目を閉じたままだから

たくさんの人がいた。
私はそこで笑っていた。
だって、笑ってないと泣きそうだったから。

たくさんの人がいるのに、誰もわたしを見ていない。
そんなの知ってる。
だってわたしも誰も見ていないもの。

それに、誰もわたしに興味がないの。
残念ね、わたしも興味がないもの、仕方がないわ。

でもね、知ってるの。
みんな本当は見えてないの。

目を閉じたまま、耳を塞いだまま、
聞こえる音と、見える物だけ追いかけてる。

手探りで、あっちへふらふら、こっちへふらふら
ちょっと遠くで何かがキラッと光ったら、
そっちにはとんでもない光があると信じて
その光を目指す他の人たちを欺いて、蹴落として、
独り占めしようとする。

わたしは、そんな光なんて存在しないのを知ってるから
そんな人たちが滑稽で、醜く見えるだけ。

でもみんなは目を閉じたままだから、
欺かれ、蹴落とされた人たちのほうが可哀想に見えるの。
勘違いした人たちは、情けない、無様だって歩けなくなった人たちを笑いものにしてる。
偽善者たちは、大丈夫だよって根拠のない安心感を植え付けてる。

そもそも光なんてないのに。

だから、蹴落とされたとしても、欺かれたとしても、
そんなことで自分を責めたり憎んだりしなくていいんだよ。偽物に騙されても、泣かなくていいんだよ。

だって、それはちゃんと目を開けばわかることだから。

この世には、たくさんの人がいて、めんどくさいけど
あなたにはあなただけの光がある。

あなたはあなたしかいない。
それがどれだけ特別なことなのか、わかってないだけ。

みんなちゃんと光ってるのに、
自分の光さえも失ってしまったように彷徨って嘆いてる。
ありもしない光を追いかけて、疲弊してる。

誰かと比べたり、並べたりしなくてもいい。
色が違うなんて、当たり前でしょ
誰かと同じなんて、気持ちが悪いでしょ

だからわたしは誰も見ていないの。
誰にも興味がないの。

わたしは笑ってるわたしが好き。
だから笑う。

でも、わたしの光は強すぎて、他の人を惑わせてしまう。
だからわたしは悲しくて、泣きそうになる。

本当はみんなにも光ってほしいだけなのに。

そんな好意は、求めてない。
そんな悪意は、もっと要らない。

目を閉じたまま、わたしに近寄らないで。

孤独で虚しくなるときもあるけど、
みんな見えていないだけだから、仕方がないね。

もしも、あなたが目を開いて、
わたしの光を愛してくれるなら
わたしもあなたの光を愛せると思う。






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