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No.29 アメトリン

29.アメトリン

紫と黄がくっきり分かれたクオーツ。紫水晶は「アメジスト」、黄水晶は「シトリン」と呼ばれるのでこのようなクオーツは「アメトリン」と言う。
実はシトリンのほとんどはアメジストを人工的に加熱し黄色くさせたもので、天然のシトリンは珍しい。そのためこのアメトリンも半分シトリンに加熱加工させたものだと思っていたが、どうやら違うようである。
手持ちの書物によると南アフリカのボリビアを中心に天然の宝石質なアメトリンが産出するらしい。その書物に載っていたアメトリンと今回のアメトリンはよく似ているため恐らく天然ものだろうと私は判断した。まあ冷静に考えれば、そもそもどうやって半分だけ加熱加工するのかが謎である。
そうであればこれは凄い品だ。色は薄いが見事に紫と黄色に色が分かれている。このミステリアスな色味は自然の中で絶妙な偶然が起きたからこその産物なのだろう。また透明感が良くふんわりとした印象のルースに仕上がっている。このような自然の偶然による美しさがあるからこそ、鉱物は面白い。
ちなみに私はこのルースを見て焼き芋を連想する。
なんかおいしそうな気がするのだ。

【参考書籍】

「価値がわかる宝石図鑑」
諏訪恭一 著
ナツメ社  2016年


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