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北欧ストックホルムは少し暖かな晩秋に毎日の雨が冬を誘います。スウェーデン個展の旅 9

個展の終了と共に、ダーラナ地方から
南のストックホルムへ戻りました。




冬に一足飛びだったレキサンドとは違って、
いつもの秋よりここは暖かいようです。

パンデミックの3年間、
訪れられなかったストックホルムは、
こんなに人々が多い国だったのでしょうか。



駅も電車も人、ひと、ひと
目抜き通りは観光客でいっぱいです。




古い街ガムラスタンの周りは工事が!

ここに近代的なハイウェイができるのだとか、

古い素敵さを残して欲しかったと
思う人々が多いことも確かです。


ここにも
中国資本が幅を利かせているようです。


そんな側を通り抜けて
ノーベル賞受賞者の発表後は、

このノーベル財団会館は長蛇の列、
受賞者の経歴など発表されています。

そこからフェリーで10分対岸にある、
王立手工芸学校へと向かいます。


今日から、そこでデザイン講義をします。

フェリーでは、乳母車を上手に扱う
若いお父さんを度々見受けます。

ここではお父さんにも産休が与えられています。



毎朝、地下鉄に乗ってみたり、
フェリーにしてみたり、

30分ほどのところにあるテキスタイル学校に
ランチを持って出かけます。


3年生の生徒は形や色彩に慣れているのか
デザインを私流に教えると、
あっという間に学んで、
力のあるデザインを作り上げます。



でもまだ一年に満たないクラスの生徒は
どうしていいのか解らず、戸惑います。

美しいとか、好きとか嫌いとか、
自分で考える、
あるいは観ることの経験不足だからだと。



それでもお昼過ぎには
止まらない程描きますが、
時には自信がないと涙目になる生徒もいます。

誰もが持っているデザインの才能を、
私はただ引き出すことに力を注ぎます。


インスタグラムに
自作品を発表したことのない学生が、

初めて自慢できるデザイン画を出せたんです!
と廊下で会って感謝され、

同僚教師からあなたの授業を受けた感想を聞くと、
みんなもう興奮!と答えるわと。

ただひたすら
個性を引き出してあげることだけが
私の使命だと思いながら。



この学校の新しい授業の追加に
自作品の写真の撮り方、
アーティストとして生きるための経営学、
そしてプリント学科が増えました。

デザインの講師が3人もいる学校は今、
スウェーデンには他に有りません。

技術の教師は高いレベルを維持して
スウェーデンのテキスタイル界でも
高く評価を得ています。



伝統的文化は大切ですが、
そこで学ぶ学生たちが、技術的に学んだ手法に
新たな、その年なりの文化を足して
繋げて行くべきなのだと思っています。



伝統とは、
そうして文化を作り上げて行くべきだと願っています。

半世紀前に私がここで学んだ手法を
少しだけでも繋げて、
彼らの独自の考え方を加えた伝統を
作って欲しいと願っています。


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