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鉱物備忘録

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今まで集めてきた鉱物についてただ語るだけのエッセイ。
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2020年4月の記事一覧

No.33 アンダルーサイト

No.33 アンダルーサイト



アンダルーサイトの特徴である多色性がくっきりわかる良いルースだ。この一個のルースで渋めのグリーンと夕焼けのようなオレンジをメインに、イエローやブラウンなど様々な色合いを楽しむことができる。角度によって色のバランスが変わるので、見ていてとても面白い。決して派手な色ではないのだが、見応えは十分な美しいルースである。
私はアンダルーサイトが好きだ。
パイライトとスフェーンの次に好きだ。
元々ここまで

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No.32 タンザナイト

No.32 タンザナイト



今をときめくタンザナイトの原石だ。しかも非加熱である。
一般的に流通しているタンザナイトはほとんど褐色のゾイサイトを加熱して渋みを消し青くしたものなのだが、こちらは加熱処理せずとも青かったらしい。非加熱のタンザナイトは珍しくなかなか出回ることが少ないのだ。
このタンザナイトには多色性があり、見る角度によって青や藤色に色が変わって見える。クラックからこぼれるキラキラもよい。微妙に緑っぽい部分もあ

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No.31 サファイア

No.31 サファイア



青と黄のバイカラーなサファイア。くっきりとした色合いだが透明感もあり、光に透かすとそのグラデーションがよくわかる。
「あれ?サファイアって黄色もあるの?」と思った方もいるだろう。そもそもサファイアと言うのは宝石としての流通名で、鉱物としての正式な名前は「コランダム」と言う。コランダムは色によって宝石としての流通名が変わる鉱物である。ピンクっぽい赤色のコランダムは「ルビー」、ピンクっぽいオレンジ

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No.30 ルチル

No.30 ルチル



珍しいルチルの結晶だ。ルチルと言えばルチレイテッドクオーツという名でクオーツの中にインクルージョンとして入っているのがメジャーだが、単体だとこのような赤黒い色をしている。しかし不透明なわけではなく、光に透かすとワインのようなコクのある赤色が浮かんでくる。
この赤色は純粋なルチルの色ではない。またルチレイテッドクオーツで見られる金色もルチル本来の色ではない。
じゃあ純粋なルチルって何色なの?

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No.29 アメトリン

No.29 アメトリン



紫と黄がくっきり分かれたクオーツ。紫水晶は「アメジスト」、黄水晶は「シトリン」と呼ばれるのでこのようなクオーツは「アメトリン」と言う。
実はシトリンのほとんどはアメジストを人工的に加熱し黄色くさせたもので、天然のシトリンは珍しい。そのためこのアメトリンも半分シトリンに加熱加工させたものだと思っていたが、どうやら違うようである。
手持ちの書物によると南アフリカのボリビアを中心に天然の宝石質なアメ

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No.28 ユークレース

No.28 ユークレース



クールなユークレースだ。透明感があって非常に美しいのだが、クラックが多くそこから輝きが溢れてくるため写真を撮るときピントが合わせにくく苦労する。
ユークレースは青や無色、黄色などのカラーバリエーションがあるが、一番人気は青と無色のバイカラーな個体である。この個体はほんの少し青い部分がある。小粒であるが個人的には大満足なユークレースだ。
ユークレースは鉱物コレクターであれば一度は憧れる代物だ。日

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No.27 トルマリン

No.27 トルマリン



淡いミントグリーンとくっきりとした若草色のバイカラーなトルマリンだ。
クラックはあるが透明度は高い。ほんのり赤みがある部分もあるのでひょっとしたらウォーターメロントルマリンになっていたのかもしれない。
ところで、トルマリンは和名を電気石と言う。日本では宝石と言うよりパワー系のグッズに使われるイメージが強いかもしれない。
しかし何故「電気石」と呼ばれるのか?
それはトルマリンに熱や圧力を加えると

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No.26 アポフィライト

No.26 アポフィライト



氷砂糖のようにカクカクした結晶が可愛い標本だ。アポフィライトは和名を「魚眼石」と言い、その名の由来となったギラリとした輝きも楽しめる。
さて、このアポフィライトは結構透明感が高い個体が多く結晶も美しいのだが、不思議とルースとして出回ることが少ない。パワーストーンとして人気が高いようだが、アクセサリーとして加工されるものは少ないようだ。
一体何故か?
アポフィライトは硬度が4.5とガラス以下で、

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