壁
壁が現れた。
私の前に、突然壁が現れた。
先程までは何もなかったはずであるが、いやはや不思議な事が起きたものだ。
壁の両端を見ると、どこまでも続いていて、壁の端は見えず。ただ、天まで届くほど高いものでもなかった。
どうやらこれを登り超えるしかないようだ。
ただ、周りを見渡せど、周りには何も転がってはいない。
当然ハシゴのようなものも転がっているはずはない。
何しろ、あたり一面真っ白でデコボコもない。
いや、壊すという手もあるだろう。
確かリュックサックにハンマーが入っていたはず。
ハンマーを取り出し、コンコンと試しに少し叩いてみた。すると、どうやらその壁はそれほど厚いものではなさそうだった。
ただ、よくよく見てみると、その壁には何かが掘られていた。それは、私には理解できないものであった。
私には理解できないが、他の誰かが来ればきっと理解できるのだろう。だから、その人達のために壊すのはやめておいてやろう。
私はこの壁の向こう側へ行くために、どうすればいいのだろう?
あなたなら、どうする?
蠍凛子
「表現・創造すること」は人間に与えられた一番の癒しだと思っています。「詩」は、私の広い世界の中のほんの一部分です。人生には限りがある。是非あなたの形で表現してみてください。新しい世界に出会えます。