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プレイングマネージャーの心理

『マネージャーだってプレイしたいさ、にんげんだもの』

先日、僕が毎月出演している『人事担当者必見!90分腹落ちセミナー』(今回のテーマはプレイングマネージャー問題)で言語化された本質の一つを、僕なりに要約したセンテンスです。

ちなみに、そのセミナーはこちら↓
NOKIOOの小田木朝子さんと沢渡あまねでほぼ毎月お話しているオンライントークライブ。今回はスペシャルゲストで、パーソルプロセス&テクノロジー 執行役員 小野陽一さんにお越しいただきました。

ほぼ毎月開催しています。大変熱い場ですので、宜しければ皆さんもお越しください。
なお、このセミナーのグラレコ(by Ayahaさん)も転載しておきます。
どんな話がされたのか、風味を味わっていただけたら。

90分腹落ちセミナー(2023年7月回)のグラレコ by Ayahaさん

今回の90分腹落ちセミナーでは、プレイングマネージャー問題を扱いました。

マネージャーがプレイングマネージャーになってしまう。その背景には、人手が足りなくてマネージャーもプレイせざるを得ない、などさまざまな要因があります。

その要因の一つに、マネージャーもプレイしたい深層心理があるのではないでしょうか。

『マネージャーだってプレイしたいさ、にんげんだもの』

そうなんです。マネージャーとて一人の人間。聖人君子ではありません。

たまにはバッターボックスやピッチャーマウンドに立ちたい人もいて当然。
監督業(マネジメントだけ)に専念させられて、プレイできない。
プレイが好きな人ほど、プレイヤーとしてのプロ意識が高い人ほど、その状況にウズウズしてしまう。また、プレイできないのが寂しくて、「マネージャーはやりたくありません」スタンスをとってしまう。
プレイヤーとしての感覚や能力が鈍ってしまうのが怖いマネージャーもいるでしょう。

さらには、人生100年時代再びプレイヤーに戻る選択肢もあったほうが良いと考えることも出来ます。

僕は改めて思いました。

マネージャーがプレイしたっていいじゃない!

人の感情を無理やり抑圧したって、イイことはないです。

問題なのはその組織においてマネジメントが行われないこと、後任が育たないことなどであって、マネージャーがプレイすることが悪いのではありません。

以下、マネージャーがプレイできるようにするための僕なりの提言を3つ示します。

1.マネージャーがプレイしてよい領域を決める
何でもかんでもマネージャーがやってしまうのは良くないです。が、一部なら良いのでは?
「ここはマネージャーもプレイしてよい」領域を一部作っておくのはいかがでしょうか。マネージャーは全体のマネジメントを担いつつ、プレイヤーとしての専門領域も部分的に確保する。その領域では存分にプレイする。
その「両利きモード」があっても良いと考えます。

なおかつ、その領域は知識や能力が属人化していても特段構わない(困らない)領域を選んでおきたいです。

「良い属人化」と「悪い属人化」の切り分け方については、書籍『職場の問題地図』に図とともに示しました。参考にしてください。

2.複業を解禁し、複側でプレイヤーに徹する
本業ではマネジメントに徹しつつ、複業でプレイヤーとして活躍する。
最近は社内複業制度を取り入れる企業も増えてきています。同じ社内で、本務先ではマネージャー、兼務先ではプレイヤーの役割を担うのもありかもしれません。
複業であっても、プレイヤーとして活躍し続けられるのであれば、本人のプレイヤーとしての欲求も満たすことも出来ますし、プレイヤーとしての感性や能力を鈍らせることもないでしょう。むしろ、プレイヤー感覚があったほうが、チームをうまくマネジメントできる部分も大きいかもしれません。

複業(パラレルキャリア)の組織と個人(本人)にとってのメリット、デメリット、注意点などは、書籍『新時代を生き抜く越境思考』でも触れていますし、最近は講演でもたびたびお話ししています。

最近では、こんな記事も書きました。

3.マネジメント業務をチームで分担する
とはいえマネジメントもプレイもしていたら、マネージャーが多忙になりすぎてしまうでしょう。

マネジメントをチームで分担する。
管理職でなければ不適切な業務はさておき、そうでない業務はメンバーと一緒に取り組む。

マネジメントの業務内容によっては、むしろメンバーの方が得意あるいは楽しく取り組んでくれる仕事もあるかもしれません。
マネージャーも人です。得意・不得意があって当然、にんげんだもの。

マネジメント業務を部分的にでも経験することで、マネージャー職に興味を持つメンバーもいます。あるいはメンバーの目線を上げる意味で、マネジメントの一部をメンバーに任せる/またはマネージャーとペアで取り組む

何の心構えも疑似体験もなく、いきなりマネージャーになったら、苦労するのは本人です。

私自身も勤め人時代、課長代理の頃から課長にマネジメント業務を一部任されていましたが、それにより目線が上がりましたし、マネージャーへの興味関心が増しました。

メンバーの適性を見極める意味でも、マネジメントをチームで分担するのはアリです。

これからの時代に求められるマネジメント業務、および分解の仕方は書籍『マネージャーの問題地図』を参考にしてみてください。この書籍でも、マネジメント業務のチーム内分担を推奨しています。
また、『組織変革Lab』(オンライン・企業間越境学習プログラム)の講義内容でもあります。よろしければ受講してみてください。

プレイングマネージャーが、チームメンバーの目線を上げつつマネージャーに変化していく様は、書籍『ドラクエに学ぶチームマネジメント』でも小説形式で描きました。
ドラクエを知らない方でもお楽しみいただけると思います。よろしければ、読んでみてください。管理職研修の教科書にしてくださった企業もあります。

・なぜプレイングマネージャー状態が解消しないのか?
・そもそも、プレイングマネージャーは何が問題なのか?
・マネージャーだってプレイしたいのではないか?
・プレイしたいマネージャーを抑圧するのが良いことなのか?

僕(沢渡)だって経営者でありながら、プレイしたいです。
だって、にんげんだもの!

そして、人間らしさに向きあい仕組み・仕掛けでなんとかしていくことをマネジメントといいます

問いを立てながら、組織をマネジメントしていきましょう!