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📕 | 読んだ気になる読書感想文。「竜のグリオールに絵を描いた男」④🔚
📚 竜のグリオールに絵を描いた男
✍️ ルーシャス・シェパード
🌟 p.318〜p.431
👩🏻 読んだところまでネタバレ感想
↓
・第四章 嘘つきの館
・エピローグ 作品に関する覚え書き
⭐️「竜のグリオールに絵を描いた男」
読了🔚
「私はミシガン州立大学のキャンパスへ出かけ、木陰でジョイントを吸って脳に刺激を与えた。それからノートに〝バカでかい竜〟と書き付けた。とんでもなく冴えていると感じた。でかいものはクールだ、と思った。」
第四章の嘘つきの館は、グリオールの意志によって操られ、彼の擬似息子を生み出す企みに利用される粗野な男・ホタと竜の娘・マガリのお話。
物語の最後まで、グリオールに関わるあらゆる事は解決せず、しかし後退せず、ある意味SFらしい終わりだったかもしれない。
一番の魅力とも言えるのが、暴力的で日々に無関心なホタの穏やかな精神世界。
粗野な人間であっても、粗忽なわけではないのかもしれない。
ただそれを他人に表す方法を知らないだけで、知識人のような言葉表現を知らないだけで。
彼らなりの愛を交わした日々は過ぎ、竜と人、別れの瞬間がやって来た時、ホタはこう考えた。
「彼女が戻る日を待つ。いや、待つだけではない。記憶にあるかぎりで初めて、彼は胸の内に野心がこみあげてくるのを感じた。自分なりのやりかたで成りあがるのだ。ただ生きのびて退屈な仕事をこなすだけの人生に甘んじる事なく。」
愛の形はそれぞれで、準備された言葉ばかりではなく、作者の人生観もポロッと漏れてしまった台詞だなあと思う。
それにしても、初めに載せたように、グリオールの世界観の根源は「大きいもの=カッコいい」のなんともシンプルなものに対して、作品の後書きによるとレーガン政権への隠喩でもあるというのでややこしい。
やりたい事はシンプルでも、ついデティールを足して、足していってしまう、作者の二面性も見えた気がする。
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