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いるかもしれない人を探して

私のNPOでは第2&第4金曜日に炊き出し&パトロールを行っている(12月~2月の越冬期は毎週金曜日)。炊き出しではお弁当と豚汁を配る。私達が活動しているのは人口100万人に満たないぐらいの地方都市だが大体60人前後がいつも列に並ぶ。

炊き出しが終わったあと、各地区に分かれてお弁当をもってパトロールに向かう。炊き出しに気持ち的にいけない人、病気があっていけない人、遠くて来られないひと、野宿をはじめたばかりで炊き出しの情報を知らない人…様々な事情があって炊き出しに来られない人達がいるから、私達が出向くことは大切だ。

パトロールの夜は遅い。私が参加するのは駅前のパトロールだが、22時半に出発し終わるのは深夜の1時頃である。というのは、駅前の商店街のシャッターが閉まるのが大体23時頃だから。おいちゃん達に出会うために街が寝静まったころを見計らというわけだ。

とはいえ、野宿のおいちゃん達と約束しているわけではないので、パトロールをすれば必ず会えるわけではない。だから、とにかく歩き回る。はじめてパトロールに参加したときはほんとにしんどかった。仕事終りで疲れてるし夜遅くて眠いし重い。お弁当だけじゃなくて、薬箱や衣類、お布団なんかを手分けして持つのでとにかく重いのだ。それなのにパトロール隊はそれなりの速さでずんずん歩いていく。

川沿い、非常階段裏、トイレのなか、マク○ナルド…とにかく心当たりのある場所は隈なく探す。それでもおいちゃん達には全然会えない。こんなところにほんとにいるの…?そんなことが頭を過るのも何度目かというそんなときに、やっぱりいたのだ。物陰に所在なさげに佇むひとりのおいちゃんが…!

ホームレス支援の基本は「出会い」である。ひとりの人間とひとりの人間が路上で出会うことから、それからのすべてがはじまる。しかし、その出会いは「いないかもしれない」という思いを乗り越えて、「いるかもしれない」人のために歩き続けたときに生まれるものなのだ。そんなことを痛感したパトロール初夜だった。

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