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【詩】架空の私が消えてなくなる。そんな野球ボール

イケーーー!!!!!!!!
私は架空の野球ボールを壁目掛けて投げた。
架空だから、勿論実際には壁に当たらないし、返ってもこない。
でも、私は架空好きだ。
自分だって架空の存在に過ぎない。
そう信じて。

嫌いな人が殺してくる。
でも、私の夢は殺されない。
私が殺される事は、私が本物になる事だ。
私の存在は半透明。私の夢や想い、感情こそが、本当に現実にある。

架空で透明な私。
暗闇の道端で、コンビニで買ったチョコを食べながら歩く。
間抜けな顔を、可愛くして。
このチョコも、イケーー!!って投げたいと思ったけど、これは架空では無い。
実際にこれはあって、つまんないのって思いながら、チョコを口にするんだ。

片想いしている男性が、インスタにあげているストーリーを、見るかどうか毎回迷う。
めっちゃチェックされてるじゃん、と、思われる訳はない。普通にみんなの見てるんだから。
でも、あの人の中に架空の私が見つかるのが、怖い。
夢、感情、想い、そういった物だけを、見て欲しい。無理なんだけれども。

私が死んだとき、架空の私は本当に架空になる。
もしかしたら、その時、本当に生きている事になるかもしれない。
夢、感情、想い。
それだけが、みんなの中に届いて、私はやっと、生きられるんだ。

イケーーーーーー!!!!
架空の野球ボールをまた投げる。
こいつが形となって返ってきた時。
私は生きてられないな。
イケーーーーーー!!!!!!!

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