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第68回:物語が「反転」したとき、あなたには何が見えるか?

こんにちは、あみのです!今回の本は、道尾秀介さんの『スケルトン・キー』(角川文庫)という作品です。

道尾さんの作品を読むのは今作で2作目。『向日葵の咲かない夏』が有名な作家さんで、私もこの作品の仕掛けにはとても衝撃を受けたことを覚えています。

意外性のあるミステリーが読みたくて「カドフェス」(角川文庫の夏のキャンペーン)で推されていた今作を手にしてみました。ミステリー特有のスリルとか驚きを存分に味わえる作品。とにかく「面白い小説」が読みたい方や最近小説を読んでいない方、まずはこの作品はいかがでしょうか?

あらすじ(カバーより)

19歳の坂木錠也は、ある雑誌の追跡・潜入調査を手伝っている。危険な仕事ばかりだが、生まれつき恐怖という感情が欠如した錠也にとっては天職のようなものだ。天涯孤独の身の上で、顔も知らぬ母から託されたのは、謎めいた銅製のキーただ1つ。ある日、児童養護施設時代の友達が錠也の出生の秘密を彼に教える。それは衝動的な殺人の連鎖を引き起こして……。2度読み必至のノンストップ・ミステリ!

感想

ミステリーならではの意外性あり、ラストにはちょっと感動的な展開もありと、非常に満足度の高いエンタメ作品でした!

雑誌記者の手伝いを通じて、自分の中にある「違和感」の正体を探る錠也。作中では彼の調査の様子というよりは、児童養護施設時代の話や過去の殺人の話が多い印象で、このような回想シーンの数々にはじわじわと違和感がありました。

しかし、物語の中盤でこの「違和感」の正体が明らかになります。この物語に潜む仕掛けを知ったとき、これまで見てきた世界が反転するかのようでした。確かにこれ、再読したくなる作品なの凄くわかる。

「謎を解く鍵は、鏡の中に隠されている。」今作は「鏡」というモチーフが大きなカギを握っていて、作中の鏡を使った演出には圧倒されました。この演出は多くの人に体験してほしいと思いました。

また、タイトルになっている「スケルトン・キー」という言葉には、「丸い軸の先に四角い歯がついた鍵」および「合鍵」という意味があるそうです。しかし、今作における「スケルトン・キー」にはこれらに加えて、もうひとつ重要な意味が隠されていたと私は思います。

重大なネタバレとなってしまう理由なので詳しくは書きませんが、既に読んだ方やこれから読む予定のある方にここがわかってくれたらめちゃくちゃ嬉しい。

内容だけでなく、カバーと帯にもこだわりのある作品となっていて、物語の展開とリンクした装丁もとても面白いなと思いました。(帯を外すと少し違ったカバーイラストが現れます)物語が反転したとき、帯を外して見えるカバーイラストからあなたは何を感じるでしょうか?

ミステリーと「小説」の面白さを再実感した1冊。少しえぐいシーンもありましたが、主人公に隠された秘密が知りたくて「読む手が止まらない」物語でした。またいつか再読します!

最後に、今回の読書感想を読んで頂きありがとうございます!

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