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休職日記:1日目〜私が死んだ日〜


休職なんて会社の中で死んだみたいなものだよ。

診察室でそう言われた私は、一瞬頭が真っ白になった。

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2ヵ月程前から、周りから休職を勧められるようになっていた。

年度替わりから職場の責任者を任されていたが、年下の女が上司になるというのはどうやら受け入れがたい人も多いらしい。元々責任感が強く、遊びを知らない若造に周りの人達は「遊び」を教えてくれたみたいだが、それは私にとっては「いじめ」であり、それは社員の健康管理をおこなう部署のカウンセラーと同じ見解であった。

休職を勧められたが、休職をすると同じポストに戻ることは難しい。地位や名誉への関心は薄いが、やはり邪魔する責任感、それに加えての必要とされていないのではないかと言う気持ちを肯定することになるのではないかという恐怖からあと一歩が踏み出せないでいた。

しかし身体は正直なもので、不眠や集中力散漫、情緒不安定が日に日にひどくなっていき、ある日帰宅中にイライラがピークに達して携帯電話を道端に投げつけてボロボロにしてしまった。この時、もう無理かもしれないと思い、休職をする自分を受け入れようと決めた。

話しはサクサク進んでいき、診断書を取ることになった。上司と話し、休職は1ヵ月後〜3ヵ月間とることになった。その1ヵ月は引き継ぎなどをおこなう。辞めるならともかく、休職する人間が引き継ぎ?と思ったが現場のしんどさを想像すると今すぐにとは会えなかった。

そして、受診。もともと通っていたメンタルクリニックにいき休職の旨を伝え、書いてほしい内容を上司との打ち合わせ通りに伝えた。

そしたら主治医から、「休むのを決めたのに何で行くの?」と言われ、そうだよなあ、と思ってしまった。苦しいよなと思いつつ、「引き継ぎとか、、いきなりいなくなると迷惑かけて戻りづらくなるし」と言った。すると先生は「なに言ってるの。国会議員が亡くなったってニュースあるけどそれでも周りがなんとかしてやってるの。君がいなくなっても何てことはない。休職が悪いとかではなく、お互い様だと言える世の中が必要。だから、今日からね」と言った。

理解しつつも、今日から休職ということに驚き、何故か「延ばさなければ!」と考えてしまった。責任感が邪魔したのかなんなのからもう分からない。

「国会議員は死んじゃったから、やるしかないけど、私は死んではない」と伝えた。そしたら、

「休職は会社のなかで死んだようなもんだよ」と言われた。

私そっか、死んだんだ。

びっくりしたが、そう思うと色んなことに諦めがついた。

死んだんだからしょうがない。

そうして私は、急遽今日から休職に入り、今日からしばらく死んで、本当の遊びを探すことにした。



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