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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第二十一話 男だらけの合宿生活

前話 

 リリアーナとセイレンの武力と魔術の訓練の前にセイレンの生活力をつけるためにまずは男同士の合宿生活がフロリアンの家で始まった。リリアーナやユレーネは宮殿でのんびりしてるはずだ。
 何が悲しくてこんな立派に成長している少年に服の着替え方から教えないと行けないのか、新妻との新婚生活が……。と、レオポルトが心中嘆いていると、またセイレンの悲鳴が飛んできた。
「今度はなんだ」
 ため息をつきながらフロリアンの家の裏庭の方に行く。
「む、虫が。芋虫がそこの葉っぱの上に……」
 南の遺跡に行くときのセイレンはまだ普通だった。だが、そこから一歩外れると過保護な母に育てられた少年と同じでしょっちゅう悲鳴を聞くはめになった。
「芋虫も十分な食料になるんだぞ。生き残りたかったらこれには触れるぐらいになれ。食べろとは言わんから」
 レオポルトの言葉に真っ青になっているセイレンである。
「お前、本当に王か? もう少し横柄なとか横暴な態度はないのか」
 レオポルトが芋虫をつかんで別の茂みに投げ込んでいるのをとんでもないと言った表情でセイレンは見ている。
「横柄なんて。王の器ではありません。それから芋虫だけでなく虫が嫌いなんです」
「虫が……。俺達なんてカマキリを捕まえて遊んでいたのに、それもできないのか」
「ニコ、コイツと昆虫で遊ぶのは無理そうだぞ。最近の子は弱いな」
「最近の子でなく、セイレンだけじゃないか? リリアーナ様はここでカタツムリを育てていたらしいじゃないか」
「ああ。そういえばそうだったな」
 大人二人の話にセイレンは戦々恐々である。
 
 虫に触る。カタツムリを飼う……。
 
 セイレンの気が遠くなっていく。それをニコとレオポルトが引き戻す。
「会話で気を失うな。動きは優雅なんだが、そこを外れると一気に崩れるな。兄ちゃんが着替えを手伝ってやろうか?」
「い、いいえ。一人で着られるようになりました。顔も洗えるし、歯も磨けるし、お風呂も入れるようになりました。これ以上何をすれば生活力が身につくのですか?」
 そうだなー、とレオポルトとニコが考える。顔見あわせてニヤリ、と笑い合う。
「料理、だな」
「そう。リリアーナ様のためにミルクがゆを会得してもらわないとな」
「み、ミルクがゆ? 牛の乳にコメを入れるのですか!?」
「おや。お国ではコメとミルクは同居しなかったのか?」
「もちろんです。牛の乳は飲み物で料理に使いません!」
「なら、もちろんマスターして食べれるようになってもらおう」
 
 ひえー!!
 
 セイレンの悲鳴が空に消えていく。
 リリアーナ好みの男に染められる元風の国の王。男同士の合宿生活はまだまだ続くようだった。宮殿で帰らぬ夫と帰らぬ恋人を待っているユレートリリアーナはまたまた退屈な日々を送ることとなった。


あとがき
少年王といえばあの人を思い浮かべるのですが、その方からどんどん遠のいていくこの物語。もうちょっと格好良くはできないのか? と聞きたい。
一応、そう言うシーンはではじめましたが、まだまだヒヨッ子。普通の男の子になるまでを見守ってやって下さい。書き手もさっさと魔法修行行け! と思っているところです。病院さえ無事ならあとでまた「星彩の運命と情熱」更新します。もう。眠い。朝活むずい。寝る時間が遅くて。なかなか寝付けないのが問題です。

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