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読書感想No.35『ふたりのロッテ』

こんにちは、天音です。
今回の読書感想は、エーリヒ・ケストナー『ふたりのロッテ』(岩波少年文庫)です。

●あらすじ(裏表紙)
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。父と母の秘密を知ったふたりは、別れた両親を仲直りさせるために、大胆な計画をたてるのですが……。

五十音順作家巡り、「け」の本。
この本は小学生の頃大好きな本だったので、初めて読む本ではないのですが……。本棚にしまってあったぼろぼろの本を見つけて懐かしくなったので、つい選んでしまいました。

両親の離婚という都合により、お互いの世界が半分こにされていたことを知らずに育ったルイーゼとロッテ。
林間学校が終わった後も、今までと同じ半分の世界で暮らし続けることを拒否し、実行した企みに、大人になった今もわくわくして読みました。

子供の頃はふたりの冒険にハラハラドキドキしていました。

小さい頃、ロッテの夢に出てくるノコギリ持ったお父さんがめちゃめちゃ怖かったんですよね……。
ルイーゼの豪華な子供部屋がとても羨ましかったり。
自分と同じくらいの歳のロッテが、お肉屋さんに1人で買い物に行ってご飯を作ってお母さんの帰りを待っているという境遇に驚嘆したり。

当時の気持ちを思い出して懐かしくなりました。

今はそうですね。
私も大人になりましたし、私がふたりの親の気持ちや事情が理解できるようになったからか、二重の目線で楽しんだと思います。
離婚に至った原因も、双子を分けた理由も、ルイーゼロッテが別れた後も元夫ルートヴィヒのコンサートに行く理由も。
嫌だと思うだけではなく、悲しいけれど理解できます。

子どもであることの自由と不自由。美しい時代の中に潜んでいる悲しいため息。子供に寄り添って描いているケストナーだからこそ、それらを虚飾なく掬い上げることのできた作品だと思います。

所々ユーモアもあって、大人も子どももひたむきな気持ちになれる本です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました🌸

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