。どうして誰もわかってくれないの、という怒りや悲し

          ”向こう側”の解説

          向こう側

          からからの大地を抜けて 水のきれいなところを目指した。 君が教えてくれた 美しい声で。 真っ白な雪を両手ですくいあげると ふわふわとんで、空に消えた。 どこまで行っても君はいない。 水にとけて、赤く滲む空をつきぬけた。 そこで君は待っていた。 きれいな笑顔だから、すぐに君だと気がついた。 一生懸命頑張ったことを話した。 嫌だったことも、矛盾に苦しんだことも 楽しかったことも、嬉しかったことも 辛かったことも、つまらない毎日だったことも 全部話した。 全部わか

          どんなに良い言葉を連ねても、透けて見える本心が嘘だと言っている

           オーラが見えるのとは少し違うと思うけれど、私は人と話すとき、相手の目を見ていると相手の感情がわかりすぎてしまう気がする。だから特に仲良くなろうとしているわけではなくても、言葉を選んでしまう。それが私なりの気遣いなのだろうけど、私は決して優しい人ではないので、優しい嘘もお世辞も言えない。どんなに良い言葉を連ねても、透けて見える本心が嘘だと言っている。それでは、その言葉はシャボン玉のように軽く、あっという間に消えてしまう戯言でしかない。  人間は面倒だ。犬や猫とかの動物は好き

          どんなに良い言葉を連ねても、透けて見える本心が嘘だと言っている

          ミスしないわけがないじゃん、人間だもの。

           私は今までいろいろな仕事をしてきた。悪く言えば長く勤めることができない。よく言えば出会い別れと初めての連続。まぁ、世の中では悪く言われるほうが多いけれど、自分の都合で辞めるというよりは、辞めざるを得ない状況に陥ることのほうが多いので、私の人生はこれからもそんなものなんだろうと思っている。そんな職歴を持っていても、幸い、人との繋がりや縁があって仕事に就けなくて困ったことは無かった気がする。  そんなことはさておき。いろいろな職場を見てきて、たいていどこの職場でも誰かのミスに

          ミスしないわけがないじゃん、人間だもの。

          秒速1cmで動く点Pとぶつかることはない。

           わたしはオカルトやら都市伝説とか好きで、そういうものを見たり読んだりしていると、時間の感覚が吹っ飛ぶ。時空が歪んだとしか思えないほど、あっという間に時間が過ぎていることが多々ある。  実際のところは、時空が歪んで時間という概念を飛び越えたことはない。なぜかというと、思っているよりも時間が過ぎていることはあっても、戻っていることは無いからだ。ただ私が集中し過ぎていただけで、決して時空が歪んだりしていない。当たり前のことだけれど、オカルト界とか都市伝説では、ちょくちょく時間を

          秒速1cmで動く点Pとぶつかることはない。

          3日で飽きると思っていた

          私の趣味は、たくさんある。  小説、石、野菜作り、その他諸々。趣味といえばそれまでだけれど、どれも私にとっては生きるために必要なものだと思うようになってきた。何よりも書くことに関しては特にそう思う。  こうしてnoteを書くことは、思っていたよりも簡単だった。まだそんなことをいうほども書いていないけれど、本当は3日で飽きると思っていた(笑) 自分でも気付いていなかったけれど、小説に限らず書くことが好きなんだ。  小説を書くのは一番楽しいしコソコソと続けていたけれど、さす

          3日で飽きると思っていた

          薬を飲むときに知っておくべきこと

           体の調子が悪いときに、病院に行くという選択をする人は少なくないと思う。風邪のときは病院に行って薬を飲んで寝る、というのは常識的な判断で、風邪で仕事や学校を休むときには必ずそうしなければいけない(それが真面目)と思われている気がする。  他にも、健康診断で精密検査を受けるように勧告されたとか、原因のわからない頭痛や腹痛等を理由に病院に行く人もいると思う。  原因は何であれ、病院で薬が処方されたなら、たいていの人は、ほぼ無意識に薬を飲むという選択をしていると思う。細かく言う

          薬を飲むときに知っておくべきこと

          食事にプラスではなくマイナスを

           体は自分で思っているよりも高機能であって、故障があっても自己修復をしようとしてくれている。様々な症状には原因があって、原因を解決しなければ体は何度でも痛みや不調を起こしてしまう。睡眠や栄養の偏り、誤った判断にも、体はなんとかしようと頑張ってくれている。その体調不良の原因は何なのか原因を突き止めて、どうすれば解決することができるかを考えてみると、薬に頼らずとも解決できることも多いのではないかと思う。  薬を飲めば治るという病気は実は限られていて、対処療法によるものがほとんど

          食事にプラスではなくマイナスを