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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第三十五話 アルティック・ガーデンの結界

前話

「ユレーネ! やっぱりここにいた。最近、顔を出さないからリリアーナから探してきてと言われたよ。舞を練習してるんだな」
 いい子いい子とユレーネの頭を撫でる。
「だって、あなたとリリアーナと家族ごっこして舞の事をころっと忘れてたんだもの。腕が落ちるわ。それに、レオの顔見たら何をするかわからないし」
 愛を確かめ合った日以来の逢瀬だった。ユレーネは自分の中で起こっている事に戸惑っていた。変化が怖かった。それに父親にサボっていると言われたのは当たっていた。自分を見つめることを忘れていた。今一度、原点に立ち戻ろうとユレーネはしていた。
「まぁ、ユレーネが元気だったらなんでもいい。これからアイシャードの庵に行く。どうも偵察の者から聞くとそろそろアドルフが仕掛けてくる、らしい。アイシャードに護法結界の準備の段取りをしに行く。一緒に来るか?」
 まっすぐ目を見てレオポルトはユレーネを見た。怖かった。戦が。それでも、一緒に行く事を選んだ自分をユレーネは捨てることはできなかった。
「一緒に行くわ。まってて、少し上着を羽織るから」
「綺麗な衣装なんだな。舞姫の衣装は」
「ええ。お母様が元々きていた最上の舞姫の衣装よ。これに似合う舞姫になる事があなたの妻になる証。リリアーナはお姉ちゃんと連呼してるようね」
 それを聞いたレオポルトが肩をすくめる。
「おかげでフロリアンは子守が趣味になりつつあるよ。依頼どころじゃない」
「甘いのね。フロリアンパパも」
「俺以上に、な。さぁ行こう」
 上着を着たユレーネに手を差し出す。
 レオポルトはユレーネの手を引いて歩き出す。自然と歩調を合わせていた。まるでデートに来たみたいに感覚がずれる。
「デート。もう一回ぐらいは行けそうだな」
「ええ」
 二人とも気持ちは同じだった。
「アイシャード! 今日も邪魔するぞ~。セイレンシア」
 蒼い羽根の持ち主はバサリ、と翼を羽ばたかせて現れる。その導きに従ってアイシャードの部屋に行く。すでに卓上に暖かい飲み物が二つ、あった。
「来ることがわかっていたのか?」
 驚いてレオポルトが聞く。
「ユレーネが最近前にも増して舞に打ち込んでいるとローレライから聞いていた。ワシの所に王がくるなら一緒だろうと思っただけじゃ」
 座るように手で示して一拍おく。
「ふむ。アドルフが動き始めたか」
「はい。ですからこの氷の国へと入れぬよう護法結界を張るのをお願いします。俺はもちろん、ユレーネも俺の義勇団の魔術師も集まります。魔力を集めるだけ集めてアイシャードに託します。この国を守ってください」
「守るのはワシではない。強い意思を持って立ち向かう姫と王だ。二人の強い気持ちがアドルフを打ち負かすだろう。いろいろあったようじゃからな」
 二人の顔は真っ赤だ。つい先日まで恋に浮かれていたのだから。
「若者が恋に身を焦がすのはいけない事でもない。それも成長の証だ。さぁ。それまでにまたデートにでも行ってくるがよい。その本には名所旧跡が載っている。計画でも立てているといい」
 アイシャードなりの気の使い方にさらに恥じ入る二人である。そうじゃな、とアイシャードは言う。
「護法結界の名称を言ったかの?」
「いいえ」
 二人でアイシャードを見る。
「アルクティック・ガーデンの結界と言う。細かな氷の粒でできており、外部からの侵入を絶対的に拒む。まず、炎の国の人間には太刀打ちできないじゃろう。アドルフは氷の国の人間でもあるが、長い間炎の空気を吸っていた男だ。そう簡単に入れない。結界内では魔力が高まり、自然治癒力が氷の国の自然と融合して民やそなたたちを守るだろう。この結界が終わった後が、レオポルト王。そなたの出番じゃ。退却したアドルフが形勢を立て直す前に、攻め入る事じゃ。女王も行くならイーカムにのってアドルフの居城に挑むが良い。アドルフは今、闇の組織とも繋がろうとしている。ネメシスの集団は質が悪い。万が一の時はワシも参戦する。光の魔術師の名に恥じない働きをしよう」
「アイシャード! あなたはここにいて氷の国と民の安全を図らねば。闇の組織でも、ユレーネと俺とで解決します。リリアーナをよろしくお願いします」
 レオポルトが頭を下げる。
「王は情に熱いのう。そこまで言うならば、最後の最後までリリアーナと見ておる。ただし、アドルフがそなた達を襲うならワシも参戦する。これは姫と同じ理由じゃ。レオポルト。そなたを失う時ではない。王の命こそあっての戦。負けは許されぬ」
「アイシャード。俺、また戦死しかけたんですか?」
 情けない様子で言うレオポルトにアイシャードが笑う。
「そうとも言うのう。レオポルトの炎は時として自らを危うくさせる。ユレーネの氷が触れてはじめて力をだせるのだ。二人ともゆめゆめ手を離さぬよう。これはワシからの忠告じゃ。さ。氷の国のデートを楽しむがいい。セイレンシア、本を」
 セイレンシアは足で器用に古い本を取ってくるとレオポルトとユレーネの手の間に落とす。
「若者には愛と勇気が必要じゃ。セイレンシア。お前と会うのも久しぶりじゃ。身の回りに起こった事でも教えておくれ」
 そう言ってアイシャードは消える。
「え。帰り道が……」
「私がわかってるから。さ。セカンドデートのプランを練るわよ」
 ユレーネに言われるまま当初の目的と違った事にレオポルトは巻き込まれていた。


あとがき
行ってきました。公的機関。色んな方にここは絶対つながりを切ってはいけないと言われていた公的機関に丸投げされかかってます。仕事の斡旋が主なので、問題が生活が主になっている私は、行かない方がいいようで、今日はその生活支援センターに行ったんですが、ここもなんやら適応しにくいところで。
担当の人もとつとつと語る人で、会話がうまく進まない。今日は付き添いがいたからいいものの、二人で話すこととなれば難しいでしょうね。

企業でなんとかしてくれ、という具合です。現在。

そんな事を思いつつ、昼過ぎに帰ってきたのですが、母はご機嫌斜め。また大変です。

やっと切り上げて部屋に戻ったはいいけれど、疲れから眠たくて困ります。執筆も学習もできない。「風響の守護者と見習い賢者の妹」の続き書こうと思っていたのですが。「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」も思い浮かんでいたので書こうと思えば書けるのですが、あまりにも眠たくて更新したら少し寝てみます。「影の騎士真珠の姫」とこの二つは優先的に更新としているので、この二つをあげたら一度休んでみます。

つらつら個人事情を書いてしまったので削りました。どこに行けばいいんでしょう。保護者も誰もいない状態に困ってます。相談口が減る。丸投げされてるし。10日間の壁が破れなくて。フルで働けばかなりいいのですが、休むわ、日は少ないわでこまります。でも、サボリ癖があるのでね。

ほんと家でできる仕事にしたい。でも、その力量はなし。ライティングも考えてみたのですが、取材がいるし、自分の文章をゴーストライター状態にするのが嫌で。自分の文は自分でと思うので、やっぱりなれません。母校からも捨てられたし。縁切ってばかりなので、頼る人もいず……。

気が暗くなった。とりあえず、「影の騎士真珠の姫」を更新して寝ます。

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