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グッときた本 ※ネタバレあり

こんにちは
昨日は少しバタバタしてました。
久しぶりに会社に出社。

電車は空いててみんないい感じでソーシャルディスタンス

自粛に入る少し前に小説を読むことがちょっとしたマイブームになって
グッと来た本があったので記事にします。

作品紹介

傲慢と善良 - 辻村深月

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<あらすじ> ※Amazon商品ページより引用(リンクは本ページの下部に記載)
婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な恋愛小説。

婚活の概念

私自身、今年31歳を迎えるが未だ独身
過去の話をすると、24歳~26歳ごろはそれこそ人並みには結婚願望があった
子供も20代の内に欲しいと思っていた。
25歳のときにお付き合いしていた人と結婚する前提で親に紹介したり結婚前の同棲もしていた。

しかし、その同棲生活で「結婚できない」と判断して別れを選択したのだけど、そっからめっきり結婚願望が無くなってしまったのだ。
当時の私は「結婚がしたかった」が、その人は”結婚したい人”ではなかったことに気が付いてしまった。

そこから数年、結婚願望は少ないままだし仕事を頑張りたいという思いで
いわゆる「婚活」はしていないのだが、この小説ではその「婚活」について書かれている場面が多く出てくる。
田舎と都会の違いや、田舎で生まれ育った「真実(女性主人公)」の持つ無意識な劣等感、
「こんなはずじゃなかった」「このままではいられない」という思いが綴られている。
全く持って自分とは正反対の性格であり生きてきた環境も大きく違うのに何故か深く共感してしまった。容易に想像が付いてしまった。
そして不思議なことに「架(男性主人公)」側の心意にも同時に共感が生まれた。

それはおそらく、少し昔の考え方で言うと
私は「女性ならではの生き方(結婚して母親になる)」面と
「男性ならではの生き方(まだ今は仕事を一生懸命頑張りたい)」面の両方を持ち合わせているからではないかと。

できることならどちらも手に入れたいと今でも思っているし、実際に持っている人も現代ではたくさんいるはず。
羨ましいという言葉では安っぽくなるけれど、純粋に尊敬している。ほんとにすごいなって。

「婚活」って「結婚がしたい人」がするものと思っていた。
私は同棲解消依頼、「一緒にいたいと思う人と結婚したい」という考えに変わり、「婚活」はしてこなった。
この本は、それは凝り固まった概念だったってだけで違う見方を教えてくれて「自分は何様なんだろう」と自分の傲慢な部分にも気づいてしまって落ち込んだ。←

いざ婚活するにしても自己評価が高いままではまず出会えないし見つからないなと。
そして主人公「真実」のようになる恐怖から、未だに婚活はしたことがない。

育った環境と家族、そして私の周囲の人

この本の中でもう一つの大事な要素

田舎の狭い世界で生まれて育った環境と、その田舎に根付いた価値観でしか物事を見れない親、そのことを客観視できる姉。
と、「架」の周囲にいるいろいろな経験を積んだ都会の友人たち。

私は田舎生まれでも暮らしたこともないが、父親の実家が福島県の田舎で
よく遊びに行っていたから、本に書いてある光景は想像がしやすかった。

地域の中で一番いい学校に入り、いい企業に(コネ)入社し、社内での出会いの中またはお見合いでいい人と結婚することが幸せとされる狭い世界で「真実」はそのレールに乗れず、周囲の「決められた幸せ」を手にした人たちに対して劣等感を抱き疲れて東京に出てくるのだが、この年齢になると状況は違えど同じような感覚になることがある。

都会に住んでようとなんだろうと「決められた幸せ」の考えを持った人間は少なからず存在していて、私の周りにもいる。

・相手がいることでの優越感 と いないことによる劣等感
・結婚したことによる優越感 と していないことによる劣等感
・子供がいることによる優越感 といないことによる劣等感
・お金に余裕があることによる優越感 と ないことによる劣等感

女性ならではかもしれないが、この内容は生きていく中で度々見えてくる。

いわゆる「マウント」ってやつ。
本人たち無意識かもしれないし、悪気もないかもしれない。
でも、私は「マウント」と取るための情報収集をされていることに気づいてしまうのだ。

そんなに他人のことを深く知りたいですか?

特に隠しているつもりはないが、自分や相手の気持ちに関わる部分は自ら発しないタイプ。聞かれれば答える。

あるときの会話で、当時独身彼氏無しの友人から
今の彼と結婚しないのか尋ねられて「興味がない」と回答したとき
「しようと思えばいつでも出来る相手がいるから言える」と返されたことがあった。
当時の背景からして嫌味というか嫉妬というか良くない感情でしかなかった。

ぽ:「(じゃあ聞くなよ。何を聞きたかったの?)」

しかなかった。
ひねくれているかもしれないけど、
「結婚はしたいけど相手にその気がないのか。プロポーズ待ちなんだ~」というようなことを期待していたのかなと。

またある時に別の友人からも、彼と行った国内旅行について聞かれて話していたとき、宿泊先を検索されて旅費についてかなり妬まれた記憶もある。

たしかに結婚適齢期(ちと遅いくらい)だし付き合いも長くなってきて結婚を考えたことはあったが、2人が納得しているんだし、
旅行も贅沢な旅行ではあったかもしれないが、2人が日々頑張って稼いだお金をどう使おうが放っておいてほしい。

こういう体験が続いたことで、マウント取る系女子には何か聞かれても当たり障りのない内容だけ返答するようにしているが、まぁめんどくさい。笑

そんなに他人のことを根掘り葉掘り…興味ある?粗探しって疲れない?

少なくとも私は興味が無いし、むしろ幸せの共有はたくさんしてほしい派
愚痴を聞くのは問題ないけど、愚痴の裏に「相手が好きで大事」が隠れているものは大歓迎。笑 微笑ましいったらないよね♡

まあ、一定数こういう類いの人はどこいってもいるから。
妬むより妬まれる方がいい
気にしても仕方ないから切り替え って考えで今は悩んでいません。

話が逸れた、失礼。

傲慢と善良(個人的解釈)

他人が家族になることは簡単なことではない。
結婚に限らず、生きていく中で幾度となく選択をしていかなければならない中でどの選択をしても間違いでも正解でもない。それは誰にも決められない。
自分の中で正解にできるよう努力していくだけだと気づかされると共に自身を客観視する機会を与えてくれた作品だった。

何が善良で何が傲慢なのか。
一人の価値観では決められないもので、誰かにとっては善良であり他の誰かにとっては傲慢。
自分の周りにいる人達の中で純粋に「スキだ」と言える友人には善良でいれるように。
逆に言うと傲慢な人がいても見方を変えれば、善良かもしれないと考えれるように。

冒頭の緊迫した状況からサスペンス化と思いきやそうではなく、真実が失踪した理由と背景が徐々にわかってきて、、
誰しもが持つ善良な部分と善良と紙一重に傲慢な部分が晒されたあと、心にすとんと落ちる結末。

婚活中の女性、結婚した方がいいのかな~と思い始めているけどする気がない男性には特におすすめの作品です。

辻村さんの文章の書き方が個人的には大好きです。

ぽんず



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