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中村洋太さんのライターコンサルで学ぶ「飛躍しない書き方」

「文章が飛躍していますね」と指摘を受けた。

「飛躍」という言葉には良いイメージがあるが、ライター師匠の中村洋太さんが言う意味は、「文章論理が飛んでいるよ」ということであった。

今回は、ライターコンサルで学んだ「飛躍しない書き方」をテーマにしたい。

論理の飛躍

ある記事の添削をお願いした文章の中で、「論理の飛躍」を指摘された。

添削前:将来のことも考えると、このまま水泳を続けるべきかどうなのかで悩んでいました。そんな時、母から「保育士という仕事になるのはどう?」と勧められたのです。

中村さんのコメント:この部分の流れが、若干飛躍を感じます。水泳をやっていた人がいきなり保育士と聞いて驚かなかったのか。「最初は保育士?と思いましたが、」みたいな接続語があると繋がりやすいが、インタビュー時の話し方がどうだったか気になります。

取材相手は、保育園で水泳指導もしている保育士さんだ。しかし、「水泳×保育」は一般的に特殊な状況である。これを読み手に疑問を持たせることなく文章にしていく必要があった。

添削後:「保育士も向いてるんじゃない?水泳を教えている保育園もあるみたいだよ」

上記のように母親からのコメントを補足した。すると、「水泳×保育」が読み手に受け取りやすくなった。

時系列の飛躍

続いて、「時系列の飛躍」である。

添削前:その後、実践的に学べる3年制の専門学校に入学。この専門学校こそ、「○○」を運営する△△学園でした。
私の気持ちを理解してくださっていた先生が、学園の運営する保育園を紹介してくれました。

中村さんコメント:さっきの文章では入学したばかりで、ここではもう就職の話なので、タイムラインを少し明確にしないと読者は混乱するかな。「就職先を探す段階で、〜〜」のような。

「改行しているし、より端的に書いた方がわかりやすいだろう」と思って省略したが、読み手の目線から離れていることに気がついた。

添削後:その後、就職先を探す時期になると、私の気持ちを理解してくださっていた先生が、学園の運営する保育園を紹介してくれました。

「入学→就職活動」の時系列を感じる一言が入り、話の繋がりができた。

インタビューの最中、取材相手が時系列に話すとは限らない。話題が行ったり来たりすることも多いように感じる。そのまま記事にすると「いつあったことか」がわからず、読み手は首を傾けてしまうだろう。

主語が入れ替わっている

続いて、「文の中で主語が2つ必要なのに、主語を省いている飛躍」。

添削前:この園では答えを提示するのではなく、自分で考えて発信していく指導方法があります。

中村さんのコメント:主語が省略されているうえ、前半と後半で主語が入れ替わっているから読みづらい。たとえば、「朝起きて、歯を磨いた。」(私は)朝起きて、(私は)歯を磨いた。」主語が同じだから、省略できるんです。「(私は)朝起きて、(彼女は)歯を磨いた。」のように捉えることは絶対ないですよね?この文章の主語をよく考えてみてください。ちなみに、この前の文の主語も考えてみてください。

添削後:この園では保育士が答えを提示するのではなく、子どもたちが自分で考えて発信していくように促す指導方法があるのです。

「保育士」と「子どもだち」。異なる主語が必要だが、省略しているため読み手は困惑する。日本語は主語がなくても意味が通じやすいが、2つの主語がある場合は別だ。この間違いをすぐに気がつくことができず、とても恥ずかしかった。

アドバイスを受けての変化

「取材相手の言葉を使わなければ」と思い過ぎて、読み手に伝わらない文章を作っていた。「発言した言葉だけをいじるだけなら、誰でもできてしまう。さらに上級を目指すなら、汲み取ることが大切。」と中村さんは教えてくださった。

それ以来、PCで作成した文章をスマホで見直すことにした。そうすると、書き手側から読み手側へ、気持ちを切り替えやすくなる。以前より自分の文章を客観的に見るようになったと思う。

ぼくも「実際には言っていないけど、こういうことだろうな」と想像して書く台詞は多いですよ。それでも問題ないのは、相手へのリスペクトがあり、より良い表現にしたいと思っている気持ちが本人に伝わっているからです。

伝わる文章を書く人は、人の気持ちを汲み取るのが上手だなと思う。文章力を磨くことで、心も成長できるような気がして一層気持ちが引き締まった。失敗を繰り返しながら、人に優しいライターになっていきたい。

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池田 アユリ@インタビューライター
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