膨らみすぎた純喫茶への愛について話したい
純喫茶といえば、色鮮やかなクリームソーダにふかふかのホットケーキ。豪華なパフェとちょっと固めのプリンに、少々ぼてっとしたオムライス…。10数年前に私が通い始めたときと比べると、イメージは大きく変わりました。
「レトロブーム」により、今までの客層にはなかった、若い女性が純喫茶に並ぶ姿をよく見かけます。でっかいパフェを囲んで、写真を撮るのはもう日常。超人気店では、若いカップルとおじさんが相席になっていることもありました。
私も全部、大好きです。どのメニューも外観も内装も、マスターの人柄も全部好き。でも、いつからどうしてこうなったんだ?可愛いメニューのない、おじさんしかいない、あの時代の純喫茶に、どうしてこんなに惹かれたんだろう。
このレトロブームを見つめながら、私が純喫茶沼にハマった理由を改めて考えてみようと思います。
大阪で私の「好き」が見つかった
純喫茶好きになったのは大学時代。当時はパンケーキブーム真っ只中で、友達はこぞっておしゃれなパンケーキ屋を巡っていました。
私も流行に乗り遅れないよう、一緒に巡っていたのですが、なんだか物足りない。お腹はいっぱいだけど、みんなと同じように楽しめない。なんで?と思いながらも、後ろをついて行く日々。しかし、その日は突然訪れました。
驚愕のホットケーキ「喫茶レイルーム」(堺筋本町)
パンケーキ巡りに少し飽きてきたのか、普通にカフェでお茶しようと友達に誘われ、大阪に出かけたことがありました。その時に入ったのがここ。
いつものおしゃれカフェとは違った空気を感じながらも、お茶できたらいいよね、ということで入りました。
豊富なメニューの中から選んだのは「ホットケーキ」。しかし、パンケーキ脳になっていた私たちはホットケーキを注文しつつも、どこかパンケーキ感のある食べ物を期待していたんだと思います。運ばれてきて愕然としたのがこちら。
あまりにもパンケーキと違いすぎて、めちゃくちゃびっくりしてしまいました。え、これがホットケーキ?いや、パンケーキはパンケーキやもんな、ホットケーキはこれやんな…。せやんな…。
ボリュームのあるパンケーキとは全く別物なので一瞬で完食。そろそろ出るかとレジを探すと、その時初めて、カフェとは違う「純喫茶」の空気を感じました。
「なんか、ここ、いいな…」なんとも言えないフワフワとした感覚。いつものカフェだけじゃなく、こういう渋い所に行くのもありなんじゃない?と思うキッカケになった純喫茶でした。
常識がひっくり返った名古屋
レイルームに行った後、梅田〜三宮〜姫路間の様々な純喫茶を巡りました。カフェやパンケーキに浮気することもあったけど、やっぱり戻ってきてしまうのは純喫茶。
社会人になってもそれは変わらず、転職後の新天地でも、新たな純喫茶を求めて開拓に励みました。しかし、ここでもまた私の常識は覆されたのです…。
一日中モーニング?「モーニング喫茶リヨン」(名駅南)
名古屋に配属になった初日、出社前に「いっちょ気合い入れてくか!」とモーニングを食べに行くことにしました。オフィスから1番近かったのでフラッと入ったのがここ。
出社前なのでモーニングが付くのは普通として、昼も夜も「モーニング」??愛知県はモーニング文化が盛んだと聞いてたけど、ここまで!?スタートダッシュが良かったおかげか、私の名古屋生活は順風満帆でした。ありがとう、リヨン。
その後も、東海地方の純喫茶開拓は驚きの連続でした。店によって微妙に違う小倉トーストや、量が多すぎるモーニングなど…。この話は、また追々書いていけたらなと思います。それだけ味わい深い、名古屋生活でした。
東京には「王道」がひしめく
ついに、転勤で夢の東京行きが決定。東京には行きたい純喫茶が山のようにありました。Googleマップはピンだらけ、SNSもチェック済み。どこから行こうかワクワクしながら引越の荷解きを終え、すぐさま目星の純喫茶へダッシュしました。
実物を見て呆然「珈琲王城」のチョコレートパフェ(上野)
上野といえば王城でしょ!他にも丘や古城、ギャランなど有名店が多い上野ですが、写真で見たゴージャスなパフェが気になっており、東京初純喫茶は王城と決めていました。
バッチリ予習していたので、初めての土地でもほとんど迷わず到着。さっそくあの有名なパフェを頼みました。しかし、運ばれてくるやいなや、私は思わず「え!!」と声を上げてしまったのです。
あまりのでかさにショックを受けました。夫がいなければ、私はどうなっていたんでしょうか。2人で食べてもお腹いっぱいだったので、多分えらいことになっていたでしょうね。
デカ盛りメニューは、名古屋でもよく見たので慣れていると思っていました。でも、東京はなんでもビッグですね。パフェを注文するときは、絶対に人が一緒に写った写真を確認してからにしようと、心に誓いました。
純喫茶には心奪われる罠がある
私が純喫茶を巡り始めたのは10数年前。当時の純喫茶は、大半の客がおじさんかおじいさん、たまに煙草を吸う女性、という感じでした。私も喫煙者だったので、女子大生が入店して「ん?」と思われても、煙草を出せば「なんだ」と納得してもらえる。そんな雰囲気がありました。
大学進学で初めての一人暮らし。最初は不安で心細く、早く1人でもできる趣味を見つけなきゃ、と焦っていた気がします。
そんな時に出会ったのが純喫茶。1人でおしゃれなカフェに行くのは緊張するけど、純喫茶なら大丈夫。周りはほとんど1人客だし、みんな新聞やテレビに集中している。私も1人、お気に入りの本を読みながらコーヒーを楽しむ。なんて素敵な時間だろう!
学生時代は、いつも周りを気にしていました。変じゃないかな…浮いてないかな…?と、必死に自分を取りつくろう日々。でも、純喫茶なら、自分を自由にさせられる。自分の気持ちを大事にできる。バイトで疲れた心を癒してくれる。
こうして、私の純喫茶愛はどんどん膨らみ、抱えきれない程大きくなったので、noteに綴ることにしました。大切なものを、いつまでも大切にするために。この気持ちを、いつまでも忘れないために。
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