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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第十九話 生活力なしの少年王

前話

 祖父と孫、いや、師匠と弟子の三人がピクニックから帰ってくるとレオポルトは髪を染めていた。
「レオ?」
 きょとんとしてセイレンはその姿を見る。
「お忍びで武器屋に行く。お前も着いてこい。ユレーネは止めても来るから一緒だ。ニコも行くか?」
 そうだな、とニコも一瞬考える。
「セイレンの武具のことだからな。経験者がいた方がいいだろう。弓ならローレライも一緒がいいか?」
「となると全員か。イーカムでひとっ飛びするぞ」
 その言葉にわーい、と言うリリアーナである。自分の使い魔、風の精シルフィを持っているにもかかわらず、イーカム大好き状態は変わらない。
「それはそれでシルフィが可哀想だぞ。リリアーナ」
「だって。最近、お兄ちゃんイーカム貸してくれないんだもの」
「イーカムは俺の使い魔。フィリスまで狙うなよ」
 フィリスとはユレーネの雌猫の使い魔である。可愛いと言ってはリリアーナはフィリスとよくじゃれ合っている。
「シルフィ。早く奥さん見つけて子供を産んでもらうのよ」
 ぶっ、とレオポルトはお茶を吹き出しそうになった。カールではないが、ぶっとびユレーネの発言がそのまま移行している。
「とにかく、急げ。店が閉まる!」
 はーいとリリアーナは返事して街用の服に着替えに行く。セイレンを引っ張っていくが、まさか一緒には着替えないだろうと思ってほったらかしにする。するとぎゃぁ、とセイレンの声がする。
「ふ、服が……」
 セイレンの服はリリアーナが持っていた。
 
 まさか……。
 
「リリアーナそれをどうしたんだ?」
「服がないからって一向に着替えないから剥ぎ取っただけよ」
 言葉が追い剥ぎになっている。
「それはセイレンが自分で着替えるんだ。女子は覗かないの。ほれ。行った行った」
 むぅ、と言ってリリアーナが去って行くが旅の服は抱えていた、これを洗濯にでも出すらしい。
「すまないな。リリアーナは少し変わった子でな。びびんらんでくれ。俺はあの何倍も恐ろしい妻にびびらされているんだ」
「へ~。びびらされているの~」
「ゆ、ユレーネ。今のは一人言だ。忘れてくれ」
「一人言ねぇ。聞き捨てならないけれど、フロリアンが店を閉じてしまうからこの事についてはあとで」
 にっこり笑ってセイレンの新しい服を置いていく。なぜかレオポルトは一人で着れる服を着せてやっていた。セイレンも普通だ。
「お前、毎日がこうだったのか?」
「こう?」
「着せてもらうって事だ」
「はい。乳母に服を着せてもらってました」
 はぁ~、とレオポルトは頭が痛くなる。風の少年王は生活面で大いに問題があることが発覚した。よく、一人旅をしていたものだ。
「よし。フロリアンの家に数日泊まれ。その軟弱な生活を鍛えてもらえ。行くぞ。リリアーナ! 置いていくぞー」
 部屋の奥に叫ぶとセイレンを引きずって歩き出す。セイレンはどうしてこんな事になっているのかまったくわからない。
「男だけの修行がいるな……」
 男だらけのむさい合宿生活がレオポルトの前に待っていた。


あとがき
セイレンの性格がどんどん傾いていく。格好いい少年王のはずが……。優男になっている。芋虫見てもぎゃぁ、ですからね。それは後ほどに出てきます。そろそろこちらも量産しないと。今27話まで書けてますがあと一週間もすればストックがなくなる。ただ、プロットがまだ見通し立たないので。設定はしてありますが、イメージがまだ浮かばなくって。今日はこちらの執筆かもしれません。遅い更新となりました。すみません。前記事「エッセイの勉強」読んでいたければ寝坊故の遅れという事がわかると思います。今日は通院で疲れ切ってます。まだ来週の火曜日が地獄です。その前に土曜日が……。病院三昧です。それではまた明日。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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