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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第二十話 武器屋の親父フロリアンは父親代わり

前話

「フロリアンー! いるかー!」
「レオ! 旅に出たんじゃなかったか?」
「ああ。一応の目的は果たした。で、コイツの武器と防具を頼みたいんだ。エレメントは風の属性だが、それだけを纏わせると一気に素性がばれる。水と風の組み合わせで弓と防具をたのんだ。その間に俺達はコイツとリリアーナの修行に行ってくる」
「修行?」
 フロリアンが不思議そうに聞く。
「こいつなー。まったく生活力も武力もないんだよ。兄代わりとしてニコと鍛えることにした。最低限の力が付けばまた、旅に出る。こっちにも極秘帰国だ。だから、この頭なんだ」
 そう言って黒く染めた髪を指し示す。
「懐かしい髪の色だな。夕食はとったのか? 今から作るが……」
「じゃ、リリアーナ手伝うー」
 フロリアンの周りをリリアーナがぴょんぴょんはねる。
 フロリアンはリリアーナにとっても父代わり。このときばかりはリリアーナも一番陽気になる。ここでリリアーナはアデーレの名前を捨て、リリアーナとして生きる決断をした。その大事な家だ。
「フロリアン。ミルクがゆ作って~」
 もう、リリアーナはフロリアンの近くから離れない。あの城を出た日から見守ってくれたフロリアンのことを一番慕っているのはリリアーナだった。レオポルトはそれ以前から出入りはしていたが、リリアーナが血のつながりがない事を自覚して引き籠もっても好物のミルクがゆを作るのに必死だった。そんなフロリアンはレオポルトにとっても父同様だった。自分の父はもういない。もともと慕っていたわけではないが、あの血が流れていると思うとなんとも言えない気がする。自分の出自の始まりであり、そしてその存在はわかり合うこともなく去って行った。もう少しマシな親子関係が築けたのでは、と思う時がある。
「フロリアンは採寸があるから私が作るわ。リリアーナ、台所にいらっしゃい。フロリアン食材もらうわよ」
「何でも持って行ってくれ」
 ユレーネは気を利かせてリリアーナを引き離す。相変わらず上手い手を使う妻だ。
「じゃ。セイレン様、採寸を」
 フロリアンが工房の方に行く。セイレンが慌てて着いていく。
「ここで家族ごっこか。地獄だな」
 やれやれ、とレオポルトは言う。
「女性がいる方が困るだろが。悶々とするよりはさっぱりする。あの坊やを鍛えるんだからな」
 ニコがすぱっとレオポルトの言葉を切り落とす。
「まさか、服の着方まで知らないとは思わなかった。着替えさせてもらってるならリリアーナに取られてもあんなに大声出さずとも……」
「年頃の男の子は複雑なのよ。ユレーネ手伝うわー」
 そう言ってローレライも行く。
「年頃の男の子だからって本当の追い剥ぎに遭えば即死だ。生活力を全面的にたたき込まないと。魔術や弓どころじゃないぞ」
「それは言えているな。我々はあなどっていた。少年王を」
「だな」
 男同士ニッと笑い合う。
「何、ニヤニヤしてるんだ。手伝え!」
「ほいほい」
「わかりましたよ、と」
 男二人も工房の方に足を向けた。セイレンの武具と防具はどんなものになるのだろか。それはそれで楽しみな男どもだった。そこは男という所か。
 仕方ないわね、とユレーネは聞こえてくる会話に耳を立てつつリリアーナと料理を作るのだった。


あとがき
これだけ昨夜予約配信に設定していたのですが、それよりもはやく目が覚めたのであとがき、打ち直しです。ChatGPTさんにいろいろスケジュールを組んでもらって無理のない範囲のストレッチと魚や花たちへのお世話の時間をとって(後からだった)ようやく、更新作業です。今日は金曜日ですので、平日の日の朝活スケジュールです。なにやら朝一時間早いので早速眠たくなってきてますが。グーグルネストハブでは時間が短かったのでfitbitで確認すれば、久しぶりの質向上でした。昨日は十一時過ぎには寝付いたようです。よかったよかった。十時半を遥かに越えていますが。一時間少なく、寝て起きたのでいまいちの点数かと思いきや平均が良かったのかいい睡眠スコアでした。
ま、スマートウォッチはどうでもいい。執筆に向けてはまだ眠いです。更新作業のみになりそうです。平日のこの時間は。次は星彩ですかね。昨日はフィーネさん子持ちになる、という感じの話でした。書いていたのは。規格外の王女様です。はい。続きを楽しみお待ちください。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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