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スマートフォンをぶっ壊したい

 コロナ自粛でいろんなことがリモート化されていった。

 授業がオンラインになり、電車で1時間、自転車で20分かけてキャンパスに通う必要がなくなったので、非常に楽になった。1限の授業があっても、以前2限のために家に出ていた時間より遅く起きても大丈夫なのだ。
 リモート飲みも流行った。スーパーや酒販店で買えば良いので、居酒屋ほどお酒も高くならないし、たくさん飲みすぎてもすぐそばにベッドもトイレもあるから安心だろう。

 だが、めんどくさがりの私でさえもそろそろキャンパスに行きたくなってきたし、リモート飲みは対面よりも会話を繋いでいくことが難しいので、あれこれ考えたりと結構疲れる。飲んだ後の夜風に当たりながら街を歩く気持ち良さも、外で飲む醍醐味だが、それも無い。

 そして、あまりにオンライン化が進められると、私のプライベートが侵されてしまっているように感じることがある。

 部活やゼミのミーティングが夜に行われるようになった。本来、夜は自分の時間に充てたかった。静かに読書をしたいし、何か一人で考え事をしたいのに、そこにオフィシャルな連絡が次々と流れてきては、この作業をしろだの、ミーティングに参加しろだの、1時間スマートフォンを放っておけば、通知だらけだ。それで連絡が遅れるたび、クイック・レスポンスが求められる。

 インターネットが流行する前の時代には、夜10時くらいにミーティングをやるなんて考えもしなかっただろう。その時間は一人の時間を過ごすか、家族やパートナーと過ごすか、前もって約束した相手と飲んだり遊んだりするだろう。その時間に、守らなくてはいけない時間があったり、相手と真面目なコミュニケーションを取らなくてはいけないことが億劫で仕方がない。

 LINEは、気軽な雑談でもない限りクイック・レスポンスが求められる。それが大事なことはわかっているが、昼であっても、夜であっても必要と考えたら、スマートフォンに支配されているようで精神的に負担が大きい。

 常に連絡の取れる手段が手元にあるということが、たまに相当なストレスになる。ほとんどの大学生は、空いた時間をミーティングに充てることができるだろうし、それを苦痛に思わないのだろう。私だってたまにミーティングに参加するくらいならわけない。だが最近はあまりにそれが多いので、のんびり過ごす夜がキープできていない。時間が空いているならミーティングに参加してよとか言われそうだし、note書いている暇があったら云々とかも言われそう。サラリーマンでさえ、実働時間以外はプライベートとしての時間が許されているのに(これに関しては職種によるだろうが)。私も『インターネット実働時間』というものを設け、朝9時から夕方6時以外の時間はそういった連絡を完全シャットアウトしたい。

 スマートフォンをへし折りたいという衝動に駆られることがある。しかし、プライベートもオフィシャルもすべてこの一台に詰め込まれているから、そんなことはできない。こんなちっぽけな機械一つに躁鬱になり、生物として情けないと感じる。

 インターネットから隔絶して世界に一週間で良いから飛び込みたい。電子機器を何も持たずに旅に出たい。何なら旅なんてしなくても良いので、パソコンとスマートフォンを一切開かない生活がしたい。
 以前、ドイツに二週間行った時、モバイルデータ通信が1日あたりの料金がとても高かったという理由から、Wi-Fiの使える環境以外でインターネットを使わない生活になった。不便であったが、今までの自分の取り巻く世界を離れて、狭くなっていた視野を拡げることができた気がする。
 インターネットのない世界で過ごさせてくれ。

 あ、だが実際インターネットから隔絶した場合、今掲げている『note毎日更新』はどうしようか。

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