原色の少女 #3
3.原色の少女
「山下達郎は、どうやって青森まで来るんでしょうね?」
僕はスバルフォレスターの助手席に座って、運転中の栗山さんに尋ねました。
2019年6月16日、日曜日。
十和田市から、山下達郎のコンサートが開催される青森市に向かう道中です。
山下達郎は、二日前に盛岡市のコンサートを終えて、青森入りをしているはずでした。
僕は、その交通手段が気になって、栗山さんに尋ねたのです。
車なのか?貸切バスなのか?
はたまた、新幹線なのか?
「新幹線じゃない?」と栗山さんは答えました。
「あの人は、JRにでっかい貸しがあるから、きっと乗り放題なんだよ」
そう言うと、鼻歌で『クリスマス・イブ』をハミングしました。
あぁ、なるほど。
お昼に食べた青森名物「みそカレー牛乳ラーメン(バター付き)」については、別マガジン『東北のうまいもの』で書きますね。
いやぁ、うめがったな。(美味しかったです)
コンサートが開かれる会場の近く『ホテル青森』にチェックインしました。
ホテル青森1407号室からの眺め。設備は古いですが、良いホテルです。
そして、いよいよ始まりました。
ツアーはまだ始まったばかりなので、詳細は差し控えます。ごめんなさい。
*
ニット帽を被った『シティポップの神様』は数曲を歌い終えると、興奮冷めやらぬ(幾分、注意力散漫な)観客に向かって、MCを始めました。
「最近、身近な人が次々に亡くなってしまって」
と切り出し、観客をクールダウンさせます。
「生きている僕たちが、彼らの分まで歌い継いであげないとね」
そう言うと、少年のように微笑んで「もう一人の神様」が作った、あの曲を歌い始めました。
『原色の少女』について歌った、あの名曲。天国まで届くかのようなハイトーンボイス。
その素晴らしさを何に例えましょうか?
*
やがて、山下達郎は歌い終わると一言。
「僕には、この曲を歌う資格がある」
と言いました。
鳴り止まない拍手と喝采。
そう、あなたにだけ、その資格がある。
(『原色の少女#4』へ続く)
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