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カンダタ

小学校の4、5年くらいに、初めて「蜘蛛の糸」を読んでん。 衝撃が走ったのを覚えてるわ。 そのころは妹の健康上の理由でど田舎に住んでたから。虫や蛇は身近やって、私はそういうのん平気な子やってん。 基本、生き物は殺さへん。 まあ、蚊やGはやっつけるけど。 

カンダタのこと、時々考えるんや。 私はそんな悪いことしてきてへんから、多分今のところ地獄には行かへん自信あるけどな。 まあ、でも、万が一を考えてや。 これも保険やな。 今まで何度も蜘蛛を助けてきたから、きっとお釈迦様は私には蜘蛛の糸でできたロープを投げてくださるわ!!って。 いやいや、そのあさましさをお釈迦様は嫌うやろな。 謙虚にいかなあかん。 カンダタじゃなくたって、もし切れそうな蜘蛛の糸に大勢がぶら下がってきたら、ちょっとまずいやろって思わないんやろか? どうぞ、皆さんもご一緒に!!ってなるやろか? 絶対に切れない糸って分ってたら、また話が違ってたんちゃうか。 お釈迦様、そこも試してはったんやろけど、よっぽど自己犠牲が平気な人でない限り、カンダタみたいに「やめてくれ!!」ってなるんちゃうか。 それが普通ちゃうかな。 これは永遠のテーマやな。 奥が深い。 さすが芥川龍之介や。 目の付け所がちゃうわな。

カンダタはまだ地獄でもがいてるんやろか。 あの奇跡的な蜘蛛の糸は一回こっきりやったんかな。 お釈迦様はもうお慈悲を見せてくださらないんやろか。 とまあ、そんなことを思いつつ掃除機かけてたら、今朝も一匹の小さな蜘蛛が部屋に入ってきた。 もちろん逃がしたで。 これでまた私のロープは太くなるやろ。 いやいや、欲を出したらあかん。 もっと純粋な気持ちで助けてあげなあかんわな。 下心丸出しはやらしい。 最近、セアカゴケグモが近所で出たらしいねん。 あー、堪忍やで、これは助けられへんわ。 悩ましい。

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