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読書感想No.37『ツナグ』

こんにちは、天音です。

今回の読書感想は、辻村深月さんの『ツナグ』(新潮文庫)です。

●あらすじ(裏表紙)
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌を告知できなかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を七年待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いを抱えた一夜の邂逅は、彼らに何をもたらすのだろうか。心の隅々まで染み入る感動の連作長編小説。

再読です。
高校生の頃に初めて読んだ本です。
「名刺代わりの小説10選」再考にあたり読み直し。

いやもうやっぱりすっごくいい本です。
「気をつけてって言ったのに」という台詞で涙腺が刺されます。

連作長編だからこそ一編一編がすごく密度が高くて面白い。

辻村さんらしく最後に張り巡らされていた伏線が一気に回収されて物語は収束していき、鳥肌が止まらなかったです。

どう話してもネタバレになってしまうのであまり喋れないんですが、この本の中では「死者は生者のためにあるのか」ということが繰り返し問われます。

死者への語りかけは、生者が生きていくための自己満足だけなのではないかと。

確かに、おばあちゃんの家に行って仏壇に手を合わせるのは一方通行です。

きっと見えなくても私たちを見ててくれてるとか、語り掛けに応えてくれていると思うのは自由ですし、そうであって欲しいなとは思います。

それに対して、ツナグに仲介してもらって死者に会うためには、死者が生者の要請に応えないと会えません。

どんな形であれ、お互いを思っているから成立する物語。
会いにいきたいと思うのも、会おうと思うのも、繋がれた心(もしくは以前は繋がれていた心)がないとできないのです。
自己満足で消費するというには、重い行動なのではないかなと思います。

私はまだ身近な人が亡くなってないし、強烈に思い入れのある故人はいないです。
そんな人ができる見込みも今のところないです。
でも、できた時に使い切っていて死ぬほど後悔はしたくないので、ツナグにあってもまだ大事に機会はとっておきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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