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第171回:生きづらさを感じる毎日に効く物語(標野凪:『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』)

こんにちは、あみのです。
今回の本は、標野凪しめのなぎさんの『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』(双葉文庫)という作品です。

今作は、世の中の変化や日々の人間関係に疲れた心を癒してくれる優しい物語でした。毎日忙しいと感じる時こそぜひ手にしてほしい本です。

あらすじ

住宅地の奥にひっそりと佇む、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。この喫茶店には、がんばっている毎日からちょっとばかり逃げ込みたくなったお客さんが、ふらりと訪れる。SNSで発信される〈ていねいな暮らし〉に振り回されたり、仕事をひとりで抱え込んだりして、疲れたからだと強ばった心を、店主そろりの料理が優しくほぐします。

出版社サイトより

感想

2020年から今に至るまで、これまで以上に世の中が変わったと思います。
誰もが暮らしやすい社会へ少しずつなっているとは思うけど、一方でいろんなことを気にしすぎて制限されたものも増えている気がします。
今作では変わりゆく世の中に「生きづらさ」を抱える大人がたくさん登場しました。

次から次へと新しいルール・言葉が生まれ、メディアからの大量の情報に疲れてしまう。また楽しみのはずのSNSもいつの間にか人と自分を比べることが増え、見るのが嫌になる時がある。
作中で描かれていた生きづらさには、私も共感した箇所がたくさんありました。

ではこのように日々変わっていく世の中をどう生きればいいのか?それは「喫茶ドードー」のそろりさんが教えてくれます。
そろりさんは忙しい毎日に「自分自身をいたわる時間」を作ることをとても大切にしていました。

美味しいものを食べて(飲んで)心を癒したり、そろりさんとの会話から生きづらさを乗り越えるヒントを得たりして、登場人物たちは前向きな気持ちになっていきます。

私も今作を読んでいて、最近自分のことを大切にできていないな…と思いました。だからこそ時々外食をしてみたり、今思っていることを身近な人に話してみたりする時間も積極的にとっていきたいです。

時事ネタも多く、現実に近い雰囲気の物語ではありましたが、登場人物が喫茶ドードーを訪れるシーンやそろりさん視点のパートはどこかファンタジーの世界にいるような居心地の良さを感じました。喫茶ドードーのようなお店が現実にあれば行ってみたいです。

これからも世の中は変わっていき、新たな生きづらさの原因も現れると思います。でも自分をいたわる時間はいつの時代も必要なことではないでしょうか。先日の別の感想文でも似たようなことを書きましたが、ゆったりと時間が過ごせる喫茶ドードーのような場所は、これからもあり続けてほしいですね。

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