鯨井あめ
1万字以下の掌編です。
新刊&雑誌掲載のお知らせ+αです。
おばあちゃんの左手は海だった。そのことを、わたしはずっと前から知っていた。 毎年お盆になると、父の運転する車でおばあちゃんの家へ向かう。年に一度の再会に喜び、わたしの頭を撫でるおばあちゃんの左手は、透明な青色の海だ。まるで空間に手形の穴が空いているように、そこだけが海なのだ。 「きれいな手だね」 「これは、どこかの海なの。左手でもあるし、海でもあるのよ」 たぶん、浅い海だった。差し込んだ太陽光が、白砂の海底を照らしてきらきら揺れていた。小さな岩礁が見切れていた。左手を
こんにちは、鯨井あめです。 夏の始まりのような暑い日々が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 本日は新刊のお知らせです。 単行本『沙を噛め、肺魚』発売 5/29に、単行本『沙を噛め、肺魚』が発売されました。 幻想的なイラストを描いてくださったのは風海さん(X)、目を惹く装幀は岡本歌織(next door design)さんです。白い沙に覆われた世界を表現してくださいました。 帯の下と裏表紙もとっても素敵なので、お手に取っていただければ嬉しいです。
書籍のお知らせをするためのアカウントで、初めてそれ以外の記事を投稿をすることになりました、鯨井です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。 絶賛公開中の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、めちゃくちゃ面白いですね。 公開日当日、「鬼太郎でホラーミステリーのバディものをするらしい。これは楽しみだ」と意気揚々と映画館へ行き、衝撃を受けて帰路につきました。以来、折に触れて考えてしまい、追加で2回観て、改めてすごい作品だなぁと感じた次第です。 私は『ゲゲゲの鬼太郎』6期と『墓場鬼太郎
こんにちは。鯨井あめです。 久々の更新になりました。およそ1年ぶりです。昨年の夏に『きらめきを落としても』の刊行をお知らせしてから、暑さが和らいで、葉が散って、雪が融けて、桜が舞って、梅雨でした。あっという間ですね。 さて、本日は文庫本のお知らせです。 文庫本『アイアムマイヒーロー!』刊行 6/15に、文庫本『アイアムマイヒーロー!』が刊行となりました。 表紙のかっこいいイラストはあすぱらさん、ぐっと目を引くデザインは岡本歌織(next door design
こんにちは。鯨井あめです。 出ていった梅雨が帰ってきて、また出ていきました。通学路で体操服を忘れたことを思い出して、ダッシュで引き返してきた小学生みたいです。 気が付けば八月も目前。いよいよ夏ですね。コロナに気を付けつつ、熱中症に気を付けつつ、食中毒に気を付けつつ……皆様ご自愛くださいませ。 さて。 本日は、新刊のお知らせです。 短編集『きらめきを落としても』刊行 7/27に、短編集『きらめきを落としても』が刊行となりました。 繊細かつ美しい線で表紙を描
こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。鯨井あめです。 今年に入ってから忙しい日々が続き、noteもtwitterもなかなか更新できず、気が付けば梅雨を迎えようとしています。時間はどんどん過ぎていく。 ぼちぼちやっていきます。 さて、新刊のお知らせです。 文庫本『晴れ、時々くらげを呼ぶ』 6/15に文庫本『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が刊行となりました。順次全国の書店様に届くかと思われます。 繊細で美麗なカバー装画は北村英理さん、カバーデザインはいつもお世話
こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。鯨井あめです。 新刊刊行のお知らせと、徒然としたことを書いていきます。 『アイアムマイヒーロー!』 8/10に2作目『アイアムマイヒーロー!』が刊行となりました。お盆前後に全国の本屋さんに並ぶようです。 人生のどん底にいる大学生が、赤の他人の身体でタイムスリップをして、かつての自分や友人と共に物騒な事件と対峙するお話です。以下、サイトから一部引用してきたあらすじです。 今までの自分をきれいさっぱり捨て去って生まれ変わることが
こんにちは。noteでの年明けの挨拶を忘れていた鯨井です。だいぶ遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。楽しい年越しと節分とバレンタインでした。 短編掲載のお知らせ 2月22日に、『小説現代3月号』が発売されます。 この3月号は小説現代復刊一周年記念であり、第15回小説現代長編新人賞の受賞者の発表号になっています。 そんな記念すべき号に、短編を寄稿いたしました。 題名は『ボーイ・ミーツ・ガール・アゲイン』。猫ときらめきと追跡のラブコメ(?)です。おめでた
お久しぶりです。前回の投稿からかなり経ってしまいました。 ブログっぽい記事の投稿頻度が少ないのは、ネット投稿時から変わらないなぁ、とこの文章を書きながら思っています。鯨井です。 今後もたぶん、こんな感じの投稿頻度です。 短編掲載のお知らせ 11/21(土)発売の小説現代12月号に、短編を寄稿しました。 題名は、『上映が始まる』。 以下があらすじです。 八月のある夜。ワンルームのフローリングに寝転がっていた主人公は、今日がペルセウス座流星群の極大日であることを知
こんにちは。鯨井です。 本日は夏至、しかも部分日食。なかなか稀有な一日ですね。 本題の前に、こちらの話題から。 『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が発売して約1週間。 各地の書店さまがPOPを作ってくださり、応援してくださることに感謝する日々です。 『晴れ、時々くらげを呼ぶ』(画像は講談社さまよりお借りしました) 読書が嫌いで人と関わりたくない男子高校生と、読書が好きで雨乞いならぬクラゲ乞いをしている後輩女子の物語。 「僕たちは無力だから、遠くからありえないものを呼ぶ
こんにちは。鯨井です。 全国的に梅雨入りとなり、じめじめした日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。湿気で空気は重さを増しましたが、紫陽花が美しく色づく季節ですね。心地の良い雨音に執筆がはかどります。 さて、6/15に『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が刊行となります。 書影もすっかりできあがり、先日、手元に見本が届きました。傘を差した女の子、雲のかかった空、箔押しのくらげが美しい装丁です。帯にも、名高る作家さまと書店員さまからコメントをいただいております。 (写真はこち
こんにちは、鯨井です。 本日、4/22に小説現代5月号が刊行されましたので、改めてご報告させていただきます。 小説現代5月号では、私の小説、『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が一挙掲載されております。 また、受賞者の鼎談と特集、作品冒頭のコミカライズ、額賀澪さんと武田綾乃さんによる『晴れくらげ』の合評対談も掲載されています。 以下、ひとつずつご紹介させてください。 作品のコミカライズはしらさや尚さん https://twitter.com/chitosegin
はじめまして。鯨井あめです。小説家です。 第14回小説現代長編新人賞を戴き、小説現代5月号に受賞作品『晴れ、時々くらげを呼ぶ』を掲載していただきました。 現在、小説家になろう、カクヨムに情報発信用のアカウントを持っておりますが、今後はこちらでも情報発信をしていく予定です。 よろしくお願いいたします。