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掌編小説

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#一歩踏みだした先に

輪っか

輪っか

 ぶら下がった輪っか。天井の梁から吊るされた輪っか。ホームセンターで買ったロープで作った輪っか。
 椅子に直立すると、輪っかはちょうど私の顔の前。輪っかの向こうには窓ガラス。窓ガラスの向こうには、光り輝く夏空。雲一つない夏空は、間違いなんて一つもない正義の象徴のようで目が眩む。
 蝉の声に混ざって、子供達の笑い声が聞こえて来る。隣家に幼いお孫さん達が遊びに来ている様子。
 私にも孫が一人いるけれど

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